低価格品で勝てない企業に未来は無い

今こそ、血みどろのシェア争いを勝ち抜け
復興に向けた提言:日本電産永守重信社長に聞く
田村賢司
2011年6月15日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110610/220677/?rt=nocnt
(略)
 多くの日本企業は、中国など新興国の企業がどんどん安いものを出してくる時、「我々は高級品でいく」と考える。大企業ほどすぐにそう言う。だが思い起こすと、僕が日本電産を創業した73年に、米国にはRCAという巨大電機メーカーがあったけど、十数年でつぶれた。
 
 誰にやられたかといったら日本の電機メーカーだ。今で言えば、韓国や台湾、中国のメーカーにやられたようなものだろう。
 
 どうしてやられたかと言うと、高級品に逃げて低価格品はOEM(相手先ブランドによる生産)にしたわけだ。今、日本の会社が中国や台湾の会社にパソコンやほかのモノを作らせているが、それに似ている。
 
 高価格品市場だけで生きていけるというのは、技術的過信に基づいた発想で、とても危険だ。技術だけで売れるなら新興国市場はみな先進国の製品で埋め尽くされていたはずだが、そうはなっていない。新興国市場を侮ってはいけない。
 
 日本は東日本大震災サプライチェーン(供給体制)が一部毀損したが、復興過程では、安くていいモノを早く作るところから部品や部材を調達するように変わるだろう。これは不可避の潮流だ。自由競争に完全に身を置かないと、日本企業は世界の中でもう勝てない。
(略)
 今の世界市場では、新興国農林水産業から製造業の時代に入り、今や先進国を脅かすまでになっている。一方で先進国は製造業が衰退した後は金融を柱にするといったことが言われてきたが、そうはならなかった。殊に日本はそうだ。

 もちろん、日本は(人口減で)市場が縮小していく。ということは日本だけを考えていると、売り上げは減って、当然利益も減っていく。それではジリ貧だ。

 ではどうするかといえば結局、韓国がやっているように(国を挙げて)海外に出ていくしかない。当然、リスクはある。だからそれに耐えられる企業になる必要がある。

 日本企業はもう一度、世界で血みどろのシェア争いをしないといけない。繰り返しになるが、低価格品は新興国企業に任せるなどと言っていたら、やがてやられる。戦い抜くというスピリッツがないとダメなんだ。
(略)