「日本外し」じぇねえじゃん

このミスリーディングなタイトルはハウ教授のせいじゃないよね。
だいたい輸出ってのは比較優位かタイムラグから発生するものなのだ。
比較優位なら「本国」に縛られないし、タイムラグなら需要地シフトは当然。
別にニッポンがどうこうという話ではない一般論。
そして世界共通の自然法則の下で日本国優位を保つ戦略を考えなきゃね、というだけの話。

海外企業の「日本外し」は震災前から始まっていた
ハウ・リー米スタンフォード大学経営大学院教授の警鐘

ハウ・L・リー
2011年6月21日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110616/220824/?rt=nocnt
(略)
 海外のグローバル企業だけではない。日本のグローバル企業も進めていた。例えばソニーはここ数年、徐々にアウトソーシングを拡大してきた。液晶ディスプレーの工場を海外に移転したのはその一環だ。移転先はこれまでの主流だった中国だけではない。新興国をはじめ複数の国に広がっている。そこには米国も含まれる。
 
 背景にはいくつかの要因がある。複数の国で生産能力が上がってきたことに加え、新興国が新たな市場としても拡大していること。そして、新興国のニーズに合った製品を投入するため、生産だけでなく開発の機能も現地に移す必要性が高まっていることが挙げられる。
 
 こうした動きは震災によって加速されたかもしれない。しかし、震災が主因では決してない。
 
 このような動きが起きているのは、日本だけではない。米国でも同じだ。米国でも多くの政治家が「我が国は製造業の仕事を中国に奪われている。何とかしなければならない」と主張している。
 
 しかし政府は介入すべきではない。巨額の補助金を出したり、関税を引き上げて障壁を設けたりして、経済の実体をゆがめてはならない。そうした措置の効果は一時的にしか続かない。それに旧来の非効率な産業にしがみつくことによって、新たな産業や経済に移行する機会を失うことにもなりかねない。
 
 確かに日本製の部品の中には、その企業にしか作れない特殊な部品や精巧な部品がある。それらの部品については、調達先が海外の企業に切り替わるという動きは生じていない。
 ただし、今回の震災で起きたサプライチェーンの寸断によって、最終製品のメーカーは、そうした部品を使用せずとも済む形に製品の設計を変えていく可能性がある。
 
 短期的にはそうした部品の調達において日本企業への依存は続くだろう。しかし中長期的には、一国の企業に依存しなくてもいい設計へと移行していく。それは自然の流れだ。ソニーキヤノンのような日本の完成品メーカーでさえも、生産拠点を徐々に複数の国へ分散させている。そのため、現在のように部品の調達を特定の企業に集中させることは減っていくはずだ。
(略)

(読者コメント)
「日本外し」。読者の気を引くために、こういう悲観的、自虐的な言葉を使うのは、もうやめませんか?実際は、労働コストや市場へのアクセスを考慮した工場の海外移転のこと。十数年も前からの流れで、別に海外企業だけでなく、日本のメーカーだってどんどん海外に製造拠点を設けています。昨今マスメディアで言われる「内向きにならずに海外へ打って出よう」に明らかに矛盾したメッセージとも思いますが。個人でも結果を出すにはセルフイメージが大事。スパコンで世界一を奪回した理事長のコメントが「我が国の産業技術が今だ健在であることの証し」だそうですが、根拠のない自信のなさを植えつけているのは、はっきり言ってマスコミの責任。傍から見ていて、そんな自信のなさそうな国に誰が投資をしようと思うでしょうか?