ECB利上げ?

2011年3月14日(月)
利上げをにらみ始めた欧州中央銀行
トラウマが引き起こすユーロ高と新たな悲劇を懸念する
宿輪純一
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110311/218942/
(略)
 以前、ブンデスバンク(ドイツ中央銀行)の理事と話した時、経済政策に対する考え方は、過去に経験した歴史によって異なるという話を聞いた。それはトラウマのようになっているものが多い。

 欧州の経済的なトラウマの1つに、第一次と第二次の世界大戦の間に起きたドイツのハイパー・インフレ(高率のインフレ)がある。このハイパー・インフレのために、社会が混乱し、ナチスが台頭してきたと考えられている。これが“トラウマ”になっているため、ECBは経済成長よりインフレ抑制を重視しがちである。米国のFRB連邦準備制度)法が、物価の安定と雇用の最大化を目標としているのに対して、ECB法は物価安定だけを目標にしている。

 ちなみに、FRBの担当者にトラウマについて質問したところ、米国のトラウマは「大恐慌」であるという。そのときの象徴的な出来事は株価の大幅な暴落であった。株価は景気指標の代表でもある。このため、雇用という最も影響力の大きい景気指標を物価の目標と並べて入れているとの意見であった。

 米国の経済ニュースを見ていると、株価が最初に出てくる。こんなこともトラウマの表れであろうか。日本におけるトラウマとは“円高”への拒否反応であろうか。
(略)