国債引受なんかしちゃだめなんだからね!


大蔵の子会社日銀(@高橋洋一)の元ゲスト委員の寄稿。
しょせんお仲間か、という気がしないでもない。
だいたい漏れも金融政策が主役とは思っていない。
財政政策とセットで需要創出しないとダメだよね。
しかしこのお方は財政金融政策全否定なのだったwww

経済教室 問われる国家信認
金融政策、「主役」たり得ず

須田美矢子 元日本銀行政策委員会審議委員・甲南大学特別客員教授
過度の緩和は弊害大 財政再建へ成長戦略カギ
(日経、11年09月07日)
 
<ポイント>
中央銀行の独立性失われればリスク高まる
○高すぎる期待成長率が政府債務拡大の背景
○金融政策での内需拡大や通貨安期待は過大
 
(略)
 それでも、日米欧とも財政改革に向け努力はしており、足元の財政支出に関して抑制的な姿勢を示している。日本も震災対応で今後支出を増大させるのを除けば同様のスタンスである。こうした状況下で、欧米では家計や金融機関のバランスシート調整が進行中で、景気の下振れリスクが高まっている。さらに米国債の格下げや債務上限引き上げを巡る混乱は、財政支出増の難しさを人々に認識させ、マインドを悪化させた。

(にゃんこのコメント)
さいきんバランスシート調整云々とよく見るんだけど、これってリチャードクーのバランスシート不況の考え方そのものだよね。池田信夫さんとか完全否定していたけど日銀委員まで持ち出しているっていいの?

(略)
 財政ファイナンスが一時的であれば、単に国民負担を先送りするだけといえるが、低インフレ下で財政ファイナンスの中止を政府が認めるのは難しい。国債引き受けでインフレ率が高くなり、同時に低金利が維持されていれば実質的な債務の減少を期待できるからである。実際、国債引き受けからの出口は、戦前の高橋是清蔵相時にみられるように、非常に難しい。
 
 米国でも1941年の真珠湾攻撃の際に長期金利維持政策がとられ、朝鮮戦争勃発後に米連邦準備理事会(FRB)はそれをやめることを提案した。しかし、大統領や財務省が反対する一方で、議会は政府の介入を批判するなど、混乱がみられた。長期金利維持をやめるアコード(合意)が成立したのは翌年春であり、半年以上ごたごたが続いた。
 
 もっとも、「国破れて中央銀行が残る」ことはない。ソブリンリスクが高まり、金利が上昇すると、中央銀行としても放置できないだろう。中央銀行の信認も、金融機関や企業の信認も傷つく。実際にインフレになれば、インフレヘッジ(回避)行動のとれない弱いものの負担が大きくなる。こうした状況は危機的であり、中央銀行が財政ファイナンスに乗り出す場面が決して来ないことを望む。

(にゃんこのコメント)
いちどやったら止められず226になったじゃん!と高橋是清をdisるのが最近の流行。バーナンキに言ってくれ!
実際にインフレになればインフレ対策を採ればいいだけの話。極論で恫喝するのはやめて〜。

(略)
 そもそも政府や中央銀行の負債残高が増えてきた背景には、人々の高すぎる期待成長率があると考えられる。
 ラインハート元FRB金融政策局長やケネス・ロゴフハーバード大学教授は多くの国の長期データに基づいて、「金融危機後は成長率が低い」「政府債務GDP比が90%以上の国の成長率は低い」といった特徴を指摘している。まさに日本はそれに当てはまるが、米国でも低い成長率が持続する可能性が高いと思われる。マクロ政策で危機前の高い成長に回帰できるとの楽観的な想定は、政府債務問題を悪化させる可能性がある。
 財政の問題が非常に厳しいときには、少なくとも計画通りに財政を改善させていくことが信認を得るために重要である。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月に日本国債を格下げした際、生産年齢人口の高齢化と減少を踏まえ、日本の中期的な成長率を約1%と想定した。こうした慎重な姿勢で計画を立てておく方がよい。想定よりも良いニュースはマインドの改善につながるからだ。逆に高い成長を前提にすると、十分な回復を待つために財政再建への取り組みが遅れ、問題を一段と悪化させてしまう可能性がある。

(にゃんこのコメント)
言うに事欠いてS&Pに乗っかれと(笑)
成長も何も日本経済は縮小しているんですけど。。。

 景気対策として財政金融政策を実施すると、負荷が大きい。基調的な成長率が下がっている中で、政策をきっかけとした自律的な成長は想定しづらい。財政政策の短期的な役割は否定しないが、景気を引っ張っていく役割を担わされると、結果的に財政の悪化につながるだろう。金融政策についても伝統的な政策はほぼ使い切っている。金融政策は下支えにはなるが、内需を引っ張っていく力を期待しても裏切られることになろう。

(にゃんこのコメント)
キタ━(゚∀゚)━! 財政金融政策無意味宣言!!
景気対策は財政金融政策抜きでやれと。すがすがしいほど大蔵日銀の考えが明瞭になった(笑)

 最後の望みは外需だが、金融政策は為替レートに影響を及ぼすとの見方が一般的なので、通貨安による外需増を期待する国が多いと金融緩和競争になる。通貨切り下げ競争は不毛であり、金融政策に形を変えた競争も同様である。スイス国立銀行中央銀行)は大量の為替介入を実施したり、大量に流動性を供給したりしているが、スイスフラン高を抑え切れていない。通貨を減価させる政策は相手国が通貨高を望んでいるときには問題ないが、そうでないときは近隣窮乏化政策となる。
 
 自国の所得増は相手国の所得減を引き起こすので、通貨の減価による輸出増の一部は相殺される。また世界で過度に金融が緩和されると、資源価格の上昇によるインフレに加え、資源輸入国では交易条件悪化により実体経済が悪化する。世界で若年失業者が増える中で生活必需品の価格が上昇すれば、社会不安を起こしかねない。一時的な効果でも実施しないよりはましだとして、一層の金融緩和を求め続けるとツケが大きくなる。将来、政策を正常化する際のコストが膨らむことも踏まえて考えていく必要がある。
 
 マクロ政策に当たっては、基調的な成長率が低いことを前提にして政策対応した方がよいが、低い成長率では財政再建に向けて負担が大きくなるのも確かである。高齢化による成長率低下を阻止すべく成長戦略が必要である。

(にゃんこのコメント)
あ〜あ、「高齢化による成長率低下」なんてサラッと言っちゃってさ〜
この人も高齢化=デフレ必然論なんですか。特別顧問様もそこらのおじちゃんおばちゃんと変わらないんだねw

 日本では規制緩和による内需振興、グローバル企業の国内生産におけるインフラコスト(電力、法人税、関税など輸出コスト)の引き下げ、人材育成など、やるべきことは10年以上も前からいわれている通りである。中長期的には東北地方の復興とともに、皆で痛みを分かち合いながら、一人ひとりが成長を高める努力をすることが必要である。
  
 その際に金融政策はあまり役には立たず、中央銀行にできることは成長基盤を強化できる程度である。中央銀行は、政府の債務問題の解決のための主役にはなり得ない

(にゃんこのコメント)
要するに最後の一文が言いたかっただけね。読んで損した。。。

 
 すだ・みやこ 48年生まれ。東大大学院博士課程単位取得。専門は国際経済。キヤノングローバル戦略研究所特別顧問

そして日本経済の進むべき指針を示す、『日銀券(下)』(幸田真音著/新潮文庫
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/8eb6c5c32ef5cd775f5b8dca40908d60
(略)
本作で唯一の女性審議員として登場するのが、、大学教授出身の宮崎遼子(56)審議員です。モデルとして考えられるのはこの人。
 
須田 美矢子(昭和23年 5月15日生)
出身地 山口県
昭和46. 6/東京大学教養学部卒業
  54. 3/東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得
  57. 4/専修大学経済学部助教
  63. 4/専修大学経済学部教授
平成 2. 4/学習院大学経済学部教授
  13. 4. 1/日本銀行政策委員会審議委員
  18. 4. 1/  〃 (再任)