失業率の国際比較

日本の定義は低く出ると昔教わったけど、実は米国基準のほうが低くなるとは意外!
それにしても17%って何だよ!
昔なつかしマル経潜在的過剰人口(relative surplus population)。。。

2011年1月4日(火)
米雇用統計に隠された真実
潜在的失業者を含めると失業率は17%に
Bloomberg Businessweek
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101224/217709/
Drake Bennett(Bloomberg News記者)
米国時間2010年12月16日更新「Behind the Jobs Number: A Messy Reality」
(略)
 失業率の計算で中核を成すのは、誰が失業者か?という定義だ。基本的に、働きたいという意志があり、かつ積極的に職探しをしている者でなければ失業者とはならない。失業率を算出している米労働統計局(BLS)の全国家庭調査は、過去4週間に職探しをした者だけを失業者と定義している。
(略)
 BLSは、職を探そうとしない人々は、労働力人口にすらカウントしない。従って、現在の厳しい経済状況のために働いていない多くの男女が、公式統計には含まれていないことになる。
 BLSでもこれら非雇用労働者――現在、職に就いていないが働く意志があり、過去1年間に職探しをしたが4週間以内に探していない人々――の動向を追跡してはいる。失業者に分類していないだけだ。BLSでは彼らを「marginally attached to the labor force(あと少しで労働人口に加えられる人々、労働人口予備軍)」と呼んでいる。
(略)
BLSが「marginally attached to the labor force」と呼ぶグループは、「求職意欲喪失労働者」という適切な名称で呼ばれている。こうした非労働力人口を含めると、2010年11月の失業率は9.8%から11.3%に上がる。
 次に、パートタイムの仕事しか見つからないので、パートで働いている人々について考えてみよう。やむを得ずパートタイマーとなっている層を失業者に加えると、その比率は――こうなるともう失業率ではなく、米国経済の労働力未活用割合とでも呼ぶべきものだが――17%に跳ね上がる。ゾッとするような状況だ。
(略)
 エコノミストらが懸念しているのは、失業者数の多さに加え、労働市場流動性が低下し、労働力人口の大部分の動きが停滞気味であることだ。現在、630万人の米国人が27週間以上失業している。景気後退が始まった2007年12月に同じ状況にあったのは、わずか130万人だった。これらの人々は就職をあきらめたわけではなく、求人に応募し、ビジネス交流会に参加し、人材紹介会社に接触もしている労働者たちだ。

<コラム3> 日米の失業者の定義の違い
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2010/04/p165-166_CL3.pdf
失業者の定義については、日米ともにILOの基準に従い、
① 仕事をもたず
② 現在就業可能であり
③ 仕事を探していた
――との3要件を満たす者とされているが、 求職活動期間や家族従業者の取り扱いにおいて下表のとおり若干の違いがある。
また、 レイオフ(一時休業)の扱いについて、 アメリカではレイオフされた後に復職を待っている者は求職活動の有無を問わず失業者に含めるが、 日本の一時休業の場合は、 雇用関係が一般に継続しているため、 就業者に含めている。
    

   
日本定義からアメリカ定義への修正については、 おおむね以下の①から③の修正を行うことになる。
   
① 過去2〜4週間に求職活動を行った者        :非労働力人口→失業者(マイナス方向)
② 求職活動の結果を待っている者          
   イ 過去2〜4週間に求職活動を行った者    :変更なし
   ロ 過去1か月以内に求職活動を行っていない者 :失業者→非労働力人口(プラス方向)
③ 家族従業者のうち、週15時間未満の就業者    :就業者→非労働力人口(マイナス方向)
   
2008年について総務省労働力調査年報詳細結果」を活用して、 上記①〜③の修正を行い、 日本定義の失業者数等をアメリカ定義に変更すると、 以下のようになる。
   
(日本定義)
   
失業者数 :  265万人
労働力人口:6,650万人
完全失業率:4.0%
  
(注:上記の数字は、 全て2008年の原数値)
  
①に該当する者(非労働力人口のうち過去1か月に求職活動があり、 仕事にすぐ就ける者。ただし、「家事・育児のため仕事があっても続けられそうにない」者を除く)→23万人
②のロに該当する者(完全失業者のうち、 過去1か月以内に求職活動を行っていない者)→67万人
③に該当する者(家族従業者のうち、1週間の就業時間が15時間未満の者)→30万人
  
(アメリカ定義への修正)
  
失業者数 :221万人(=265+23−67)
労働力人口:6,553万人(=6,650−67−30)
完全失業率:3.4%(=(221÷6,553)×100)
  
資料出所 厚生労働省(2002)「平成14年版労働経済白書」、総務省(2009)「平成20年労働力調査年報(基本集計、詳細集計)」
当機構で作成している「ユースフル労働統計― 労働統計加工指標集―2010」では、 日本における各種失業率について試算しているので、 興味のある方は参照されたい。

(にゃんこのコメント)
意外なことに米国基準のほうが失業率が低く出る。
日本の定義では週15時間未満のパートのおばさんも労働者にカウントしていることが影響しているようだ。
逆に言えば米国の失業率は日本基準だともっと酷いんだな。というかパートのひとってどのくらいいるんだろう?