中国でも経済に関しての政府批判が可能になった、次は?

チャイナ・ウォッチャーの視点
「進むも地獄 退くも地獄」の中国経済
2011年09月21日(Wed) 
石平
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1505
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 9月17日、中国国内のポータルサイトである「新浪網」が注目すべきニュースを掲載した。全国人民代表大会(全人代)・財経委員会の尹中卿副主任たる人物が大連で開かれた世界経済フォーラムの夏季ダボス会議の席上、中国政府の経済政策に対する批判を展開したのである。
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 しかも、中国国内では誰でも知っているように、上述の「貨幣過剰供給」の景気対策を主導してきたのは、紛れもなく現役の総理大臣の温家宝である。温氏自身、自分がこのような景気対策を断行したからこそ中国経済が世界同時不況を乗りこえて高い成長率を維持できたと自負している節もあるから、尹副主任による上述の政策批判はまさに温家宝総理に対する間接的な攻撃とも捉えるべきであり、同時に、温家宝総理の率いる政府に対する「責任追究」の意味合いも含まれているのである。
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 ネットが発達して市場経済が広がっている今の中国においてこそ、そして市場経済の中で生きている彼らのような「自由人」だからこそ、一時前の中国では考えられないような形での政府批判が出来るようになっているが、民間人の彼らが常時、政府の政策を観察して分析を行い、そして容赦のない批判を浴びせることは、まさに中国が古い専制体制から脱皮しつつあることの証拠であり、未来における大いなる変化の前兆でもあろう。

 彼らが批判している政府の政策は今では主に経済分野のものに限定されているが、いずれ、政治・社会の領域に広がっていくのであろう。そしてその時こそは、中国にとつての「革命到来」の時代となろう。