イスラエルの土地は国家所有

イスラエルで「テント村」運動拡大 住宅価格と家賃の高騰に抗議
Bloomberg Businessweek
Jonathan Ferziger(Bloomberg News記者)
Calev Ben-David(Bloomberg News記者)
米国時間2011年8月11日更新「 A Rallying Cry in Israel: ‘Lower the Rent!’」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110829/222305/
 7月中旬、イスラエル最大の都市テルアビブの高級住宅街に20張りほどのテントが設営された。このささやかな抗議行動が、今やイスラエル全体に及ぶ本格的な市民運動と化している。「テント村」は同市内のほかの高級住宅街に広がり、エルサレムやハイファ、ベエルシェバにも出現している。8月6日の「社会正義を求める集会」には抗議活動のリーダーや有名なロック歌手らが次々と登場し、国防省前の通りを25万人以上の群衆が埋め尽くした。
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 なぜ今、住宅価格への怒りが爆発しているのか。英国系金融グループHSBCHBC)のエコノミスト、ジョナサン・カッツ氏は「イスラエルでは(住宅)需要が供給を上回ることがよくある。特にここ数年は、低金利で住宅ローンが組みやすかったために、その状態が続いていた」と指摘する。イスラエル経済は好調で、中央銀行は今年の経済成長率を4.8%と予想している。豊かになったためにイスラエル人はより良い住宅を求めるようになった。一方で、貧富の差が広がっている。
 さらにイスラエルの不動産市場は、特有の構造的問題も抱えている。イスラエルの土地は実に93%が政府の所有または管理下にあるのだ。これは、1948年の建国時にまで遡る、ユダヤ人国家を守るための政策の一環である。つまり、この国における不動産販売は実際には土地の長期リースであり、土地利用に関しては国家がきわめて強い権限を持っている。
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