■今日は缶ビン・ペットボトルを出す日だな。【2012-3-7作文】
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一。
 LARRY NEUMEISTER and RAPHAEL SATTER 記者による2012-3-6記事「Hackers busted after one becomes FBI informant」。
  悪名高いハッカー集団の札付きの頭目だった男が、数ヶ月前に政府側に屈服し、今ではFBIのために、かつての仲間と対決している。
 シカゴ在住の男1人を含む5人がNYの連邦裁判所に起訴された。そして6人目の男は自ら罪を認めていることが公表された。その男は
Hector Xavier Monsegur 。NYC在住の伝説のハッカー"Sabu" の本名である。
 ※名前からし南欧系?
 訴追された5人は、2008以降著名な国際的ハッカー集団「Anonymous」に属していた。
 Monsegur は昨年5月、元アノニマスのメンバーを誘い、「Lulz Security」というチームを作った。短縮して "LulzSec"。 "Lulz" とはイン
ターネット・スラングで、邦訳すれば(w)である。
 Monsegurの悪戯のひとつとして、「ラッパーの Tupac Shakur がニュージーランドで生きていた」という偽ニュースをPBSのサイトに勝手に
掲載したことがある。これは2011-5のこと。
 Monsegurは逮捕されたあと $50,000 の保釈金で留置場の外に出た。そしてハッキングで起訴されたあと、2011-8-15に有罪を認めた。
 起訴状によれば、彼は3つの団体のコアメンバーだった。すなわち Anonymousと Internet Feds と Lulz Security である。
 彼はそれら組織の「rooter」役だった。すなわちコンピュータ・システムの弱点を発見する役。
 過去数年、こやつらは、Visa、 MasterCard 、PayPal のシステムに不正侵入してデータを盗んだ。マスコミでは、Fox Broadcasting Co. 、
Tribune Co.、PBSに侵入し工作している。米連邦上院のシステムにも勝手に入り込んだ。
 アノニマスのリーダー格が司法取引したということは、メンバーの身元はすべて当局にバレたも同然。ハッカー界に動揺が走っている。

二。
 AFPの2012-3-6 記事「Sweden Secretly Aiding Saudis in Arms Factory Work: Report」。
  スウェーデンの公共ラジオ放送によれば、同国軍の新兵器開発局は秘密裡に、サウジアラビア国内に対戦車ミサイルの製造工場を建設する計
画を手伝っていた。
 この関与は2007からであった。

 サウジは独裁国家であり、それを支援するのは自由国家スウェーデンの名折れであるとの非難が同国内には渦巻いている。

 ※売ろうとしたのは「Bill」の製造ラインだろう。「工場を建ててくれないなら武器も買わん」とサウジから求めたのだろう。戦車の直上
を航過するだけで成形炸薬が斜め下向きにアタックしてくれるATMは、ながらくBillだけであったが、さいきんは「TOW」の新バージョンも
このオフセット弾頭をとりつけていると思しい。TOWのメーカーは、このスウェーデンの動きを知っており、横からサウジの契約を奪えってし
まえると判断したのではないか。そしてサウジも考え直したので、スウェーデンの目論見は頓挫し、責任問題となり、部内のなすりつけ合戦が発
生。マスコミへのリーカーが現われたのではないか。もちろんイスラエル諜報機関もリークとネット世論工作に暗躍していることであろう。い
ずれにせよイスラエル軍がメルカーヴァーをどれほど重装甲化しようとも真上からの攻撃に対する十全のアーマーなどあり得ない。Billのよ
うなオフセット弾頭の他にも、単純に大落角で命中する対戦車誘導弾はいくらもある。有人の重戦車の時代は終わろうとしている。


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三。
 『エコノミスト』の2012-3-3 記事「Bunker-busting  Smart concrete」。
  イランは大地震にももちこたえる強化コンクリートを開発したという。それは「バンカーバスター徹甲爆弾」にも抗堪できる可能性があろう。(略)
 ※ぜんぜん違うが「ヒューム管」のHumeとはクリミア戦争時代に遠心力を利用して鉄筋コンクリートで水密性の大径土管を製造してみせた
英国人の名前である(この豆知識は「西桔梗温泉」で得た)。思うに大砲鋳造の「自緊法」も、ここから思いつかれてるんじゃね? それとだ
な、水密大径土管を輪切りにしたものを使えば、きっと安価で快適な「家」ができるはずなのだ。なにしろ「屋根」を葺く必要がないんだから、
トータル・ランニングコストもメチャ安ですよ。建てっぱなしで、屋根のリフォームは一生要らない。もちろん直径はハンパじゃなく大きくし
て、センターでハーフ・カットするからドーム状。つまり、家がゴロゴロ転がったりはしない。どんな豪雪でも潰れることはない。老人の雪下ろ
しご無用。こういうのを量産すれば「家」の「価格破壊」が実現するはずなのだ。津波でも流されないし。核戦争が起きても安心。センターから
大型トレーラーで運搬して現場に据えつけるだけ。基礎もいらない。基礎は、ハーフカットしたもう一方の片割れを捨て石として埋め、伸縮継ぎ
手で接合して床の水平を調節する(地震が来て、もしも液状化しても、継ぎ手を調節して、あとからいくらでも傾きを直せる)。これで住宅の価
格破壊が起これば、優曇華の景気浮揚策となる。閉塞の時代を終わらせる、稀少なチャンスかもしれない。

五。
 Alicia A. Caldwell 記者による2012-3-6記事「Homeland Security finalizing plan for exit system」。
  米国本土防衛省は、移民がまた米国から出国するときには、例外なく、バイオメトリック・データを採集しておくことに決めた。そやつが国
外でもしもテロ活動にかかわったりすれば、すぐに同定できるようにだ。

 米国では、入国時にヴィザにより公式に許された以上の長期にわたって不法滞在している外国人が爆弾テロリストになる率が高い。

■今から十日後に草思社の本が出ますよ。震えて眠れ。【2012-3-6作文】

一。
 Sharon Weinberger 記者による2012-5-2記事「Mining Social Media For Intelligence」。
  昨年8月、マグニチュード5.9の地震が首府ワシントン近くの震源で発生。1分弱のうちに、それはNYCほか東海岸広域を揺らした。
 ところがこのとき注目すべき事象が観察されている。
 1秒に7500件のペースで、D.C.住民によるトウィッターへの書き込みがなされたのだ。それを見たNYC住民は、足元がじっさいに揺れる前
から、東海岸のどこかで地震が発生した事実を知ることができた。
 ひょっとしてトウィッターは、テロや他国からの突然の核攻撃が発生したときにも、人民を防護してくれるメディアとなるのかもしれない。

 また米軍を含むIC(インテリジェンス・コミュニティ)の中の連中は、外国のソーシャル・メディアを観測することで、次なる「アラブの
春」を予見できると考えている。

 じつは商業の世界では、とっくに「ツイッター監視」はビジネスと結合されている。たとえば広告会社は、顧客たる服飾業界のために、ツイッ
ターの書き込みを総ざらいすることで最新流行の「兆候」を把握できるアルゴリズムを開発し、使用している。また映画業界は、公開直後の映画
の上映期間や上演館の増減を決めるのに、ツィッターでの言及され具合を、すでに参考指標にしているのだ。

 これを、情報試掘探査(Mining information)と呼ぶ。
 とうぜん Twitter だけでなく、フィイスブックや、ウィキペディアへのエントリーも探査対象だ。(略)

二。
 ストラテジーページの2012-3-5記事「China Secretly Seeks The High Ground」。
  米軍情報局DIA(Defense Intelligence Agency)は、中共の宇宙開発がどこに向かうかを注視する。
 シナ軍は、米国の衛星資産を破壊/妨害するためのあらゆる技法を獲得せんと努力中だ。
 具体的には、衛星と地上の通信リンクを遮断する。また、レーザーによって衛星の偵察センサーを破壊する。そうした能力。
 まあ、2007-1-11の予告無しASAT実験(キラー衛星をぶつけることによって故障した気象衛星を高度850kmで粉微塵に吹っ飛ばした)いら
い、そんなの秘密じゃないけどね。
 米軍はただちに、2008-2に、艦対宇宙ミサイルで、燃料切れの低軌道衛星を撃墜して、シナ人に対して即時同質の反撃能力があることを誇示し
た。低軌道なのでこっちのデブリはすぐに大気摩擦で焼尽した。しかし、シナ衛星のデブリは現在も軌道を周回し世界中が迷惑している。
 2008-2実験により、SM-3ミサイルの有効射高はなんと220kmもあるとハッキリした。それまでは150kmがせいぜいだと言われていたのに。
ちなみに弾頭は9kgで無炸填だ。
 ※慎重な核武装国ならば、中距離弾道弾のミッドコースを少なくも220km以上に持ち上げる必要が生じた。つまり弾頭を軽くするかブースターを強化しないと、資産が無駄になっちまう。
三。
 ストラテジーページの2012-3-5記事「A Quiet Farewell For the M-2 Bradley」。
  イラクのゲリラは、アメリカ軍に対し、歴史に残るダメージを与えた。第一線の最新型の現役バリバリ装軌戦闘装甲車であった、ブラドリー
IFV (Infantry Fighting Vehicle) を、5年前に、戦場での「使用停止」に追い込んだのだ。

 M-1重戦車や、装輪で床が地面から離れていてどういうわけか側方からの爆圧もうけながしやすいらしいストライカーや、専用設計のMRAP な
らば耐えられる自家製地雷に、M-2の中途半端な装甲は、耐えられなかった。

 もちろん、改造の努力はした。四倍も明るいギンギラのスポットライト(3 million カンデラ)やRPG避けの金網とかも。無人の5.56ミリ機
関銃ターレットもつけてみた。
 車長ハッチには防弾ガラスのシールドもとりつけ、頭を出したところを狙撃される機会を減らした。
 しかし、かんじんかなめの、路肩爆弾対策だけは、どうしようもなかったのだ。

 ストライカーなら床をV断面にするとかの改造型もかんたんにできるが、M-2級になるとロードクリアランスの設計変更とか大面積の増着装
甲とかの根本改造はほとんど不可能。エンジン換装も必要となり巨費が必要だ。そんなことをするくらいなら次世代のGCV計画に資金を投じた
方がよいと、誰でも判断し、M-2はついに死亡してしまった。

■驚異的な「越冬にんじん」の耐寒力。雪の下から青々とした葉が…! しかも、耕してない荒地だぞ。【2012-3-3作文】

二。
 arXiv blog の kfc記者による2012-3-2 記事「How to Build a Speech-Jamming Gun――Japanese researchers build a gun capable of
stopping speakers in mid-sentence」。
  映画館や公共図書館のなかで、延々とくっだらない長話をし続ける馬鹿野郎っていますよね。あるいは会議で、自分に与えられた持ち時間制
限を無視して一人で話し続ける阿呆ンダラとかね。
 そやつらの口を瞬時に封じてみせますぜ。この「発話妨害銃」でね。

 筑波大の Kazutaka Kurihara と、お茶の水大の Koji Tsukada が開発。

 原理は簡単。本人が発した言葉をごく短いディレイでもってそやつの耳にまた聞かせてやれば可い。自分の言葉が大きな木霊のように自分の耳
に響くとその人は喋りつづけることはできない。
 ※これは訓練で克服できるぜ。選挙カーの上で駅頭で応援演説すりゃーわかる。自分の声が逐一ビルに反響して戻って聞こえるので最初は次の
言葉につまってしまう。しかし、やがて、慣れる。だから、プロの喋り屋の演説は、妨害はできまいよ。

 栗原と塚田が考えた銃は、マイクで拾った声を、0.2秒のディレイで本人に打ち返してやる。
 もちろんマイクもスピーカーも指向性。
 だから、周囲の人にはその「木霊」は聞こえない。本人だけが、発話を妨害される。

■函館戦争本の進行も順調のようだ。【2012-3-2作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-1記事「China Has A Scary Plan」。
 シナ軍は、いまや対米戦策の2本柱を、「サイバー工作」と「対衛星」に定めている。米軍の通信と宇宙ファシリティを破壊することで、米
軍のシナ本土に対する攻撃能力を半減させられると信じているからだ。
 ※なにより、米側は、即時・同質の「懲罰」を加えることができない。シナ軍は高度にネットワーク化されていないし、シナ軍の衛星は原始的
なオモチャにすぎないからだ。「対抗不能性領域」が発見されたのである。

四。
 Byron Kerman 記者による2012--記事「A Brief History of the Parachute」。
  いまから100年前、米陸軍の1人の兵隊が初めて飛行機からパラシュートで降下した。
 しかし落下傘の歴史は、レオナルドダビンチまで遡る。

 1912-3-1のことだ。Albert Berry 陸軍大尉(その父は気球乗りだったという)は、セントルイスの陸軍基地上空を飛行する複葉プッシャー型
Benoist 機からジャンプし、安着したのだ。

 初期の傘体は、十全に展開するまでにえらく時間がかかった。たっぷり500フィートも落下したところで、ようやく開傘したという。

 レオナルドは1470年代に、ピラミッド型/テント型の落下傘をスケッチしている。

 レオナルドから150年後のヴェネツィア人、Fausto Veranzio は、記録の証拠の残る者としては初めて、キャノピー(天蓋)型のパラシュート
を発案した。※今日の空挺部隊では落下傘の傘体のことを「キャノピー」と呼ぶ。

 彼の図は、今のパラフォイルに近いものだった。それが実現されたのは350年後であった。

 雨傘を拡大強化して両手に2つ持って飛び降りれば、安全に着陸できるんじゃね? …と最初に考えて実行して木の梢から飛んで成功したの
は、フランス人の Louis-Sebastien Lenormand であった。
 彼は次いで、1783年 に、木枠に14フィートの布を張った落下傘を製作し、 Montpellier の監視塔から飛び降り、みごとに安全に着地した。そ
のときの見物人の中には Joseph Montgolfier も居り、モンゴルフィエは後年、熱気球屋として有名になった。
 ルノルマンは、自分の発明品を「ル・パラシュート」と命名した。パラとはギリシャ語で「反抗する」「対抗する」の意味。シュートは、フラ
ンス語で「落ちる」の意味であり、そこから造語したのだ。
 ※ちょっと突っ込みを入れると「パラ」には「事前に備える」というギリシャ語の意味があって、そこからラテン語の言い回しのパラ・ベラム
「戦争に備えよ〔平和を欲するならば〕」ができたと思ふ。

 熱気球はフランス人が大発達させた。彼等はそのうちに、非常用のパラシュートの必要を認知した。
 そして Jean-Pierre Blanchard という熱気球屋が、木枠を用いず、絹を折り畳んだパラシュートを思いついた。ブランシャールはまず犬でそ
れを実験した。そして1793、彼の乗った気球が空中で裂けてしまい、彼はみずから絹製の折畳パラシュートで脱出して、生還した。

 キャノピーのてっぺんに小孔を開けるといろいろ都合が宜しいということを気づいたのは仏人の Jerome Lalandes である。

 1900年代初期、重要な改善がなされた。飛行機から飛び降りれば、ヒモで自動的に傘が開くという方式である。
 リップ・コードは1914に成功し、「フリー・フォール」が可能になった。

 自動車のエアブレーキとしてパラシュートを使ったのは、1912のロシア人で、セントペテルスブルグで実験された。
 これを飛行機に応用して「ドローグ」もしくは「ドラッグ・パラシュート」としたのもロシア人で1930年代のこと。北極海に浮かぶ狭い流氷の
上に飛行機で着陸するために、それが必要だったのだ。

 米国では1960年代に、ニトロメタン燃料で自動車を加速させる「ドラッグ・レーサー」用に、ドローグが必需品となった。

 空挺作戦としてWWIIで最大だったのは1944のマーケットガーデン作戦だが、これは失敗に終わった。1977に『遠すぎた橋』という映画にされ
ている。※渋い映画でしたね。女が一人しか出てこない。

 物料投下はWWII中に一般的になったものだが、ジレンマがあった。投下点を正確にしようとするならば沈降速度を高めなければならない。し
かしそうすると、着地衝撃で荷物が傷んでしまうのだ。
 今日、米軍に於いては、この問題は解決された。パラシュートにGPSと自動操縦装置をとりつけたからだ。JPADS と呼ぶ。

 凧職人のDomina Jalbertは1960年代なかば、parafoil (= ram-air parachute)を開発した。四角いパラシュートは1970年代にすっかり普及
した。

■3月の草思社本は期待してください。【2012-2-29作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-28記事「Vietnam Builds Harpoonski To Scare China Off」。
  ベトナムがロシアの対艦ミサイル Kh-35 を自国内でライセンス生産できることになった。わかりやすく説明すると、ハープンのロシア版コ
ピーだ。
 ただし、やや軽量。ハープーンが1600ポンドあるのに、こっちは610kgで、100kg以上軽い。
 そして最新のハープーンは最大射程224kmだが、こっちは130kmだ。

 ※シナ海軍にはロクな対ミサイル迎撃能力がない。ベトナムがこれを国産するだけで、「ナンチャッテ空母」ももうおしまいだ。敵艦がどこに
いるのかも判らずに発射してもミサイルは無意味なので、高度なISRを有しないベトナムとしては 130kmぐらいで十分。むしろ、軽量であるメ
リットがデカい。発射プラットフォームが多彩化し、シナ軍が対策できなくなるからだ。

 別名、 SS-N-25 とか Switchblade とか呼ぶこともある。
 こいつはヘリコプターからでも発射できる。

 ※ベトナム級の後進国の場合、ISRファシリティというものがないので、目視で発見、即、攻撃ができ、しかも、直前までこちらの「戦意」
を悟られずにすむ、ヘリコプターや軽飛行機からの運用が、近海防衛ではとてつもなく重宝するはずである。おそらくこれは、米国からの入れ知
恵なのだろう。

四。
 Bradley Perrett 記者による2012-2-28記事「Japan Upgrades Air-to-Air」。
  空自はすでにレイセオン製の AIM-120 Amraams 空対空ミサイルを 36 billion 円($468 million) も買っている。しかし、それとは別に、こ
のたびF-2用に、三菱電機が AAM-4B 空対空ミサイル〔アムラームもどき〕をアップグレードする開発を完了させた。

 この新型AAMは、世界に類例のないスペックをもっている。なんと、弾頭のレーダーが、AESA方式なのだ。

 これと併行して、発射母機であるF-2の機首レーダーも、 J/APG-2 に強化する。ちなみにF-2の機首レーダーは最初から国産のAESAだ。

 ミサイルの射程は2〜4割延びた。
 これは何を意味するかというと、F-2は、飛来するシナ軍のナンチャッテ・ステルス機のはるか遠くからAAMを発射し、さっさと方向転換
して遠ざかれるのである。シナ機の側からは撃ち返すこともできない。一方的にアウトレンジから叩かれるだけとなるのだ。

 長射程AAMは、その弾頭シーカーが敵機をとらえられない遠距離から発射する。そして母機は、その弾頭シーカーがじぶんで敵影を認知する
に至るまで、そのミサイルを誘導し続ける必要がある。そのあいだは、母機はどんどん敵機の方向へ接近して行かねばならない。
 しかしミサイル弾頭のレーダーの視程が延びれば、母機は、このムダな接近を、あまりしなくて済むわけ。

 新型ミサイルを発射するためにはF-2のFCSをアップグレードしなければならない。この工事をとりあえず16機に対して施す。
 そして機首レーダーの交換は40機に対して施す。

 防衛省によれば、この新型ミサイルはアムラームよりも大型だという。それでもF-2はこれを4発も吊下して防空戦闘できる。

 AESAレーダー搭載機がAAMを前段誘導するときは、他国であれば、レーダーを「送信機」として兼用させるのだが、F-2とAAM-4の
場合は、そうはなっていない。母機に誘導専用のデータ・リンク・トランスミッターを搭載する。というのは、AAM-4は「非AESA」であ
るF-15Jからも運用したいからだ。

 F-2機首レーダーのアップグレードだが、アンテナのハードウェアを全取替えするのではなく、新プロセッサーを載せ、アルゴリズムを高速
化し、出力を大きくするらしい。フェイズドアレイ・レーダーの出力をどこまで上げられるかは、電子部品の冷却性能にかかっているのだけれど
も、その冷却法にどんな新機軸を採用したのかは、日本人のひみつひみつ。

 三菱電機は、F/A-18E/F Super Hornetの機首に搭載されているAPG-79のスペックを目標として、J/APG-2 を開発したらしい。APG-79は、最新型
アムラームの能力を引き出すためには是非必要なものだった。ということはAAM-4Bは、最新型のアムラームに能力が迫っているのであり、それ
スパホよりずっと小さい単発のF-2で実現したのだとしたら、野心的な快挙である。もちろん、米航空業界の「専門家」たちは、「そったら
こと、できっこねーっぺや」と口を揃えているが。

 2018をめどに、F-2のミッション・コンピュータも新型を開発する。

 ※兵頭の持論。今の戦闘機の機体やエンジンは農業であり、電装品は工業である。農家は不眠不休で頑張っても1年に1回しか「実験」はでき
ない。しかも土地が有限だから失敗がゆるされない。漸進でなく躍進しようとすれば自殺だ。工場主は、不眠不休で頑張れば、月に何回でも「実
験」可能。開発拠点は随意に増やせるし、失敗の許容量を大きくして、大飛躍も招きよせられる。斯かる農業と工業の進化の速度差は、歴史的に
開く一方であると知れ。それにしても朗報だね。だからスーパーホーネットを買う必要が無かったのか……。めでたしめでたし。

■連日除雪で知らぬ間にボディビル状態に…!【2012-2-27作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-25記事「Backfires Burnished To Buy Time」。
  ロシア軍は30機の既製の Tu-22M3 バックファイア を Tu-22M3M 基準にアップグレードする。ただし完了は2020年を予定。
 バックファイアのM型は最新版であり、最近就役が始まったタイプ。空中給油装置が復活されている。

 10年前、ロシア軍は100機強のバックファイアを有していた。
 ソ連消滅の1991時点では、300機以上。
 1969から1993までの総生産数は約500機である。

 80年代のアフガン戦争では絨毯爆撃に任じている。
 2008の対グルジア戦にも投入。
 輸出先も探したが、ダメだった。※シナからは引きがあったが断った。

 Tu-22 は全重 126 ton、双発、可変後退翼。米空軍の全重45トンのFB-111を彼らなりに模倣せんとしてサイズが倍以上にデカくなったと考え
られる。正副操縦士の他、爆撃照準手と自機防禦担任の計4人乗り。初期型は尾部に23ミリ機関砲を有していた。

 短距離ミッションなら24トンの爆装可能。普通は12トン以下。
 combat radius は 2,400 kilometers。
 初期型は空中給油機能を有していたが、SALTのとりきめで80年代前半にその装置がなくされていた。

 ※ロシア公人の唐突な「対日強硬発言」がシナのメディア経由で日本に輸入されているのをみて、そもそもロシア人を挑発しているのが「なり
すまし日本人」のロシア語投稿だったのではないかと疑うようになった。シナ政府雇いの「2円部隊」が得意のロシア語を駆使して日本人になり
すまし、挑発的な書き込み工作をロシア人向けウェブページで地道に執念深く展開しているのだろう。そしてロシア人の公人がそれに反応した
り、誘導インタビューにひっかかると、こんどはシナ政府の御用新聞で大袈裟に報道して、その抜粋をご丁寧に日本語訳して日本のネット空間に
輸出する。それに馬鹿右翼が釣られて騒ぐ。マッチ&ポンプならぬ、マッチ&マッチだ。

三。
 Mark Thompson 記者による2012-2-24記事「Navy Seeking More Minority SEALs」。
  ネイヴィ・シールズには、黒人はほとんどいない。これじゃマズいだろうってんで、海軍は何とかすることにした。

 特殊部隊員は、頭が良くてアスリートでなくばならず、しかもシールズの場合は、水泳が得意でないと困る。米国社会では黒人と水泳プールと
は疎遠であることが多いので、シールズにも黒人が少なくなるのだ。

 もちろんゼロではないが、シールズの将校のうち黒人はタッタの2%である。

 シールズ隊員の募集は、男子限定、16歳から24歳までが対象だ。
 『ニューズウィーク』誌の最近の表紙にシールズ部隊が使われているのだが、写っているのは全員が白人。これが現実だ。

 シールズ新兵はまず Basic Underwater Demolition /SEAL training (BUD/S) という入門教程でシゴかれねばならないのだが、なんと、4人の
うち3人はここで脱落してしまう。

■3月16日配本の『日本人が知らない 軍事学の常識』(草思社)は、予価1890円です。【2012-2-25作文】

一。
 Joe Pappalardo 記者による2012-2-24記事「How Act of Valor's Directors Filmed With Real Special Operations Forces。
  多くの特殊部隊映画の中でも特にリアリズムにこだわった『Act of Valor』が本日米国で公開されるので監督に話を聞いてみた。

 特殊部隊が撮影されるときは顔が隠されるのに、この映画ではホンモノのシールズ隊員が、ドーランすら塗らずに画面に顔大写しですよね。

 そう。彼等は今回はルールを破ったんだ。
 特殊部隊の男というと 従来の映画では ほとんど犯罪者と見まがう、「ランボーターミネーター」÷2 といったタイプが多いよね。ステレオ
タイプだ。しかしリアルの連中はマトモで頭が良くて家族思いなのさ。そのギャップを売り物にしたかった。

 この映画ではCGIを使ってない。実弾を発射しているんだ。
 そのかわり海軍は、オレたち映画クルーの目の前で特殊潜航艇を止めてくれたりはしなかった。オレたちはドキュメンタリー風に撮影する機会
は与えられたが、すべて振り付け無しの一発撮りだ。

 彼等はいかなる contingency に遭遇してもそれを乗り越えるプランを用意している。そういうところを見せてドラマを盛り上げるために、計
画がうまくいかないストーリーにしたよ。
 観客のみんなが普通の生活を送っているあいだも、どんな男たちが人知れずにどんな犠牲を払っているのか、この作品で、知って欲しいね。

二。
 Dan Nosowitz 記者による2012-2-24記事「There Are Way More Blood Types Than You Think」。
  ヴァーモント大学の研究グループが、ヒトの赤血球の中に、あたらしい2つの蛋白質を発見した。つまり、「血液型」は、これまで知られて
いた以上にもっと複雑で、すくなくも「32タイプ」に分類しなければ、輸血事故が起き得るということが分かってきた。

 ところで、この「Junior」と「Langereis」と名付けられた新しい2つの血液型だが、それは東アジア、殊に日本人に多いというからおそろし
い。日本には5万人以上、いるはずだという。 ※血じゃ〜。

■ほかのライターの人はどうやって喰っているのか知りたくなってきた。【2012-2-23作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-22記事「No One Expects The Thought Police」。
  北鮮政府がまた新しく反政府思想取り締まり警察を設立した。反政府DVD、反政府らくがき、反政府戯れ歌も、厳しく厳しく取り締まる。

 ※『BAN』の最新号によれば北鮮にも携帯電話を所有する富裕層が80万人居り、かたや、労働者の平均賃金は日本円換算で「壹百円」也。す
なわち 100均ショップで1つ買い物すると、1ヶ月分の給料が消えてしまうのだ。それでも失業者はたくさんいるのだという。搾取するものなど
何も無い、楽園だね。
 三代目は、おじの Jang Sung Taek に操縦されている。そやつは金正日の姉妹の旦那だという。そやつは北鮮の国際集金係であり、よってリッ
チである。
 国全体が貧乏な場合、そこで小金を支配する者は、ミダス王になれる。
 そやつは国内富裕層の箪笥にある外貨をガサ入れで没収する政策の主導者だ。国民は外貨を国営銀行に預けるべきなのである。もちろん、引き
出しは自国通貨で、それも酷い換算レートでしか、出来ない。だから闇両替商は大繁盛。
 電力不足が深刻な北鮮政府は、鉄道ダイヤを昼から夜にシフトした。
 つまり工場が動かない深夜、その余りがちな電力で、電車を走らせればいんじゃね、というグッドアイディア。深夜なら通勤客も乗らない→
もっとダイヤを減らせる→省エネで地球にやさしい、という好循環。
 これで、飢えた都市人民が、食糧買出し列車に鈴なり乗車――という1990年代の大飢饉時代におなじみだった風物の再現もあり得なくなった。マンセェーッ!
 ※なんか昭和20年の日本の内地の様相を、B-29抜きでセルフで実現しているようなデジャブ感なんですけど。
 鮮満国境には、シナから監視カメラが輸入されて設置された。秘密警察は、有線(ケーブルは地中埋設)で、人民の国外逃亡や「抜け荷」活動
をリアルタイムでモニターできるのだが、逃亡や密貿易を取り締まるためにこんなカメラを設置しているわけではない。現場で、国境警備隊が国
家を裏切る徴候がないかどうかを見張っているのだ。
 多数の北鮮人が商売のためにシナ側へ一時越境している。もちろん、国境警備隊に多額の袖の下を掴ませているのだ。

 米韓演習についてまた北鮮政府が〈宣戦布告とみなす〉だとかの毎度おなじみの放送をしているが、これは実は米韓向けに放送しているのでは
なくて、北鮮国内の情弱な人民に対して放送しているのである。つまり「政府は外敵から人民を守る仕事をしているぞ」と思い込ませ続ける言論
活動が、彼らには必要なのであるニダ。

 密輸DVDのうちもっとも北鮮政府が脅威を感じているのが、韓国内で放送されているテレビニュースやドキュメンタリー番組を、そのまま録
画しただけのモノ。〈韓国経済は北鮮以下のどん底である。韓国人は米国軍のために奴隷にされている〉という宣伝が簡単に無効化されてしまう。

 2-19に北鮮で1人の日本人が起訴された。容疑は、4000台の中古パソコンを2008〜2009に密輸入したという咎。しかし北鮮ではラップトッ
プPCであってもそれを所有できるのは政府高官の家族に限られる。ちなみに中古といっても日本製の中古は1〜2年落ち。日本人は次々にPC
を新品に買い換えるビョーキを有しているので、このような新同品の中古PCがアジア・アフリカ向けに大量に放出されるのだ。市場に出回って
いるものを闇ディーラーが介在して北鮮に運び込むことは訳も無い。
 韓国は、潜水艦管制センターを設立した。また、ミニサブの設計を開始した。また、現有の潜水艦よりも少し大きな潜水艦を、更新用として発
注した。

柔術の「小手返し」の自己練習もCTSには悪そうだ。「小手捻り」ではシビレは出ない。【2012-2-21作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-20記事「The 50 Ruble Army」。
  ロシア政府はシナ政府の真似に踏み切った。政府批判がまきおこったときに、インターネット・ユーザーに小金を払い、メッセージ・ボード
に政府支持のコメントを書き込ませるという作戦だ。
 シナではこのチームは "50 Cent Party" 〔2元組?〕といわれて、フルタイム・ジョブとアルバイトとからなっている。フルタイムの職員
は、一人が一日に最高100回、投稿する。もちろん、一人が数十種類の異なったアカウントを駆使してだ。
 パートタイムの方は、じぶんのアカウントを使用して書き込む。
 報酬には差がある。正しい英語で投稿できる者が、最も稼ぐことができる。こやつらは「ネットの傭兵」として結構な小遣い稼ぎをしているのだ。
 シナでは8年前からこの「2元(2¥)部隊」が暗躍を開始した。
 シナ宣伝省が、在野でありながら政府寄りなコメントを書き込んでいた奇特な個人たちに声をかけて、まず最初のチームを編成した。
 そのチームは当初は大勢だったが、適切・効果的な投稿工作のできない者はどんどんふるいおとされた。宣伝省は、残った適格者を「上級訓練
コース」に国内留学させ、さらに能力を開発。これが今の「フルタイム投稿軍」の中核になった。別名 "Internet Apes"(ネト猿)。「ネトー
軍」だ。
 ある時点で、このような、北京政府に雇われたフルタイム/パートタイムの投稿工作隊は 100,000 人近く居たと。
 その真似を、ロシア政府も始めることにしたのだ。

 シナ大衆といえども馬鹿ではなく、低能なネト猿の投稿であればすぐに見破り、イグノアしてしまう。ところが高度なスキルを獲得しているネ
ト猿は、けっして政府の回しものだと見破られることなく、ネット輿論をリードできるという。

 合衆国では、選挙戦や、商品宣伝の業界で、この技法が採用されている。 それを "viral marketing"(ウィルス性マーケティング)と呼ぶ。
 ※「ステマ」は日本人が覚え易いように呼び変えた和製英語なのか。

 またCIAは、反米的もしくはプロ・テロリスト的な書き込みをネットにしている個人を発見すると、その人物をたくみに挑発する議論を投稿
したりして、相手や閲覧者の本心の書き込みを誘う。その過程でほんとうにあぶない人物を特定する。あるいは周縁的情報収集の一環としている。

草思社の新刊『日本人が知らない 軍事学の常識』は 3月16日配本の模様。この久々ハードカバーが日米軍事利権の構造を解説する。見本は9日予定【2012-2-19作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-18記事「Another Chinese LPD Shows Up」。
  中共軍の「071」級のドック内蔵型揚陸強襲艦の2番艦『Jinggang Shan』は昨年後半に南シナ海にて就役した。
 1番艦の『Kunlan Shan』〔崑崙山?〕は4年前に就役している。
 いまのところ、この2隻が、シナ海軍の最大のフネである。(ただし「ナンチャッテ空母」が就役すると、最大ではなくなる。)

 3番艦は竣工間近か。
 4番艦は、発注がなされた段階だろうと推定されている。※なんと不透明な軍隊だ!

 これらLPD艦は長さ 210 meter、排水量 20,000 ton 、上甲板からはヘリ4機を飛ばせる。艦尾からは4隻のホバークラフトを発進させられ
る。それとは別に2隻の大発をダヴィッドから泛水させることができる。

 ※日本の『しらね』を更新する「22DDH」はこいつより500トン小さいのに長さは248mあり、ブラックホーク級ヘリ×5を甲板に並べ、乗員と兵員総計970人を運び、ウェルドックはないが、サイドランプがあって、岸壁から戦車が直接自走で搭載/上陸できるという すぐれものらしい。19500トンという数値はぜったいに「宣伝」上の配慮をしてるよな。「2万トンは超えるなよ」というくだらない配慮を。

 071級は、完全武装兵員を最大800人(通常は500人)詰め込める。
 AFVは20両を積載。

 同格艦としては米軍の 25,000 ton の『San Antonio』級や、フランスの 21,500 ton の『Mistral』級がある。
 071級は艦固有の乗員がたった120名。ミストラルは180人だし、サンアントニオは396人だ。

 071級の1番艦は2年前、ソマリアに出張した。そのときZ-8大型ヘリを2機、搭載していった。これは1機でコマンドー隊員20名を運べるも
ので、しきりに、貨物船を強襲する訓練をしていた。また、ホバークラフトで海賊船をチェイスしたという。

 シナ軍艦のソマリア海域出張は、4ヶ月ローテーションとなっている。
 2番艦の就役で、最大の脅威を受けるのは、スプラトリーの一部を領有するベトナムとフィリピンである。

 ※警察官=犯罪者であるド腐れの国フィリピンなどに米軍の家族は住みたがらない。だから家族はあくまで治安良好な沖縄に置いておき、兵隊
だけが短期ローテーションでスビック湾に出張駐留するのである。尤も、フィリピンをここまでも堕落させたのは旧宗主国アメリカが押し付けた
「偽憲法」にほかならないんだけどね。かわいそうかわいそう。

■左手でメシを喰うには 先割れスプーンが重宝だ。それと皆さん、剪定鋏で篠竹原野を開墾しようとすると2年後にCTSになるよ。オレが症
例。【2012-2-17作文】

一。
 Stephanie Warren 記者による2012-2-14記事「Will Hurricanes Wipe Out Offshore Wind Farms?」。
  最近の研究によると、今後20年以内に発生し得べきハリケーンによって、米国沿岸の風力発電塔の半分近くは倒壊してしまうだろうという。

 カーネギー・メロン大のチームは過去のハリケーン記録を精査し、海上での風力はいかほどであったか検討した。その結論だ。

 恒常風が存在することと、景観破壊について住民が文句を言わないという点で、米国でもいまや風車塔の新立地は 沖合い遠くにしかないと考
えられている。しかしそのような海上では、暴風の強さも陸上の比ではない。

 「カテゴリー3」のハリケーンとは、毎秒50マイル以上の暴風を伴うものだ。これが来れば、既存の風車の46%は倒され得る。
 記録によれば、1856から2008のあいだ、太平洋岸を除くすべての米国沿岸州は、いずれも1回以上、この「カテゴリー3」のハリケーンに襲わ
れている。

 では電力ベンチャーはどうすればよいのか?
 まず、統計的にハリケーンがやって来難い場所を選ぶこと。大西洋岸の北半分は、南半分よりも安全である。

 また、風車はナセルに横から強風を受けると弱いので、回転軸をできるだけ風に正対させるべきである。
 しかしハリケーンの風向は1分おきに変化することもあり、それは至難だ。

 業者は「オレたちはハリケーンのことならよく知ってる」と言うものだが、ハリケーン常襲地帯に住んで、連年ハリケーンの猛威を体験してい
る投資家ならば、そんな甘い見通しはけっして持たないであろう。

 ※わたしゃ宮古島で根こそぎぶっ倒された巨大風力発電塔の鉄筋コンクリート基盤の上に立ち、「風車スタイルではダメだな」としみじみ思っ
た。しかし「海力発電」は有望である。高い「灯標」タワーをフローティング式に浮かべ、それが風や波で「揺らされる」エネルギーを、喫水線
下の発電機構で回収するのだ。これなら「恒常風」には依存せず、むしろ風力・風向が変化することが発電総量を増してくれるであろう。強風が
来れば、ヨリ斜めにかたむくだけで、柳に風と受け流すことができる。波やうねりが高いときも同様だ。

二。
 APの2012-2-?記事「Italian ship fires on Indian fishing boat, 2 dead」。
  イタリアの貨物船乗員が、インド洋のインド人漁民を 海賊だと勘違いして発砲。2人を即死させた。
 このイタリア船は『Enrica Lexie』である。
 場所は、インド Kerala 州沖。

 インドの沿岸警備隊とインド海軍がこのイタリア船を Kochi 港に連行して取調べ中である。

 漁船のオーナーはFreddyという名しか判っていない。
 発砲を受けたとき漁船に乗っていた他の9名の漁師は無事である。

 ※先に撃たれてもいないのに 漁船に向かって商船の方から先制的に照準銃撃するなんて あり得るか? イタリアの商船学校は、何を教えてい
るんだ?

■雪投げスコップ作業で「手根管症候群」発症。今日から飯を喰うのも左ギッチョじゃ【2012-2-15作文】
二。
 Tim Heffernan 記者による日付不明記事「The machines that made the Jet Age」。
  なぜWWII中にドイツは3機種ものジェット機を戦列化できたのか?
 理由の一つは、ドイツが「ジュラルミン(アルミとマグネシウムの軽合金)の鍛造」を いちはやく実用化できていたことだ。
 それによって、連合国の工場ならスチールをボルトで組み合せていたようなパーツを、ドイツでは絞り出し一体成形やプレス型抜きで、軽合金
から量産することができたのだ。

 この最良のプレス機を1945にソ連軍がぜんぶ持って行ってしまった。
 脅威を予測した米国では、1950年代に、ソ連保有のドイツ製プレス機を性能で上回るべく、とんでもなく巨大な型打ちプレス機(closed-die
forging press)を複数、製造した。
 Heavy Press Program というプロジェクト名がついていた。

 高さはビルの9階建て相当。重さは 16 million poundsで、プレス力は 50,000 tons というバケモノだ。厚さ1フィート、巾15フィートのチ
タン合金の延べ板をこいつの口に突っ込めば、1回のプレスによって、F-15戦闘機の最大のバルクヘッドが一体パーツとして成形されてくる。
ボーイングエアバス旅客機の構造材も、こいつのお世話になっている。

 WWIIの復員と国家総動員解除で、米国にも大量の男女失業者が発生すると懸念された。陸軍と海軍では、もはや巨大プレスなどに用は無さそ
うだった。そこで、主に空軍のための国家出資プロジェクトとして、1949に Heavy Press Program がスタートした。ソ連との冷戦は、空軍で決
着をつけるのが合理的だと考えられた。また、大量失業者は少しでもハイテクな分野(民間航空宇宙産業)で吸収すべきであった。米空軍と宇宙
航空産業は、戦後不況回避の牽引車たるべく、かつまた対ソ冷戦の主役として、米国国家指導層から期待をかけられたのだ。

 5万トンプレス機はまずアルコア社のクリーヴランド工場に据えつけられ、1955-3-5に作動開始した。ついで3万5000トン・プレス機もで
きた。
 F-105の翼付け根、B-58の主翼桁、B-52の主輪軸耳、C-130のバルクヘッドなどが、このマンモス・プレス機から続々と部材提供されたのだ。

 5万トン・プレス機は、本体の設計は1台づつ違っているのだが、「ダイ(打ち型)」が交換式になっており、その「ダイ」を別な機械に取り
付けることが可能である。これは、戦争中に、ひとつの軍需工場が爆撃されてプレス機が動かせなくなっても、その「ダイ」を別な工場にもって
いけば、そこでプレス作業を継続できることを意味した。

 1990年代に、8000トン・プレス機の一台が、スクラップとして売りに出されたのだが、その行方が、記者にはつきとめられなかった。可能性と
して、韓国か中共が、買い取って、本国に持ち去ったかもしれない。

 昨年、日本の4メーカーがジョイントで、あたらしい5万トン・プレス機を製造し、発電所の部品などを量産することに決めた。
 シナでは Erzhong社が、史上最大の8万トン・プレス機をつくって、宇宙分野に必要な部材を供給するという話だ。

■湿雪が増えている。やはり温暖化なのか…【2012-2-12作文】

一。
 Amy Butler 記者による2012-2-10記事「The Rise And Fall Of Global Hawk Block 30」。
  米空軍は2001からグロホのプロジェクトをひきうけ、今は55機運用している。
 U-2を更新することになるのは、Block 20/30 で、初期型より大きくなっている。
 しかし U-2派=有人派との 部内での戦いは 長く続いた。
 U-2は有人であるためパイロットはせいぜい10〜12時間しかコクピット内には坐っていられない。グロホは24時間以上も平気で舞っていられる。
 グロホはUAEの Al Dhafra AB からも飛ばしている。
 しかし空軍はブロック30の生産を中止させ、既製分はモスボールすると決めた。理由は、U-2に比べて運用のコストが高くなってしまったか
らだという。
 議会はこの言い分に疑問を抱いている。
 1時間あたりの運用コストをくらべてU-2の方が低いといっても、U-2は1機が24時間飛ぶことはできない。そこをごまかしているのではな
いかと。
 その面倒を加味すれば、むしろグロホの方が年間の運用コストはU-2よりも $220 million 安上がりであると。
 ※その前に「第二のゲイリー・パワーズ」をもしイランに確保されちまったらプライスレスの損害を米政府が蒙るだろうってこと。空軍は政府
の迷惑を考えないキチガイ揃いなのだ。
 空軍は卑劣にも、ブロック30を運用中止にしてU-2に代役させると年間でいくら浮くのか、公表していない。
 これまでの計画ではブロック30は31機調達するつもりであり、18機がすでにノースロップに対して契約発注済み。
 イランやシナの国境のギリギリ外側から敵国領土内を監視するのに必要な「斜め(slant)撮影」赤外線カメラ(EISS)の「視程」が期待値に
届かず、完成が遅延。これがブロック30の調達単価を押し上げている。
 ※だからSR-71のようなものが必要だとか言い出すのだろう。空軍はこの衛星時代、そして側方監視合成開口レーダー時代に敢えて不必要な要求をグロホにおしつけることでグロホを退場させようと謀っているのだ。
 また、敵国の多数の防空レーダーや無線を傍受し、その発信座標を瞬時に全部把握して味方有人機の空襲に役立てようとする野心的な装置
「ASIP」も性能が期待値に届かず、完成が遅れている。これもブロック30の単価を押し上げている。
 ※どうしても無人機を有人機空襲の露払いとして貢献させようという空軍の欲望がそもそも有害なのだ。
 グロホのセンサーに対する要求が逐年過大になっているため、初期のBlock 10 RQ-4A versionはペイロード 1,000 lb.でよかったものが、
Block 20/30 RQ-4Bでは 3,000 lb. が必要になった。
 U-2はセンサー・ペイロードが5000ポンドもあるので、ASIP とか EISSを搭載できるが、グロホにはムリである。こういう図に空軍は持って
きた。
 海軍は70機の Block 40 を買って哨戒機にする。その最終調達は2028を予定。
 空軍のグロホの基地は、米本土では、Beale AFB(加州)と、Grand Forks AFB(ノースダコタ州)にある。
 ※ノースダコタから極東に最短距離で飛ぶ場合、カナダ領空を横切る。

■さいきんは算盤塾を見ないな…【2012-2-11作文】

一。
 Dan Nosowitz 記者による2012-2-10記事「PopSci Primer: The German-Style Board Game Revolution」。
  ドイツが本舗で、ユーロスタイルとも称されている、アナログのボードゲーム。今のところ、最も有名なのは、商戦略ゲームのひとつ
「Settlers of Catan」だろう。
 このゲームには、米国の「モノポリー」人生ゲームが有していなかったあらゆる面白特長が揃っている。
 まず、簡単であるが、鬼のように〔fiendishly〕クレヴァーでもある。
 凡百のゲームにはありがちな「退屈な死時間」が無い。
 多人数パーティで全員が一挙に1ゲームに参加ができる。そして途中で誰かが不面目にも脱落させられることもない。しかも、サイコロなどの
偶然投機性を排除する。
 ドイツ人のボード・ゲーム好きは異常で、有名雑誌には、たいてい、新作映画のレビュー欄と並び、新作ボードゲームのレビュー欄が充実して
いるのだ。
 ドイツ人のゲーム開発者は、常に新機軸に挑む。これは米国のゲーム屋とは異なった態度だ。ドイツには「年間ゲーム大賞」までも設けられて
いる。
 いずれもしっかり設計されているので「デザイナー・ゲーム」とも総称される。デザイナー(ゲーム設計者)は、ドイツでは神セレブあつかい
である。
 ちょうど映画の宣伝パンフで著名な監督名を大書するように、それらゲームの商品箱には Reiner Knizia, Klaus Teuber, Wolfgang Kramer と
いったクリエーターの名前がデカデカと印刷されて人目を惹くようになっている。
 『ポピュラーサイエンス』は、この市場に詳しいシアトル在住のDaniel R. Nelonにインタビューした。
 ユーロゲームの最大の特徴は、双六でもルーレットでもないということです。とにかく偶然の要素を排除しているのです。
 それと、素材にプラスチックは使わない。木製にこだわってますね。
 盤面には、何語によっても、文章は書かれていません。だから、異なる言語を話す人々が一緒にプレイできるわけ。もちろん、ルールを予め
知っている人に限られますが。
 あと、軍事ゲームよりも経済ゲームの方に上位価値があると考えられているようです。
 そして、絶対に「途中強制退場者」は出しません。ゲームが終了するまで、全員がそのゲームに参加し続けられるのです。あまりに成功し過ぎ
たために「商取引を他の全員からネグられる」といったことは起こり得るんですがね。
 これはもうひとつの良い点でもあります。「毎回ダントツぶっちぎり独走強者」は発生しないようにバランス設計されているのです。ゲーム中
盤で後落した人にも必ず終盤までに大挽回のチャンスがあるのです。

 分類すると、セトラーズ・オブ・カタンは、業界的には「gateway games」の範疇です。
 1995に発表されたのですが、いまや米国でも「人生ゲーム」を駆逐する勢いですよ。

 米国では1980年代にユーロゲームが流行りだしました。
 しかし決定的に普及したのは、インターネットのおかげです。
 米国では「Advanced Squad Leader」のような戦争ゲームが先行しました。