■シナ経済のリセッションは本当みたいだ。すると石油は安くなるか。【2012-3-13作文】

二。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-12記事「Another Yuan class taking the long journey from Wuhan to Shanghai」。
  Jiangnan 造船所で、最初の Yuan 級の潜水艦が竣工した。
 シナではこのクラスの潜水艦を複数の造船所で建造できるらしい。Wuhan や上海などで。

 参考までに2011-5-16の古い記事。
 Qing 級の潜水艦が Wuhan 造船所から上海へ回漕される。就役前の領収試験がある。
 Qing級の特徴は、対地攻撃用の巡航ミサイルを、魚雷発射管からだけでなく、背中から垂直発射もできること。

 ※この巡航ミサイルは嘉手納基地を狙うもので、それに対抗して嘉手納のF-15C部隊はAESAレーダーとアムラームによって巡航ミサイルを洋上で叩き落す訓練を積んでいる。日本の空はいつのまにか米軍機によってシナから守られるようになっているのだ。

■見本が来たが、意外にぶ厚いのでオドロク。ひと晩じゃ読めんわ。【2012-3-12作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-11記事「Chinese Sailors Are Experienced」。
  2008からインド洋に派遣されている、海賊防遏用のシナ艦隊。構成は、駆逐艦またはフリゲート×1〜2隻、補給艦×1〜2隻。
 第11次派遣艦隊は、駆逐艦1、フリゲート1、補給艦1である。
 シナ海軍は、このインド洋任務をもって、貴重な「艦隊訓練」だと位置づけている。
 一回の任務はソマリア沖で4ヶ月だ。同海域まではシナの港から1万kmあり、片道が2週間がかりである。

 シナ海軍は、ぜんぶで74隻の駆逐艦フリゲート艦を擁している。あと5年もすると、すべての駆逐艦フリゲート艦が、ソマリ沖パトロールを体験済みとなるだろう。
 1回につき700人以上の水兵や特殊部隊員が、貴重な「実戦」経験を積む。彼等が任務終了後にシナ海軍全体にその経験を伝授する。

 同海域への海自の艦隊は、「第151任務部隊(TF151)」である。
 欧州諸国の合同艦隊は EUNFS (European Union Naval Force Somalia) という。TF151とEUNFSの間には、連携がとれている。

二。
 星条旗しんぶんの2012-3-11 記事「How spies used Facebook to try to steal NATO chief's details」。
  英『サンデイ・テレグラフ』紙のすっぱ抜きによると、シナ工作員のフィッシングがもののみごとに大成功。

 米軍の欧州コマンドの司令長官、且つ、NATOの先任司令官でもある米海軍のJames Stavridis提督を装った、贋物の「フェイスブック・アカウント」が立ち上げられた。それを信用した英軍の将官や英国防省の職員らが、個人のメルアド、電話番号、顔写真などを、大サービスで進呈しちまったらしい。

 現在、この贋フェイスブック・ページは閉鎖されている。

 ※高度の秘密に関与する公人は、いかなるソーシャル・ネットワークにも参加すべきではない。マクリスタル大将の隙だらけのツイッター書き込みを見てわたくしはそれを悟った。贋物でなければOKという問題ではなかろう。

三。
 APの2012-3-11 記事「Afghanistan denies alleged smuggling by air force」。
  米国はアフガン国軍に、ロシア製ヘリコプターなどの航空機をプレゼントしてやっているのだが、ド腐れ体質のアフガン人将校どもは、その「空軍」輸送機を使い、せっせと麻薬密輸出ビジネスに精を出しているという。『ウォールストリートジャーナル』紙が報じた。

 昨年4月にアフガン空軍の大佐がカブール空港で8人の米空軍将校に銃弾を浴びせた事件があった。どうやらこれも麻薬ビジネス絡みだった。

四。
 SCOTT McDONALD 記者による2012-3-10記事「China: 24K abducted women, children rescued in '11」。
  日曜日に中共の公安省が統計を発表。シナ警察は2011に同国全土で、2万4千人の女子供を、誘拐犯から取り戻した。
 シナでは婦女子誘拐は大ビジネスである。人身売買がいまだにおおっぴらにおこなわれているのだ。

 男尊女卑の儒教文化があるのに加えて長年の「一人っ子政策」は、シナ住民の性比をいびつにしている。若い女は若い男にくらべて著しく少ないので誘拐すれば高く売れる。それを買うのは、ヒキニートの未婚男子をもつ両親なのだ。そして強制結婚させた夫婦も男児だけを製造しなければならない。不用な女児は転売され、価値ある男児は業者がまたどこかからか誘拐してきてくれる。

 警察が摘発できた誘拐犯罪組織は、2011年には3200グループであった。

 人身売買はシナ国内でのみ完結してはいない。昨年には、19人の若いシナ女がアンゴラへ密輸されて売春業に従事させられているケースが摘発された。
 拉致組織が国境外、たとえばベトナムに本拠を置いている場合もある。

■蛾虫温泉は、途中 道標が無さ過ぎるが、行く価値はあった。【2012-3-11作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-10記事「China Builds Better Puppets」。
  西洋からの批判を封殺するため、北京政府は全力でロビー活動を展開しているところ。経済的影響力もフルに行使し、非難は黙らせるつもり。
 外国人の学者、ジャーナリスト、政府官僚に対して「一本釣り工作」も推進中。

 特に、ハリウッド映画で元の台本にシナに対する批判的な要素があるものは、その要素が除去されるようになったという。

 ※これは逆に米国の民間宣伝会社が「ウチに大金を支払えば、いま製作進行中のこの映画の内容を、少し変えてあげられるんですがね〜」とシナ大使館に売り込んで、うまいこと商売をしているのだろう。バックマージンは当然プロダクションにも回るのだろう。それを見込んで最初から台本には、わざわざ反支的な要素をちりばめておくのだろう。つまり「見せ台本」を作っているのだ。この商売、日本のマスコミ各社も真似できる。たとえば、「反韓」TV番組や雑誌特集を制作予告すれば、この手で韓国政府からいくらでもカネを搾り取れるのではないか。

 シナは外国の大学に「研究費」を醵出することで、取り込み工作に邁進中である。
 そうした上で、援助を受けた西側の大学や研究所が、反支的傾向のある研究者を正規に雇わぬようにという圧力を、シナ政府はかける。のみならず、大学内では「反支的」な講義も、いっさいさせないようにと、要求をするという。

■3月には『新解 函館戦争』も出るので売上の相乗効果を発揮すべく宣伝します。【2012-3-10作文】

一。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-6記事「Maj. Gen. Luo Yuan proposes establishing national coast guard」。
  これは『PLA Daily』の2012-03-06記事のほぼ転載らしい。※PLAとは中共軍のこと也。その機関紙也。

 シナ軍の軍事科学を仕切るナンバー2である Luo Yuan 少将が3-5にインタビューに答える形でいわく。
 「maritime law enforcement」〔海監? 海警?〕と「right protection forces」〔漁政その他の機関のことか?〕は、ひとつの「国家沿岸警備隊 national coast guard」に統合されるべきである、と。

 理由は、外国がそうしているからだ、と。

 国家沿岸警備隊の活動海域は、EEZを越え、北京が主張する大陸棚の限界までとする。そこより遠くは、海軍の領域になる。

 ※この少将がいったい誰の利権を代弁しているのかで、解釈はぜんぜん違ってくる。〈海軍艦艇以外のオフィシャル船艇が遠洋に出張して派手に暴れるのは苦々しい〉のか。それとも、〈南シナ海でラミングなどで暴れている非武装の漁政にかえて、武装船である海監をもっと活躍させたい。海監にもっと予算を回してくれ〉と思っているのか。 以下を読むと、この少将が、もっと国家寄りの高所から、「第二海軍」としての「武装海監」を強化したい意向なのであると疑える。「列国並にすべし」とは、有事にはコーストガードを軍が指揮下に組み入れることを説きたいがための伏線だろう。ということは、現状の「海監」は、軍(特にシナ海軍)の命令に素直に従ってはいないということなのか?

 以下に参考資料として、2009-11-19にアップロードされている、Lyle Goldstein 記者の記事「Chinese Coast Guard Development: Challenge and Opportunity」。

 〔寧波?〕Ningbo には China Coast Guard Academy がある。
 その、シナ海監大学校の2006研究リポートがいわく。シナのコーストガードは装備が劣悪すぎる。ほとんどが500トン以下で、ヘリコプター搭載型もほとんど無い。これでは大国の面子が立たない。国家はウチにもっと予算を投入すべきである。

 米コーストガードは250機の航空機を有する。日本のコーストガードは75機だ。しかるにシナのコーストガードは36機だ。これではシナの面子まる潰れだ。

 シナのコーストガードは、 Haijing と発音され、意味は Maritime Police である。※意味不明だぜ。漢和辞書によれば「監」の発音はjian。「警」の発音はjing。まさか、ここでは「海警」の話をしているのか??? この記者は「海監」と「海警」を混同しちゃっているのか?

 Maritime Police は、小型の艇 (type 218) と大型の艇 (type 718) を有している。これらはcutters (coast guard vessels)である。
 大型の艇だが、排水量 1,500 tons で全長 100 meters 、固定武装として1門の 37mm deck gun。
 ※この記者は、ひょっとして、「海監」と「海警」が別な組織として併存していることを知らず、ここでは「海監」のことをわざわざ「海警」と呼んでいるのか?

 Maritime Police はシナ海軍の軍艦 Jianghu-class frigates を2隻、受領している。
 ※「シナ海軍」を英語表記すると面白い。People’s Liberation Army Navy (PLAN) となっちまうのだ。

 シナには、Maritime Safety Administration (MSA) というオフィシャル機関もある。これは交通運輸省の管轄である。

 また、Maritime Surveillance (CMS) というオフィシャル機関もある。これは国家海洋局 State Oceanic Administration (SOA) の所管である。

 マンパワーを見ると、MSA は最も大所帯で、2万人以上を抱えている。

 1999に黄海で真昼間に Dashun ferry disaster が起き、乗客 304 人が水死した。それで2003-2までに沿岸部の救難体制が整備され、2006にはヘリコプターによる救難も可能になった。
 MSAにさいきん加わった114m船艇は、『Haixun 11』といい、2009-9就役だ。所属部署は Weihai 。

 CMSの主務は、EEZのパトロールである。シナ沿岸での海洋汚染も取り締まる。
 2008-10-21の人民日報によると、CMS は全部で9機の航空機を有し、パトロール船艇を 200 隻以上そろえている。
 人民日報2008-10-20によると、CMS の副長官の Sun Shuxian いわく。「CMSはもっと武装を強化し、シナ海軍の予備戦力になるつもりだ。今のCMSは非力すぎるから。」

 このCMSとは別に、SOAというオフィシャル機関もある。海図をつくったり、北極海探検を担任する。

 密輸や密入国をとりしまる税関もまた、海のオフィシャル機関だ。General Administration of Customs という。公安省と協働して、麻薬の流通を防遏している。

 最後に、漁政=Fisheries Law Enforcement Command (FLEC) を挙げる。
 この機関については、参考論文がある (See→ Lyle Goldstein著「Strategic Implications of Chinese Fisheries Development」。2009-8-5『China Brief』Volume: 9 Issue: 16 所収)。

 つまりシナの武装海上オフィシャル機関は大きなものだけでも5つもあるのだ。

 シナの国防大学の専門家が2009-6-21の漢文版『グローバル・タイムズ』紙で、こう言っている。シナのコーストガードの大型船艇は、簡単に、遠洋海軍力として転用ができる。中小船艇は、有事の沿岸防衛に役立てられる。たとえば「防禦的機雷敷設」に使われるであろう。

 どうやら中共軍は、海上での非力を自覚していて、劣勢を挽回するために、コーストガードにもっとたくさんの予算を注ぎ込みたい意向のようだ(論拠は、『China Military Science』誌2008-6月号の77〜78頁)。

 米国の沿岸警備隊とシナのコーストガードは人材交流が盛んである。そのツーカー度は、米海軍とシナ海軍と同日の談ではない。

 北太平洋におけるシナ漁船の違法操業(国連が禁止している流し網漁)を取り締まるため、米国のコーストガードは、シナのFLECの職員を船艇に同乗させている。FLEC職員はシナ漁民を逮捕する権限がある。

五。
 Kentaro Nakajima 記者による2012-3-8記事「US asks Japan for additional $1.2 billion to move Marines to Guam」。
  米海兵隊のずうずうしい要求。グァムに移ってやるから、2006に合意した$2.8 billion ではなく、4ビリオン・ドルを出してくれや、と日本政府に。

 借款とか投資とかではなく、現金で渡せ、とも要求。

 ※日本政府はビタ一文支払ってはならない。その理由は、16日発売の草思社の新刊をお読み下さい。

六。
Jon Rabiroff and Yoo Kyong Chang 記者による2012-3-9記事「South Koreans fight for East Sea designation」。
  米軍は「日本海」の呼称を、韓国軍と作戦する場合であっても用い続ける。韓国軍が日本海をどう呼ぼうともそれはご勝手だが。
 米軍のポリシーとして、ひとつの公海には、ひとつの名前しか用いない。日本海は、ひきつづき、日本海である。
 このように、在韓米軍のスポークスマンのJonathan Withington大佐は語っている。

 4月後半にモナコでIHOが開催されるために、韓国は国際宣伝にドライブをかけているところだ。

 日本政府の立場。日本海はどこの国の沿岸よりもも長く日本領土と接している。それを日本海と呼ぶことにいかなる不都合があろうか。

草思社本の見本は明日、出てきます。明後日以降、書評用に贈られた人は、ゴーウェストの節でギョーエ〜♪と驚いてください。【2012-3-9作文】

五。
 Bryan Walsh 記者による2012-3-?記事「U.S. Now a Net Oil Exporter For First Time Since 1949」。
  1949を境に合衆国はずっと、石油製品(原油から精製した各種の燃料)の純輸入国となっていたのだが、2011の輸出入を集計したところ、なんと輸出が、わずかばかり輸入を上回ったことが判明。
 理由だが、まず同年の石油製品輸入が、過去11年で最低水準であった。
 そして、軽油の輸出が伸びた。軽油は、原油を分溜するときにガソリン以上に多く精製されるものだが、米国人は乗用車にあまりディーゼルを好まない。これに反して欧州市場では人々はディーゼル乗用車を今やスタンダードと考えているので、大きな需要がある。そこで、米国から欧州へ向け、軽油が輸出されているのである。
 なおちなみに米国は2011に、原油を $331.6 billion も輸入している。原油は2010よりも値上がりしており、米国はエネルギー独立からは程遠い。