■オィ、鬼太郎! ……と呼んだが返事が無い。【2012-3-14作文】

二。
 Wyatt Olson 記者による2012-3-12記事「East China Sea pact does little to defuse tensions between Japan and China」。
  昨年12月に東支那海上で、6時間チェイスしてシナ人違法漁船をとっつかまえていらい、海保は頑張っている。

 2008に日本の終わっていた政権が北京との間で東支那海を「a sea of peace, cooperation and friendship」にしようなどと語り合ったものだがもちろん何の「友愛」効果もなかった。シナ人はますます増長した。

 さいきん日本政府が39の無人岩礁に正式名を付けたことは快挙だ。さっそく北京は大怒りだ。これは善い徴候だ。シナ政府による海底ガス田の盗掘をめぐる日支間の「ディスピュート(紛擾)」は燃え盛っている。

 米国政府は伝統的に、日本の島嶼領有権主張に関してはすすんでコミットしない立場をとってきた。なぜならアグレッシヴなシナ軍と米軍が交戦状態に進んでしまうのが怖いからである。

 横浜市立大学の名誉教授・Susumu Yabuki は、NHK Online にてこう語った。係争海上にぶっ建てられたシナの Chunxiao drilling rig は、単にガスを掘るためだけではなく、支配海域を増やして行くための、シナ海軍のための恒久施設なのだと。

 ランド研究所のEric Heginbotham いわく。タイとマレーシアが両国間の係争島嶼で共同開発をしようと決めた先例があるけれども、それは少しも主権争いを解決してはいない、と。

 豪州の研究者 Schofield の見方。東支那海では四ヵ国の200浬が海上で重複するため、中間線引きはけっきょく2国間の話し合いで決めるしかない。シナはその大陸棚が自国のものであるからと言い募り、沖縄本島のすぐ近くまですべてシナのEEZなのだと、日本政府に認めさせたいのである。

 1月の中共の国際宣伝紙『People’s Daily』は、尖閣チベットや台湾と同じ、シナのコア・インタレストなのだと叫んだ。

 台湾の研究者いわく。共同開発とか言ったって、シナがすでにぶっ建てている海上リグを、日本は認めるしかないじゃないですか。

■今日あたり草思社の新刊が都内書店に並ぶのではないか。ハードカバーです。【2012-3-17作文】
日本人が知らない軍事学の常識
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-03-17
一。
 ストラテジーページの2012-3-16記事「The Great Victory That Cannot Be Mentioned」。
  中共の年次軍事予算が公表され、初めて、米ドルで $100 billion/年を超過した。
 しかしこの統計には誤魔化しがあろう。
 現代軍用機用のジェットエンジンの国内生産を立ち行かせるためには billions(米ドル)の投資が継続されねばならない。それが除外されている。
 また連中の「宇宙開発」の多くは軍用なのだが、それが一括して「民間」分野だとして、カウントされていない。

 リアルのシナ軍事予算は、米国の国防費の四分の一ではないかと見られる。
 シナ一国のGDP比ではたぶん3%未満だろう。米国も国防費にはGDPの3%弱を支出しているので、そこからの類推だ。

 中共は、ソ連が無理な軍備競争で自滅したと知っているので、その轍は避けている。

 シナ警察は昨年、5,200 件の 不衛生な贋食品犯罪と、6,500 件の危険な贋医薬品犯罪を摘発したが、食い物と薬が信用できない事態は来年も続くだろう。
※この件数も「化粧された数値」であると疑うことができる。「警察は人民のための仕事をしている」と思わせるだけの意味しかない。

 3-15にベトナム政府は北京に抗議した。中共の石油開発企業がパラセル諸島海域でボーリングをすると発表したからだ。パラセル諸島では今年もすでに、しきりにシナ軍が示威や演習を反復中。

 3-13には、人口 28 million の重慶市で、腐敗共産党を内部から告発していた男、Bo Xilai が左遷された。共産党は自浄努力を拒絶した。

二。
 Travis J. Tritten 記者による2012-3-16記事「Congress: No money for Pacific troop moves until study is complete」。
  海軍長官(文民)の Ray Mabus が上院軍事委員会で、グァムへの当初の移転計画に変わる「オプションズ」を提示する作業がぜんぜん進んでいないことを白状し、委員会は、そんなら、引き続いて1銭も出さぬまで、と。

 当初計画では米国納税者はグァム島に新たに作る海兵隊用施設のために $14 billion を負担するということであったが委員会はスルドくも、この計画は最初からムダだらけであり、ぜったいにその額で収まるはずもないと指摘。代替案を提出せよ、さもなくばこんな予算は凍結すると宣言していた。代替案には、沖縄の海兵隊を、太平洋のどこかの米空軍基地〔一義的には嘉手納しかないが、この「空軍基地」を「航空基地」と読み替えれば、岩国も候補になるわけ〕内に移転させることも含まれている。

 ※この沖縄海兵隊移転問題の要点は何なのか? じつに単純な事情があるのです。知らないのは日本人だけ。バカ右翼にも分かりません。それを学びたい人は、兵頭二十八の最新刊『日本人が知らない軍事学の常識』を買いましょう。

 批判者の最右翼のマケイン上院議員は、「2ヶ月半も経つのに、まだ、見積もりや見直しや代替提案をさせる独立の会社すら決められないでいるのか。4月1日の提出期限はどんどん迫っているぞ。牛歩戦術をとろうったって、そうはさせるか」と、海軍長官をなじった。

 もっかのところ日米政府は、4700人の海兵隊員を永久に沖縄からグァムへ移すことで合意中。
 Carl Levin委員長 や McCain や Jim Webb 上院議員の見解。海兵隊の本隊は、あっちこっちの基地をローテーションしてりゃいいんだ。海兵隊のヘリ部隊は嘉手納に移すのが合理的だ。なんでそうしないんだ、という。

 この記事対する一庶民からの典型的なコメント:イラク戦争が終わり、米国内でも軍事基地の閉鎖予定が相次ぎ、不況が来ている。なんで米本土内に海兵隊を移さないんだよ? 米国指導者層は、こうやって、お友達同志で米国民の税金を着服し合っているに違いない。じつに馬鹿げた支出だ。

 これに関連する『ジャパンタイムス』の記事。米政府は1500人の海兵隊航空部隊を岩国に移せないかと、次官会談の場で持ち出していたが、それは諦めた。ソースは共同。

 ゴールデンウィーク中に野田が訪米するので、なんとか土産を用意したかったが、ダメだった。

 海兵隊の一部移転で日米が合意したのは2006だったが、このとき、厚木の機能(米空母が横須賀に停泊しているあいだ、その空母の艦上機を着陸させ、訓練もさせる)を岩国に移すことも合意されていた。それで岩国の滑走路が沖合いに増設されて完成している。

■新入生諸君、「読書余論」を申し込もう!【2012-3-18作文】
一。
 Katherine Boyle and Michael Cotterman 記者による2012-3-17記事「A brief, weird fashion history of camouflage」。
  アフガン派遣の米兵は、OCPカモフラ(Operation Enduring Freedom Camouflage Pattern)でアフガン高知の地物に溶け込んでいる。
 しかしこのたび米陸軍は、さらに進化した、地域汎用のカモフラージュに挑む。世界のどこでもこれ1パターンで済まそう、というのだ。
 すでに1月に5社と契約して、その新パターンを競作させつつある。そのうち1社はアラスカの Kryptek 社で、woodland camouflage pattern が陸軍に気に入られた様子だ。

 多色迷彩軍服は、WWI中の仏軍が、赤いニッカーは目立ちすぎてヤバイと感じ、じぶんで迷彩色を塗りつけたのが早いという。仏語で "camoufleurs" と呼ばれた。

 WWI中には、艦船に幾何学模様をペイントすることで、これを敵の潜望鏡から望遠したときに、船のサイズや航行方向や速度を誤認させるようにしむけ、魚雷が外れてくれることを期待するようになった。英国の海洋画家の Norman Wilkinson がこの技法を編み出したともいう。米国ではWWII中に、ゴチック画家の Grant Wood が一働きしている。

 ベトナム戦争中の "Tiger Stripe" は、じつは公式の軍服ではなかった。米軍が、初の公式の軍服としての迷彩服を定めるのは、1983年なのだ。

 カモフラパターンをポップカラーに変えてみせたのは、アンディ・ウォホールである。それは1960年代だった。

 1991デザートストーム作戦時のカモフラは "Chocolate Chip" camouflage と呼ばれた。バーバラ・ブッシュ大統領夫人がサウジ慰問時にこれを着用したので、民間にもブームとなり、サープラスショップは大儲けした。

 米陸軍の新迷彩が何に決まるにせよ、ひとつハッキリしていることは、それはすぐに民間ファッション業界の新趣向にも採りいれられるということだ。

二。
 MATTHEW PENNINGTON 記者による2012-3-17記事「Analysis: Sudden North Korean turn risks US ties」。
  金曜日に北鮮は長射程ロケットを発射すると予告した。これは国連の禁止を破る行為である。

 今年は11月に米国で大統領選挙がある。現職のオバマ氏は共和党候補から「ナイーヴ」と批難されている。核とミサイルの開発停止を条件に24万トンの食糧援助を申し出て宥和していた最中のこの予告発表で、それは証明されてしまった。

 現在、韓国に2万8000人の米軍が駐留中。

 北鮮は2009-4に衛星を打ち上げようとして失敗。直後に核実験。
 今回、予告されたローンチ・ウィンドウは、4-12〜4-16である。

 3-26〜3-27に韓国で開かれる核サミットでオバマは対北制裁を領導することになるだろう。

 ※今回の打ち上げ方向だが、第二段の落下地点は比島の東方海上だという。できれば「弾頭」を豪州のダーウィン市の上を通過させて南極海に落したいのだろう。またしても米支有事の際には中共軍の走狗になれることを積極アッピールし、廃屋国家にも尚価値が残っていることを中共軍に悟らせようという次第だ。じっさい、三沢上空を何度も飛び越えさせた試射によって、米空軍は三沢からF-16を撤収させてしまった。SSMで南西諸島上空を何度も飛び越えさせてやれば、嘉手納にF-22が来ることもなくなるかもしれない。中共軍も北鮮軍に「ういやつ」とのお言葉を賜らざるを得まい。「わかった。じゃあ核弾頭を開発していいよ。それで沖縄とグァムを攻撃してくれるなら」という更なるお言葉を期待しているのだろう。米海軍はパラオ諸島以南にイージス艦を配備すれば「迎撃」できる可能性もある。

三。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-17記事「The Bolivian Engineer Battalion」。
  シナ軍はボリビアの工兵大隊に、重機一式をプレゼントした。その式典は El Alto で行なわれ、Evo Morales 大統領が臨席した。
 中共はこの機材のために $20 million loan を与えた。

 中共は2009-12にもボリビア陸軍に $40 Million をローンしてやっている。
 その前の2009-10にはK-8ジェット練習機×6機をボリビアに輸出。

 ※破綻国家ボリビアに恩を売っているのはシナとイランのみ。南米に他大陸の勢力が扶植されることをワシントンは伝統的に悪むが、ボリビアには海がないので大きな脅威ではないとみなされ、放置され易い。シナの狙いは、同国内に宇宙トラッキング基地を設けることだろう。