米社会を覆う「戦争の病理」

戦費に表れない負担も増加
米社会を覆う「戦争の病理」
(『選択』2010年12月)
 
(略)
 既に二つの戦争での兵士の死亡数は合計で五千七百九十八人(十一月二十一日現在、ワシントンポスト調べ)に達している。負傷数は、イラク戦争では三万六千二百九十六人、アフガン戦争では四千八百六十人に達している。約九年間続き、ジャングルの中で「白兵戦」とでもいうべき戦いを繰り広げたベトナム戦争での戦死者五万八千人との単純比較はできないが、米国が膨大な人的犠牲を払っていることは動かぬ事実だ。
(略)
 しかも、派兵されている兵士の多くは州兵と予備役の兵士で、必ずしも正規の「職業軍人」ではないのも大きな特徴だ。アフガンとイラクに動員された州兵と予備役の数は七十九万人以上に上る。(略)「米軍の戦闘能力の五一%は州兵と予備役が担っている」(略)
 米退役軍人局の試算では、退役軍人のうち十五万人四千人がホームレスとなっているという。また、米労働省の資料によれば、イラクとアフガンから帰還した十八〜二四歳の若い兵士の昨年の失業率は二十一・一%にも達している。同じ世代の一般の失業率は十六・六%であり、いかに高水準かがわかる。こうした退役軍人は戦費に表れない負担を社会に強いている。
 精神的な病と社会への不適合で、自ら命を絶つ者も多い。〇九年の自殺者は少なくとも三百三十四人に達している。(略)昨年の兵士の自殺率は一千人あたり二十・二人だった。(略)

追記)
うろおぼえベトナム戦争 約10年
南ベトナム人口3000万人 南ベトナム軍  20万人
北ベトナム人口2000万人 北ベトナム軍 100万人
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合計     5000万人        120万人
              民間人犠牲者 200〜300万人?
 
要するに、南越+米国軍 25万人 北越+中国軍 100万人 の犠牲ということだったと。

うろおぼえ沖縄戦 約3ヶ月
日本軍 20万人 死者 12万人
米国軍 55万人 死者  1.2万人
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合計          13万人
     民間人犠牲者  9万人
  
こうやってみると、ベトナム戦争では意外に戦闘員が少ないな
死者数も多いように見えるけど人口比では相対的に小さい
しかも北越軍には中国人が大量に混じっていたし。(北鮮軍も同じ)
日本軍では終戦時に兵員700万人は揃えていたはず、人口比10%
それに比べたらベトナム戦争は間延びした戦争だったということがわかる。
勝因は決戦をしないこと、なんですね。
ベトナム戦争での米兵死者がいかに多く見えても、年間6000人だったとすると当時の戦争指導者からみればそれほど大きくないと見えていたのかも。