日本文明圏の覚醒

日本文明圏の覚醒

日本文明圏の覚醒

  
なんか危ないウヨク学者の本みたいなタイトルだけど、東アジアは同文同種のお友達ィ〜〜〜というバカな主張を終わらせるにはこれくらいの刺激をあたえなきゃだめなんだろうね。
ソエジー的にいえば文明という語の誤用なんだろうけど、まぁ中華文明なるもの自体輪郭がはっきりしないわけで、少なくとも支那+朝鮮をそれだとすれば、日本は明らかに異質なんだという自覚をもつべき時期に来ているのは確か。
岡田英弘先生と古田博司先生のフレームで日本を把握するのが21世紀の基礎になるのだと思うよ。
   

【著者に聞きたい】古田博司さん 『日本文明圏の覚醒』
  
2010.5.2 08:47 産経新聞
 

 
「日本文明圏の覚醒」古田博司さん ■女々しさ、優しさは長所
   
 「結局、東アジアをよく知らない人が東アジア文明圏とか言っているんですよ」。日本と中華文明圏は違う。朝鮮・中国の古典を研究して約35年、至った境地は現代版“脱亜論”だった。
    
 主要テーマはアジア主義との決別だ。戦時中の東亜協同体論から現代の東アジア共同体まで、左右のアジア主義者の“同文同種”的幻想に対する批判は一貫している。東アジア諸国はプレモダン(北朝鮮)、モダン(中国、韓国)、ポストモダン(日本)が混在する「異時代国家群」であり、ポストモダンの日本のまともな発展に必要なのは隣国との無理な融合ではなく、「サラッと付きあう」ことだと説く。
   
 ポストモダン期を迎えた日本文明の変化については、率直に肯定する。「草食系男子、何が悪いの。女性的優しさがモダンを抜けて回復してきたということじゃないか」。古来、中華文明圏と隔絶して形成されてきた日本文明圏の長所として評価するのは、まずその女々しさ、優しさだ。
  
タイトルこそ刺激的だが、明治期の偉人伝や万世一系神話に頼る従来のモダン的愛国論は明確に謝絶する。「日本人は近代を無理して、武張って生きてきたわけです。長いモダンのトンネルを、天皇陛下と一緒にね。陛下もあんなにお疲れになっているというのに」
  
 これまでの著書とは異なったエッセーという形式も、その時代認識に合わせたものだ。「モダンの人たちはバカにしてきたけど、これから多くの人に思想的インパクトを与えるような本を書くなら、エッセーか、ですます調ですよ。説得社会だから。大上段に構えて議論をふっかける形式では、もう相手に届かない」。モダンのトンネルを抜けた日本の風景の変化が、著者の個人史という車窓から描かれる。碩学(せきがく)の思索の旅でもある。(磨井慎吾)(筑摩書房・2625円)
   
【プロフィル】
 
古田博司 ふるた・ひろし 昭和28年、横浜市生まれ。筑波大大学院教授。著書にサントリー学芸賞受賞『東アジアの思想風景』、読売・吉野作造賞受賞『東アジア・イデオロギーを超えて』など。
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100502/bks1005020850007-n1.htm