中国ノート

私の中国人ノート (1979年) (講談社文庫)

私の中国人ノート (1979年) (講談社文庫)

  
古田博司先生が敬愛する和久田幸助さんの名著を今頃になって読む漏れ。。
これってサッポロビールの広報誌『サッポロ』に1966〜1979年に連載された随筆をまとめたものなんだね。
まさに文革の時期にずっぽり嵌る。
そして1978年12月に訒小平が改革開放を始めて今日に至るわけだ。
そう考えるとわずか30年前のことなのに、まるで古代史を読むような異質な中国が興味深い。
さらに和久田さんは戦前の中国も見知っており、共産中国の前世代の中国人を知る最後の世代でもあるわけだ。
古老の話を聞くように眛読した。
 
ところでハードな話題も興味深いのだが、いろんな豆知識で漏れの年来の疑問に答えてくれるのが嬉しい。
たとえば「纏足ってなんなの?」と昔から疑問だったんだが、たいていの本では「ヨチヨチ歩くのが中国人には女性的で魅力的にみえるから」と書かれている。
しかし最近発見された貴重映像の中で纏足女性が普通に歩けている様子が写っており、この説は破綻したので謎は深まっていた・・・

 中国の相当年配な男性と、バカ話のできる間柄になった時、よく聞かされる話の一つに、”纏足した女の素晴らしさ”がある。
「足の発達が止まると、その分は腰にゆくんだ。その良さは、ちょっと、口じゃァいえないね……」
 なんという身勝手きわまる話だろうか!一人のの女性の、生涯にわたる苦痛と屈辱の代価が、男性のベットでの楽しみを増すという、ただそれだけのことでしかないとは……。だが、過去の男性絶対優位の環境に育った彼は、また、事もなげに、こうもいうのだ。
「その楽しさを知らない、今の男たちは、気の毒みたいなもんだよ!」[p67]

あ!そういうこと!な〜る
性愛術に異常なフェティシズムを発揮した古代中国人なら然もありなん!
しかしこれじゃ小学校の教科書では教えられないなあψ( `∇´ )ψ
  
ところで下記のくだりを読んで漏れはハッとさせられた。
中共の宣伝する日本の原罪なぞ信じはしない。だが、現在の中共の悪事を糾弾するに忙しいウヨクのうち何人が、そのような劣悪な政権が樹立されてしまった原因の一端が日本にあることを意識しているだろうか?
漏れは誠実な日本人であろうとすれば「中国人」の中共からの解放を幇助すべき義務があるのではないか、と思うのだ。 

国交回復だ、貿易だと、日中問題は、盛んに論議されているが、私にいわせれば、日中問題の根本は、何十年にわたり、中国に対して、蛮行愚行の限りを尽くした日本の罪を、日本人と、それを代表する日本政府が、はっきり自覚することだと思う。
 そうでなければ、中国に共産主義政権が生まれねばならなかった理由もわからず、また、中共政府の姿勢が、なぜ現在のようなものであるかも、理解できないからである。[p218]