おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)
- 作者: 後藤和智
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 新書
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安原宏美さんと対談していた後藤さんの本が出たので早速買ってみた。
ワロタ(*^_^*)
バカな議論を掃除する主旨にはまったく賛成。
くだらないワカモノ論者は一掃して実務的な社会改良に努めよう!
けっきょく後藤さんはマジメサヨクなのだ。
邪魔ばっかりする前世代のウスラサヨクに苛立ったのがこの本の執筆動機なのだ。
サヨクだから保守派の(隠れた)ワカモノ論(養老、藤原、板東)もなで切りしているが、これは戦中世代のエッセイなのだからちょっと余計。
なぜウスラサヨクはワカモノ批判に走ったのか?
漏れには二つ理由があると思う。
ひとつは保守論壇を仕切る爺に当てつけるために、彼らに理解が難しい(と思った)ワカモノを出汁に社会批判を試みたこと。
もうひとつは、ソ連崩壊以降ワカモノが彼らサヨクが望むように左傾化してくれなかったことへの苛立ちだ。
さて我が身を省みるに、後藤さんが取り上げている論者に漏れ的に現在も評価しているヒトが一人もいなかった。
宮台はまったり革命に失敗してからは凡庸な評論家になってしまったので読まなくなってしまった。
香山は初期の数冊を読んだことがあるけれど、それ以降の社会論については本屋で数行流し読みしただけで買う価値がないことが明白なので読んでいない。(どうして売れる?謎)
北田と中島はちょっと読んだけどつまらなかったし、荷宮はAC絡みでは共感していたんだけどさすがに今は読まない。
アズマンも宇野も芸のあるヲタクとして好きなんだけどエンターテナーとしての扱いだ。
そのほかは興味すら抱いたことがない。
そういうわけで弁当氏のいうとおり「よくここまでつまんない本をきちんと読んで論が書けるものだな」と思う。
でも漏れは弁当氏のように否定はしない。というか、掃除してくれてありがとう!と感謝の気持ちです。(^^ゞ
しかし漏れが気になるはその先なのだ。
後藤さんのいうとおり彼らの論は下らない。
にもかかわらずそれが売れ、受け、あまつさえ行政に影響力すら行使してしまうのはなぜなんだろう?
彼らの読者や彼らを使いたがる編集者やプロデューサーってなんなのだろうか?バカなの?死ぬの?
後藤さんが社会学的に分析して本を書いてくれないかなあ。
追記)
この本はワカモノ論を切り口にしたウスラサヨク批判になっているが、それは漏れにとってのネオ赤(゚⊿゚)イラネ論と同じなんだと思った。むかし学生時代の恩師が「おれはポストモダンとか嫌いだ、オールドボリシェビキで行くんだ!」とか酔って絡んできたことがあったけど、その気持ちはよくわかる〜。
追記)
ただ更に考えてみるに、戦後昭和世代はそもそもウスラサヨクがデフォルトなので、彼らのワカモノ論は単に形を変えたジジババの愚痴なのかもしれないけどね。(いわゆる今時のワカモノは!っていう)
追記)
という訳でこの本はバカ目録になっている。折角なので批判対象人物を一覧表にしてみた。
まえがき―世代論を煽ってきた論者に退場を勧告する!
第一章 「転向」した若者論者―若者論「で」一〇年が失われた
若者論「で」失われた一〇年/二つの若者論バブル
若者叩きに「転向」した論者たち/少年犯罪は増えていない
酒鬼薔薇事件から始まる「運動」/貫いていた社会を変える意志
「転向」する宮台真司―「脱社会的存在」を生む
「脱社会的存在」に囚われる
「自分への帰依」を説く「社会学者」/俗論に染まっていく
「変貌」する香山リカ
「解離」とインターネットを「発見」する
ポイント・オブ・ノー・リターンに立つ「精神化医」
俗流若者論は政治まで語る
・ベストセラーを斬る! 隠された若者論① 養老孟司『バカの壁』
第二章 ナショナリズム論を煽った論者―若者を食い物にする
若者を「敵」にした者たち
俗流ナショナリズム論の序曲―「ぷちナショナリズム症候群」
ナショナリズム論の図式が変貌した
押しつけられた「敗戦責任」
ナショナリズムが世代問題にされる
ナショナリズム論が若者バッシングを強化する
レイシズムに堕ちるナショナリズム批判
ナショナリズム論より残酷な「格差」論
「格差」論が権力と一緒に若者を追い詰める
いい加減な「分析」はやめろ!
若者論がナショナリズム論を殺した!
・ベストセラーを斬る! 隠された若者論② 藤原正彦『国家の品格』
第三章 サブカルを使い捨てにした論者―インターネット論を食い物にする
疑似問題を再生産するインターネット論
「動物化するポストモダン」論は若者論でしかない
反証ができない不思議な議論
「環境論的分析」もただの世代論だ
意図的に作品が選ばれる
「動ポモ」論が与えた悪影響
ポスト宮台の論客
社会的背景を隠す宿命論
議論は島宇宙に閉じていく
「私たち語り」が好きな「若手」論客
世代論は害悪でしかない
「未来」すら偽証される
内輪だけで盛り上がって何になる?
・ベストセラーを斬る! 隠された若者論③ 梅田望夫『ウェブ進化論』
第四章 教育を実験道具にした論者―子供の人生を食い物にする
権力と癒着する俗流若者論
「ゆとり教育世代」への批判は的外れだ
教育社会学への誹謗が繰り返される
わら人形に向かって叫ぶ男
妄想の「成熟社会」に寄りかかる教育論
いじめを理解していない「教育者」
周回遅れのメディア悪影響論を叫ぶ
権力者になった若者論者がいる
発言責任を問わない構造を免罪するな!
・ベストセラーを斬る! 隠された若者論④ 坂東眞理子『女性の品格』
第五章 世代論を「清算」する―ニヒリズムを打ち破る
「脱『九〇年代』の思想」を目指せ!
若者はモンスターにされた
データを無視する「レジーム先行型」議論
ニヒリズムとシニシズムが蔓延する
「ポストモダン保守」化する自称リベラルたち
さらに下の世代の論壇は「釣り」化する
繰り返される不毛な若者論/他人の心を世代で片付けるな!
世代論はもういらない
若手社会学者の台頭に学べ!
オールド・リベラルよ、奮起せよ!
「ゼロ年代のアカデミズム」よりも大事なものがある
最後に―「世代論」への決別宣言
宇野常貫
岡田斗司夫
あとがき―語り継ぐべき悲劇
多くの読者は、なぜ宮台真司などという、ほとんど忘れ去られた論者を批判するのか、と思われるかもしれない。だが、宮台をはじめとする九〇年代後半の論者たちが種を蒔き、育ててきた毒草は、着実に多くの社会論の局面に「世代論」という毒を浸透させ続けている。(略)
世代論という枠組みばかりが強化され、科学的な検証や検討が放置された結果、日本の「論壇」なるものは島宇宙化してしまった。(略)世代論の枠組みだけで互いにいがみ合う、という状況はもう終わりにしたい。本書はそのためにこそある。
引用・参考文献
話が「おまえが若者を語るな!」から逸れたが、自分としては宮台は終わっている。香山リカには最初から関心もない。東浩紀についてもほぼ同じ。(08年10月19日)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2008/10/post-ec70.html