朝鮮半島の建国神話と日本
嫌韓がかまびすしいこの頃だが、朝鮮半島の建国神話に日本が結構関わっていることを知らない人が多いのに驚いた。ちょっとメモしておく。
(なお、本来は「倭国」「倭人」と言うべきところだが、分かり易くするために敢えて「日本」と表記した。)
しかしこうして見ると日本神話というのは際だっている。神々が人間の世界に降りてくる前のエピソードが圧倒的に充実しているのだ。朝鮮神話は人間界から始まる。日本神話は天上界から始まる。これはなぜだろう?不思議なことだ。
面白いのは新羅・伽耶・耽羅という沿海部の建国神話が日本と縁が深いことだ。一方で扶余・高句麗・百済というのは兄弟国家であることが分かる。とくに意味深なのは朱蒙の子で沿海部に建国しようとした沸流は失敗したということだ。
これら神話がどんな史実を反映しているのかについての僕の考えはこうだ。
もともと中国大陸から朝鮮半島にかけての沿海部と日本列島は倭人の生活圏だった。
戦国時代の混乱のせいで中原から多くの人が倭人居住地域に逃れていった。それとともに華人ネットワークが広がり文物も伝播していった。
漢帝国が崩壊した時、それぞれのネットワーク拠点は自立した。ここに南下してきた扶余系民族が進入し、百済、新羅が成立した。支配層は扶余系民族と倭人の混合だが、百済は扶余系が、新羅は倭人の割合が大きかった。伽耶諸国は職能国家だったので小国家のまま存続できたが、安全のため倭国と同盟し、軍隊を駐留させた。これが「任那の日本府」である。
やがて中国が再統一されると半島内部の覇権争いも激化したが、伽耶の製鉄産業を百済、新羅が奪い合い、勝利した新羅が半島南部を統一することになった。
古代日本の文化には扶余系の影響があきらかに見られるし、大和朝廷の成立時期は百済などと同時期だと思われるし、百済の神話にも日本が登場するのだが、しかし、扶余系神話は日本の建国について沈黙している。これも不思議だ。大和朝廷が半島系移民によって成立したのなら、その反映が半島側神話にあってしかるべきだと思うのだが、そうはなっていない。そんなに簡単なものじゃないんだろうなあ。
【高句麗】
扶余王金蛙が天帝の子にレイプされて川に閉じこめられていた川神の娘を略奪したら太陽によって妊娠してタマゴを産み、中から高朱蒙誕生。
【百済】
高朱蒙の子の三兄弟。長男が高句麗を継ぎ次男三男は南下して海辺と山辺に建国を試みる。次男沸流は失敗、三男温祚は成功し百済を建国。
【新羅】
・朴氏=6人の村長が発見した天から落ちてきたタマゴから赫居世誕生。
・昔氏=日本のタバナ国の王妃が生んで流したタマゴから脱解王誕生。
・金氏=脱解王の家臣である日本人の瓠公が半月城のそばで発見したハコから金閼智誕生。
01〜03&05〜08代:朴氏
04&09〜16代:昔氏
17〜56代:金氏(356年建国?)
【伽耶】
天から降りてきた6個のタマゴから伽耶6カ国の王が生まれた。インドのアユダ国から王女が嫁に来た。
【耽羅】
穴から3神人がでてきた。ハコに入って日本から流れてきた3女神と結婚して建国した。