中小企業のIT化

目指せ「社長不要の会社」
「カネを出す購入者」が偉い国 汎用パッケージソフトが使えない訳
津川雅良
2011年9月21日(水)
(略)
 欧米と日本の商習慣の差について補足しておきます。欧米が正しいというつもりも、愚痴を申し上げるつもりもありませんが、日本の購入者すなわち顧客と販売者の間には明らかに上下関係があります。
 
[1]欧米
 
購入者と販売者の責任が明確に分担されている。
購入者が発注した時点で契約が成立する。
商品を届ける過程で発生したサービスはすべて代金に加算する。
不良など商品に瑕疵がある時は良品と交換するか代金を返却する。
 
[2]日本
 
購入者の責任があいまいで、販売者に責任を転嫁されることがある。
商品が購入者に届くまで、契約が成立しない時がある。
商品の代金に種々のサービスが含まれる。
商品の瑕疵に対する修理・交換・返金などの基準が明示されていない。
(略)
 中小企業の従業員はITをどのようにとらえているのでしょう。所属する業界団体でEDIの推進役をおおせつかってから、ほかの中小企業について聞き取り調査をする機会に恵まれました。大体次のようにとらえており、システムの改革やセキュリティの向上を阻害する原因になっています。

[1]パソコンの操作

初めてパソコンを操作する人は年齢にかかわらず抵抗感がある。
慣れによって解決する場合が多いが年齢との関係は希薄である。
パソコンの入れ替えやOS(基本ソフト)のバージョンアップで同様な感覚が生じる。
[2]ソフトとシステム

人は最初に学んだことを「正しい」と認識し、その改定を拒む。
最初に覚え、慣れてしまったソフト(システム)の操作が基準と思い込む。
ソフトの改修時やシステムの入れ替え時に操作が変わると違和感を覚える。
[3]セキュリティ

セキュリティの確保は仕事に悪影響を及ぼすととらえる。
多少の動作不良は重要視せず、完全に使えなくなってから不具合を申告する。
システムのメンテナンス作業によって日常業務に影響するのを恐れる(仕事ができなくなるから)。
(略)