負の屈折現象?


ごめん、話についていけないんだ・・・
要するに屈折率を操作できるようになったって話だよね。
そうすると屈折をコントロールして透明マントができるってだけじゃなくて、波長を気にせず光を細かくわけだから超高密度記録媒体やら超高倍率光学顕微鏡が作れると。
す、すごい・・・
てか、ものすごおおおく軍事に関係してそうなんですけど、この日本人研究者の身の安全は確保されているでしょうか?
つうか青色ダイオード中村修二さんは米海軍と繋がっているカルフォルニア大学サンタバーバラ校にひっぱられ、ロボットスーツの山海嘉之さんのとこにもMIBみたいなDARPAの勧誘があったそうです。岩長祐伸さんたちのところにも当然くるでしょうなあ。というか、うっかり中国の大学に行ったり留学生を受け入れようとしたらどうなるんだろう??

負の屈折現象を生み出す逆進的な光の流れ解明
−フィッシュネット型メタマテリアル内部における直接的な光の伝搬解析に初めて成功−
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110607/index.html
 

独立行政法人 物質・材料研究機構(理事長:潮田資勝) 先端フォトニクス材料ユニット(ユニット長:迫田和彰)の岩長祐伸主任研究員は、可視から近赤外の光領域で最も注目されているフィッシュネット型メタマテリアル注1)(図1)について理論的な光の伝搬解析を行い、負の屈折現象を可能にする逆進的な光の流れを初めて解明しました。この成果により、これまで有効誘電率透磁率モデルによって説明されてきたメタマテリアルにおける負の屈折現象を直接的、定量的に理解することが可能になりました。今回の研究による理解の深化をもとに負の屈折現象を超解像イメージングや超解像リソグラフィに用いた研究開発の促進が期待されます。(略)
 
1.研究の背景
水やガラスのような均一透明媒体における屈折現象は日常的に見られるものであり、よく知られています。これらは正の屈折率に起因するので正の屈折現象と言えます。一方で負の屈折現象はかつて空想上のものであると考えられてきました(図2)。近年、メタマテリアルと呼ばれる人工周期構造体において、負の有効誘電率透磁率を仮定すると負の屈折現象が起こることが予見され、検証実験でも肯定的な結果が得られていました。しかし、この新奇な現象を利用して新たな光デバイスを開発するためには仮定やモデルに依存せず、現象を正確に理解し定量的に記述することが必要でした。
 
2.今回の研究成果
岩長主任研究員は、光領域で最も代表的なフィッシュネット型メタマテリアルの電磁波固有モード注2)の研究を実施し、エネルギー・入射角度依存性の理論解析によって負の屈折現象を起こす電磁波固有モードが負の群速度をもつ平面的な光であることを明らかにしました。さらにマクスウェル方程式注3)を直接解いて、電磁エネルギーの流れがメタマテリアル内部において、入射波の進行方向に対して負の方向に誘起されることを示しました(図3)。これにより負の屈折現象を担う電磁波固有モードが直接的、定量的に明らかになりました(図4)。
 
3.社会への波及効果と今後の展開
メタマテリアルは光の波長よりも小さい周期長からなる人工構造体であることから、極小光デバイスのための材料として期待を集めています。今回の研究による理解の深化をもとに負の屈折現象を超解像イメージングや超解像リソグラフィに用いる研究開発の精密化を促進することが期待されます。また、今回の負の流れをもつ光波の発見は極小空間における光の切り返しを可能するので光デバイスの一層の極小化に資するものです。そのほか、高精度の光位相変調素子の開発にも学術的基盤を与えます。
(略) 

wikiメタマテリアル』より)
ペンドリー教授たちが2002年に、「もし屈折率が負の物質があれば、無限に小さなものを光で観察できる」と主張する論文を発表したことが契機となり、開発競争に火が付いた経緯がある。光の波長よりも小さな構造の情報を持った光、近接場光を増幅すれば、従来の光学顕微鏡の限界を超えた、光の波長以下のサイズの物体を見ることが可能であるとしている。
 
光学や短波長の電磁波において特徴的な性質を示し、分解能の限界や回折限界の突破が可能とされ、超高分解能レンズ、光ファイバー、バンドパスフィルタ、新種のレンズ・アンテナ、透明化技術(光学迷彩)などへの応用が期待されている。また、CGの画像を電磁メタマテリアル上に表示する技術が、コンピュータ支援外科などの分野を中心に発展しつつある。すでに電磁メタマテリアルの開発は、戦車の装甲などの分野で第二世代・第三世代に入っているとされているが、その多くは産業機密のベールの向こう側にあるため、詳細は不明である。


Sir John Brian Pendry
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Pendry
この功績で2004年に爵位をもらっているんだね。
http://www.cmth.ph.ic.ac.uk/photonics/Newphotonics/

[理研ニュース 2009年4月号]
メタマテリアルで光の常識を打ち破る
http://www.riken.jp/r-world/info/release/news/2009/apr/frol_01.html
 

 とても薄いメガネレンズ、原子さえも観察できる光学顕微鏡、伝送ロスがない光ファイバー、さらには透明人間……。これらを可能にする “メタマテリアル”が生み出されようとしている。メタマテリアルとは、自然界の常識を超えて光を自由自在に操ることができる人工材料だ。さまざまな応用が期待できることから、その開発をめぐって激しい国際競争が繰り広げられている。 2009年2月、田中拓男准主任研究員たちは、光を使って金属をナノスケール(1nm=10億分の1m)で 3次元に加工する技術の開発に成功し、メタマテリアルの実現に大きく近づいた。田中准主任研究員は「メタマテリアルができれば、光の世界を大きく広げることができます」と語る。メタマテリアルで光の常識を打ち破る研究が今、注目を浴びている。
 
透明人間も可能に?
 
 2006年、英国ロンドン大学のジョン・ペンドリー教授たちは、「特殊な屈折率を持つ物質で見せたくない物体を覆えば、その物体は見えなくなる」という論文を発表した。物体の背後から来る光の進行方向を変えて、物体で遮られないように迂回(うかい)させれば、その物体は見えなくなるというのだ。これは透明人間を実現する技術として、世界中のマスコミで大きく取り上げられた。しかし、その実現には光の進行方向を思いのままに曲げることができる物質が必要だ。
 空気中を進んできた光はガラスやプラスチックでできた虫メガネのレンズに入るとき、進行方向が変わる。このように物質の境界で光の進行方向が変わる現象を屈折といい、その曲がる度合いを決めるのが屈折率(n)である。屈折率は物質によって決まっている。そもそも光は、電場と磁場が相互作用しながら空間中を伝わっていく波だ。物質と電場との相互作用の大きさは比誘電率(ε)、磁場との相互作用の大きさは比透磁率(μ)という物理量で示され、屈折率はその二つの物理量の平方根の掛け算で決まる(n=×)。ただし、私たちの目に見える光(可視光)付近の波長では、自然界にある物質は電場の波とは相互作用しても、磁場の波とは相互作用しない。つまり、自然界にある物質の比透磁率(μ)の値は1.0。“自然界の物質の屈折率は電場の波との相互作用の大きさ、比誘電率だけで決まる(n=)”。それが光学の常識だった。
 「光の磁場の波と相互作用するメタマテリアルをつくり出せば、さまざまな屈折率が実現できます。“メタ”とは“超越した”という意味です。“メタマテリアル”は、従来の光学の常識を超越した物質なのです」
 
負の屈折率を持つメタマテリアルにより、光で原子・分子を観察する
  
 メタマテリアルは、どのようにしてつくるのか。「その原理は難しくありません。中学校の理科で習った電磁誘導を思い出してくだい」と田中准主任研究員。コイルの近くで磁石を動かすと、電流がコイルに流れる。それが電磁誘導だ。「磁石の運動で発生した磁場の変化を打ち消すように、コイルに電流が流れるのです。この原理を使えば、物質がもともと磁性を持っていなくても、コイルという“形”によって磁性を生み出すことができます。具体的には、プラスチックやガラスなどの透明な材料の中に、光の波長よりも小さなナノスケールの金属のコイルを無数につくり込みます。そのコイルと光の磁場の波が相互作用して、電磁誘導の原理で電流がコイルに流れます。そして、光の磁場の波を打ち消すような磁場を生み出すのです」
 世界中でメタマテリアルが注目されるようになったきっかけは、「もし屈折率が負の物質があれば、無限に小さなものを光で観察できる」という2000年に発表されたペンドリー教授たちの論文だ。“可視光の波長は約400〜700nm。その波長よりも小さなものは光では見えない”、これも光学の常識だった。ペンドリー教授たちの論文はその常識を覆すものだ。例えば、光を使って生きたままの細胞を原子・分子レベルで観察できれば、生命科学は大きく発展する。また、光を使って数nmの線幅で半導体回路を描くことができれば、コンピュータの性能を格段に向上できる。
 「ペンドリー教授たちはその論文で、“負の屈折率”のメタマテリアル(図1)をレンズに使えば、光の波長より小さな構造の情報を持った光、“近接場光”を増幅して、私たちの目に届くようにすることができると主張したのです。近接場光は、光を物体に当てたときに生まれますが、すぐに弱くなり、私たちの目に届きません。近接場光を増幅できれば画期的です」
 早くも2000年には、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループが、可視光よりも波長の長いマイクロ波で、負の屈折率を示すメタマテリアルの作製に成功した。その後、可視光で負の屈折率を持つ物質の開発をめぐる競争が世界中で行われるようになった。
 
光を反射しないメタマテリアル
 
 「光学顕微鏡には光の技術が集約されています。私は光学顕微鏡の技術をベースに、光を使って3次元でものを見たり、加工したりする研究を続けてきました。そして2003年に理研に入り、新しい研究テーマを探していました。メタマテリアルに興味を持ったのは2004年ごろです」
 田中准主任研究員たちはまず、本当に可視光の波長でも磁場の波と相互作用するメタマテリアルが実現可能なのか、理論的に確かめてみることにした。そして2005年、銀でナノスケールのコイルをつくり、それを特定の配置で並べると、可視光の波長全域で負の屈折率を持つメタマテリアルができることを世界で初めて理論的に証明した。そして田中准主任研究員たちは、メタマテリアルで何が可能になるのか、理論的に探る研究を始めた。
 「負の屈折率をつくり出すには、比誘電率と比透磁率をどちらも負の値にする必要があります。ただし、メタマテリアルで実現可能なのは、負の屈折率だけではありません。世界中が負の屈折率に注目しているので、私は比透磁率を1.0よりも大きくした場合、何が可能になるのか調べてみました」
 2006年、田中准主任研究員たちは、比透磁率を1.0よりも大きくすることで、光をまったく反射しないメタマテリアルを提案した。もし光を反射しない物質ができれば、光を使った情報技術を大きく発展させることができる。「光は光ファイバーの中を1km進んでも、その強さは99.9%変わりません。しかし光ファイバーに入るときに反射が起きて4%もロスしてしまうのです。光ファイバーの先端に光を反射しないメタマテリアルを使えば、光を100%入射することができます」
 さらに身近なところでは、比透磁率を大きくできれば、レンズを格段に薄くすることができる。屈折率が5倍のメタマテリアルでレンズをつくれば、厚さを5分の1にできる。もちろん、カメラなどさまざまな光学機器に使われているレンズの小型・軽量化も実現できる。屈折率が大きいメタマテリアルは、いろいろな方面で極めて大きな需要が見込まれている。
 
ナノスケールで金属を3次元に加工
 
 実際に、光の磁場の波と相互作用するメタマテリアルをつくることは技術的に可能なのか。それには、光の波長よりも小さなナノスケールのコイルを物質中に無数につくることが必要だ。 2008年8月、米国カリフォルニア大学バークレー校の研究グループが、近赤外線や可視光で負の屈折率を示すメタマテリアルの作製に成功したと発表した。そのメタマテリアルの一つは、2次元の網目構造を積み重ねてコイルにしたものだ。「これでは特定の方向からの光の磁場の波としか相互作用しません。あらゆる方向からの磁場の波と相互作用させるには、コイルをいろいろな向きに配置する必要があるのです。それは2次元の構造を積み重ねる方法では不可能です。半導体の加工技術を使えば、金属をナノスケールで加工することが可能ですが、それは2次元に限られます。コイルをいろいろな向きに配置させるには、3次元の加工技術が必要です」
 そして2009年2月、田中准主任研究員たちは光を使って金属をナノスケールで3次元に加工できる技術を開発し、話題を呼んだ。まず、透明な材料の中に金や銀のイオンを混ぜる。金や銀のイオンは紫外線(波長100nm〜400nm)を吸収すると還元されて金属化する性質がある。その性質を利用し、可視光よりも波長の長い近赤外線レーザー(波長800nm)を集光してその材料に照射すると、焦点だけで金属化が起き、レーザーの焦点を少しずつずらしていくと金属の3次元構造物ができるのだ(図2)。
 紫外線で起きる金属化が、なぜエネルギーのより小さい近赤外線でも起きるのか。近赤外線レーザーを100フェムト秒(10兆分の1秒)という極短時間のパルスレーザーにして、さらにレンズで絞り込んで1点に集光すると極めて強い光となり、通常では観察できない現象が起きる。光は粒子としての性質もあり、その粒子を光子(フォトン)と呼ぶ。通常、物質は光子を1個ずつしか吸収しない。ただし、極めて強い光、つまり光子の密度を高くすると、2個の光子が同時に吸収される場合がある。これを“2光子吸収”と呼ぶ。近赤外線の光子のエネルギーは紫外線の光子の半分しかない。しかし2個の赤外線の光子が同時に吸収されると、紫外線の光子1個と同じエネルギーとなり、金や銀イオンの金属化が起きるのだ。
 「金属を自在に、そして3次元にナノスケールで加工できる技術は、私の知る限り、今は理研にしかありません」。あらゆる方向から来る光に対しても磁場の波と相互作用するメタマテリアルの実現に、田中准主任研究員たちは大きく近づいたのだ。
 「ただし1mm角のメタマテリアルでも、数十兆個もの微小コイルをその中につくる必要があります。まだ技術的な課題はありますが、近い将来、光の磁場の波と相互作用するメタマテリアルを自分の手でつくってみたいですね」
 
人生80年間を丸ごと録画
 

 田中准主任研究員たちは、光による3次元の加工技術を利用して、超大容量光ディスクの実用化を目指す研究も進めている(図3)。「DVDの全体の厚さは1.2mmです。しかし情報が書かれているのは、1000分の1mmほどの薄い層だけです。99.9%は薄い層を支えるプラスチックの板にすぎないんです。その薄い層を多層にして、3次元で情報を書き込めば、DVDの100万倍以上の超大容量化を実現できる可能性があります。また情報を3次元で書き込めば、検索スピードも格段に高速化できるはずです」
 現在のDVDの記憶容量は4.7ギガバイトで、約2時間の映像を記録できる。「その100万倍の記憶容量があれば、同じ画質で人が生まれてから死ぬまでの80年間、人生を動画で丸ごと録画できます。そこまで記憶容量が増えれば、記録する情報を取捨選択する必要がなくなります。そのインパクトは大きいと思います」

(にゃんこのコメント)
むかし『未来惑星ザルドス』という映画があって、そのスーパーコンピューターは水晶玉だったけど、なんかそれを思い出すね。
2.5GB/Hrs×70000Hrs(80years)≒1.8PB
なるほど確かに超DVDなら一生を記録できる。。。
因みに、キロ─メガ─ギガ─テラ─ペタ ね。

従来の光学を超越する“メタフォトニクス”
 

 超大容量光ディスクではコストダウンなどの実用化を目指した研究を進める一方で、「メタマテリアルの研究では、まずサイエンスを十分に楽しみたい」と田中准主任研究員は語る。「私がメタマテリアルの研究をしようと思ったのは、光学の教科書を書き換えられると思ったからです。今までの光学は、比透磁率が1.0という1本の線上だけの物質を取り扱う学問でした。この世界は、1次元の非常に狭い世界です(図4)。メタマテリアルで物質の比透磁率を変えることができれば、光の世界はさらに大きく広がります」
 その広大な光の世界を探る新しい学問を、従来の光学、フォトニクスを超越する“メタフォトニクス”と田中准主任研究員は名付けた。「光学の教科書は、物質は光の磁場の波と相互作用しないという前提で書かれています。物質が光の磁場の波と相互作用すると何が起きるのか、やってみないと分かりません。実際にメタマテリアルをつくって、教科書の内容を検証し直してみる必要があります。広大な光の世界には、未知の現象、予想も付かない宝物が、きっと潜んでいるはずです」
 メタマテリアルで新しい光の世界を探索するメタフォトニクスが今、始まろうとしている。

(にゃんこのコメント)
ここが凄く重要らしいことはわかる。
だけど何がすごいかよくわからないヽ(゚´Д`゚)ノ゚。ウワァァァン!

(取材・執筆:立山 晃/フォトンクリエイト)