自閉症の脳

  
これエイメン先生たちのSPECTの話とどうつながるの?
SPECTでは自閉症は発見できなかったんだっけ?
なにが新しいのだろう?
逆にいままで調べていなかったのが意外。
論文さがして読んでみるか?
  

自閉症:感情の神経機能低下が関係 脳断層撮影で浜松医大
2010年1月5日 15時0分 更新:1月5日 17時28分
http://mainichi.jp/select/today/news/20100105k0000e040082000c.html?link_id=RTH02
 


健康な人(上)と自閉症患者の脳の断面を写したPET画像。
それぞれのグループの平均値を表し、脳を上部から8断面写した。
健康な人の脳では、セロトニン神経のたんぱく質がより多く働いているため明るく見える
浜松医科大精神神経医学講座提供

 
自閉症患者の脳では、感情などをつかさどる神経が十分に機能していないことを、浜松医科大などが陽電子放射断層撮影(PET)を使って初めて明らかにした。自閉症の治療や予防に役立つ成果として注目される。5日、米専門誌「精神医学アーカイブス」に発表した。
  
 自閉症発達障害の一つで、「相手の気持ちが読めない」「自分の気持ちを伝えられない」「強いこだわりを持つ」などコミュニケーションや社会性の低下が特徴。程度や症状には幅があるが、小学生以下では50〜100人に1人の割合で患者がいると推定される。原因は特定されておらず治療法もないため、「育て方が悪い」などの誤解が今も根強い。
 
 研究チームは、18〜26歳の男性自閉症患者20人と健康な男性20人の脳を、研究目的に限定した専用のPETで撮影した。分析の結果、感情などを伝える「セロトニン神経」内部で、神経伝達物質セロトニンを取り込むたんぱく質の働きが、患者の脳全体で健康な人より、平均で3割低くなっていた。中でも他人の気持ちを推し量る部位などでの機能低下が目立った。
   
 自閉症の原因については、関連する遺伝子が複数指摘されており、チームはこれらの遺伝子の異常が、今回分かった神経の障害を起こしている可能性があるとみている。
  
 チームの森則夫・浜松医科大教授(精神神経医学)は「自閉症は育て方とは関係なく、神経に障害が存在することが明確になった。治療・予防につながる標的が見えた意味は大きい」と話す。
【永山悦子】
  

 

にわか勉強したところによると、人間の脳を大きく論理処理と情緒処理の2面にわけて後者に問題があるのを大きく自閉症と呼ぶ。
これは本質規定なので、現象的には軽度から重度まで様々なのでスペクトラムを成すとみる。
この定義は情緒にのみ着目しているわけだから、論理処理の能力はいろいろなケースがある。
基本的な論理能力は言葉の取得時期で判断する。
幼児期に言葉の遅れがあった場合を自閉症の要件とすることが多い。
逆に言葉の後れが無い場合に特にアスペルガー症と呼ぶ。
アスペルガーの場合、知性の遅れが無くて情緒的欠陥があるために論理処理が比較優位となり一見頭がよく見えることがある。
論理的思考に特化するので成功者も多いという。
ただし論理能力自体の優劣は独立変数なので、アスベルガーだから頭がよいとは言えない。
ADD=注意欠陥障害とアスペルガーを含む自閉症との関係も同様だ。
自閉症スペクトラムとADDも独立なので、片方だけ症状する場合もあれば両方抱えている場合もある。(涙)
ADDは脳の機能バランスが取れずプラスマイナス余計な行動ドライブがかかることを指す。
典型的には多動やチック・注意散漫だが、まったく逆に鬱的な集中沈降というドライブもある。
つまり中庸がとれないということなのだ。
 
エイメン先生が提起したのは「精神病・神経症は脳の病気」という観点だ。
ADDだけじゃなく、精神病・神経症一般に脳になんらかの物理的異常がみられるはずで、それを縁に治療すべしという、内科医的精神医学観なのだ。
西欧では霊肉二元論が根強いから反発を受けるのだろう。
意志や性格まで物理的にコントロールできることへの本質的忌諱感がある。
『時計仕掛けのオレンジ』の「ルドヴィコ療法」的なモノを想起するんだろう。
しかし、単に技術的限界で内診できなかった脳がいまや様々に診断できるようになった。
この側面からの治療観はもっともっと重視されるべきだろう。