記者クラブ解体!


   
つうかさ、なんどもいうように大手マスコミ=宣伝省なんだからお役人共同体の一部なんだよね。
民主党は官僚と闘っているんだからマスゴミは基本的には敵側だ。
なので記者クラブは早晩廃止されるだろう。
もたついているのは参議院選勝利まではマスゴミを刺激したくないからだ。
この座談会は今更の感もあるけど、こんな自由社会の恥さらしの制度が無くなるならそれだけでも政権交代した意味はあったってもんだ。
   

大手マスコミはなぜ記者会見開放に反対するのか
記者クラブ問題座談会
2009/12/29 11:00
http://www.j-cast.com/2009/12/29057100.html
    

 2009年夏の政権交代で永田町や霞が関は大きく変わった。その一例が「記者会見のオープン化」だ。閣僚や党首の会見が記者クラブ以外のメディアにも開放されていくなか、記者クラブという日本独特のシステムの弊害が露わになった。なにが問題で、今後どう展開していくのか、J-CASTニュースの記者が話し合った。

         
鳩山首相の最初の「公約違反」
        
A この1年マスコミ界の最大の話題といえば記者会見のオープン化だったね。
  注目が集まるようになったのは、いつごろからだろう?  
  
B 「政権交代」が実現した総選挙の少し前からだ。
  09年5月に民主党小沢一郎前代表が西松建設問題で辞任して、代わりに鳩山由紀夫代表が就任したころだ。
  そのときの会見で鳩山代表は、フリージャーナリストの上杉隆さんに「政権を取ったら記者会見を開放するのか」と質問され、
  「私が官邸に入った場合、上杉さんにもオープンですのでどうぞお入りいただきたい」と答えた。
   
C それまで首相会見は、内閣記者会という記者クラブに所属している記者しか参加できない決まりだった。
  しかし鳩山政権になれば、クラブ以外のフリーやネットの記者も会見に参加できるようになる。鳩山首相はそう公言したわけだ。
  
A ところが鳩山政権が誕生しても「公約」は実行されなかった。
  
B 大きな節目は9月16日。鳩山首相の就任会見だった。
  記者クラブ以外では、一部の外国特派員と雑誌・専門紙誌の記者の出席が認められたものの、フリーやネットメディアは入ることができなかった。
  
C 鳩山政権の最初の「公約違反」だ。
  上杉さんがコラムで非難するなど、ネットでは大きな批判が巻き起こった。
  だが記者クラブの中にいる新聞やテレビはこの問題を報道しなかった。
   
A 既存メディアが伝えないのは、自分たちの既得権益にかかわる問題だから世間に知られたくない、ということかな?
   
C そういう側面もあるだろうが、そもそも首相会見は政府ではなく、記者クラブが主催しているというのが大きい。
  つまり、会見のオープン化を拒んでいるのは記者クラブ自身だ。
  そういう自らの閉鎖性を暴露する記事は書きにくいということだろう。
    
B ただ、記者クラブの幹事社に取材したら、「民主党側からネットメディアにも会見を開放してほしいという要望はなかった」という返事だった。
    
オープン化を阻んだ「犯人」はだれか?
    
B どうやら民主党のほうも記者クラブに気を使って、首相会見の開放を強く要求しなかったようだね。
  特に、政権のスポークスマンである平野博文官房長官は、開放を阻止するために動いたと言われている。
    
A なぜ、平野官房長官記者クラブに配慮したのか。
   
C 既存のマスコミの力はまだまだ大きく、政権交代はマスコミが作り出した世論で実現したという部分もある。
  平野官房長官としては「新聞やテレビを敵に回したくない」という思いがあったのではないか。
   
A 鳩山首相自身はどう考えていたんだろう?この問題でも揺れていた?
   
C 民主党の代表や幹事長の会見は以前からオープン化されているが、
  開放を進めてきたのは元代表の岡田現外相で、鳩山首相の手で実現したわけではない。
  実はそんなに積極的ではなかったのではないか。
   
A でも鳩山首相自身は「オープン化したい」と思っていた節もある。
  元秘書が起訴された12月24日の釈明会見で
  「来年からもっと記者会見を開放するようにする。このことに関して決意は変わっていない」と発言したんだよね。 
   
B この釈明会見は官邸ではなくホテルで開かれたので、我々のような外部のメディアも参加できたが、あの発言にはびっくりした。
  近くにいたフリーやネットの記者たちはみな喜んでいた。「首相は意外と本気なのかもしれない」と感じたよ。
     
A そうなると、首相自身は記者会見をもっとオープンにしたいと望んでいたが、記者クラブの抵抗で開放されなかったということになる。
  なぜ記者クラブは会見オープン化に反対するのだろうか。
   
記者クラブがオープン化に反対する理由
    
B 記者クラブの幹事社に聞くと「外部の記者が入ってくると、記者会見の運営に支障が生じる恐れがある」というあいまいな答えが返ってくる。
          
C それは「トンチンカンな質問が出ると困る」ということかもしれないが、
  そのような問題は会見時間を長めに確保したり、進行役がきちんと仕切ったりすることで解決できるはずだ。
    
B 実際、鳩山首相の釈明会見では、記者クラブの記者に混じってフリーやネットの記者が何人か質問していたが、特に混乱は生じていなかった。
    
A ほかに記者クラブが反対する理由としてよくあがるのが、セキュリティの問題。
  ニューヨークタイムズの記事によると、毎日新聞の記者が
  「もし記者会見で焼身自殺をする人が出たら、だれが責任をとるのか」と言ったというが、過剰反応ではないか。
   
C さすがに焼身自殺というのは、言いすぎだろう。
  ただ、かつて新聞社で働いた経験からすると、セキュリティの問題というのは確かにあると思う。
  これは冗談で言われていた話だが、
  某大手新聞には「宮内庁記者クラブにはエキセントリックな記者は入れない」というルールがあると聞いたこともある。
  一種の身元調査をやっているということだね。
  
A 会見場のキャパシティの問題もあるから、「誰でも記者会見に入れろ」というのは現実には難しい。問題はどこで線を引くかだ。
    
B メディアの数が限られていた昔は、記者クラブに所属している記者にだけ会見参加を認めるというルールも合理性があったのかもしれない。
  しかしメディア環境が大きく変わった今では、時代遅れの感が強い。
   
A 「記者会見をもっとオープンにしろ」という要望はだいぶ前からあるが、記者クラブはオープン化に消極的だ。
  そこには、セキュリティやキャパシティ以外の理由があるのではないか。
  
記者クラブの「既得権益」とはなにか
   
C 本音でいえば、既存メディアが持っている「既得権益」を侵されたくないということだろう。
  たとえば、ニコニコ動画などが記者会見をネット中継してしまうと、新聞やテレビよりも早く、会見の情報が外部に流れることになる。
  そうなると速報性を売りにしている通信社などは困ってしまうというわけだ。
   
A 新聞社にとっても外部の記者が入るのは迷惑なようだ。
   
B 元産経新聞の記者だった福島香織さんはツイッター
  「(記者クラブの)秩序を乱されては、新聞社的にはとっても困るよ。はっきりいって既得権益だから」と書いている。
  彼女は「権力側に対して直接、公の場で質問する、これはメディアにとって最大の権利だから人にはゆずりたくないだろうなあ」とも記している。
  実際、いまも多くの大臣会見では、記者クラブ以外の記者は「質問権」を認められていないが、それはまさしく既得権益だからだ。
   
C 内部にいる者からみれば、記者クラブというのは「取材拠点」としても非常に便利なシステムだ。
  記者クラブにはいろんな情報が集まってくるし、役所の各部署へのアクセスも容易なので、効率的に取材をこなすことができる。
   
A 役所には記者クラブ用の部屋が確保されていて、所属の記者はそこで取材したり記事を書いたりしているが、部屋の家賃を払っていないと聞く。
  これは記者クラブへの便宜供与といえるだろう。
   
B その点については、外務省の記者会見で質問が出たことがある。
  09年10月の会見で岡田外相は記者クラブの部屋について聞かれ、
  「賃貸契約はなく、無償で部屋を提供している」と答えている。
  他のクラブの現状を詳しく調べたわけではないが、おそらく同じような状況だろう。
   
C 特に霞が関の場合は、都心の一等地に無料のレンタルオフィスがあるようなもの。
  このメリットは大きいが、その原資は国民の税金から支出されている。
  今後は「無償提供」の正当性や公平性が問われる可能性もあるね。
   

政権交代をきっかけにして、大臣の記者会見の風景が様変わりした。
新聞やテレビの記者に混じって、フリーやネットの記者が質問できるようになったのだ。
政治主導でこじ開けられた風穴はさらに大きく広がろうとしているが、このような変化はなぜ実現したのか。

  
それまでとは違う多様な質問が出るようになった
   
A 首相会見はまだオープン化が実現していないが、いくつかの省庁では大臣会見が開放された。
  まず動きがあったのは、外務省だね。
    
B 外務省では岡田克也外相が9月18日、記者クラブ以外にも記者会見を開放すると表明した。
  クラブからは反発があったが、「原理主義者」とも呼ばれる岡田外相らしく自らの意志を貫いて、9月29日にオープン化を実施した。
   
C オープン化された会見は、どんな様子だったの?
    
B 参加した報道関係者は約80人で、会見場は満席になった。
  そのうちフリーやネットの記者・カメラマンは約20人。
  従来から参加資格があった外国特派員協会の記者たちも「今日は開放のお祝いだ」と言って、たくさん来ていた。
   
A ニコニコ動画のクルーも来ていて、会見をネット中継していたね。
    
C 記者クラブの記者と外部の記者で、質問の仕方に違いはあった?
    
B オープン化初日ということで、外部の記者の質問はオープン化に関するものが多かった。
  だがフリージャーナリストの中には日米外交について鋭い質問をする者もいて、それに対する岡田外相の回答が朝日新聞の記事になっていた。
    
A つまり記者クラブの記者も、外部記者の質問の価値をある程度は認めているというわけだ。
    
B その後の会見でも、フリーやネットの記者が質問した内容を、新聞や通信社が記事にするという現象が起きている。
  もちろん、その逆のパターンも多いわけだが。
      
C 記者会見の開放によって、それまでとは違う多様な質問が出るようになったという効果もあるのではないか。
    
B 外務省の職員に聞いたら、
  「新聞や通信社の記者はどうしても今起きていることに関する近視眼的ともいえる質問が多くなりがちだが、
  クラブ以外の記者はもっと長いスパンに立った質問をする傾向がある」と話していた。
      
C ところで、なぜ外務省は他の省庁にさきがけて会見をオープン化できたのか。
    
B 一つは、岡田外相が就任前から記者会見のオープン化に強い意欲をもっていたことがある。
  もう一つは、外務省では首相官邸や他の省庁と違って、会見の「主催権」が記者クラブでなく、省のほうにあったというのが大きい。
    
A 役所の会見は記者クラブの幹事をつとめる記者が進行役をつとめることが多いが、外務省では報道課の職員が前に出て仕切っている。
  それは省の主催だからというわけだね。
   
亀井金融相の奇策「もうひとつの会見」
   
C 外務省に続いて大臣会見をオープン化したのは、確か金融庁だったね。
     
B 金融庁の場合はなんといっても、亀井静香という突破力のある政治家が大臣だったのが大きい。
  亀井金融相はジャーナリストの上杉隆さんの要請もあって、就任後まもなく、会見のオープン化を記者クラブに提案した。
   
A しかし記者クラブの答えは「ノー」だったね。
  金融庁の会見はクラブ主催なので、その同意がなければ会見をオープンにできない。
  普通の大臣ならここであきらめてしまうところだ。
   
B ところがなんと亀井金融相は、記者クラブ向けの会見の直後に、クラブ以外の記者のための「もうひとつの会見」を開くようにした。
             
C まさかの奇策だった。これには我々も「その手があったか」と驚いた。
     
A クラブ向けの「第1会見」は会見室で開かれているが、「第2会見」のほうは大臣室で行われているんだよね。
    
B 第2会見に出席する記者は毎回20人〜30人。
  フリーやネットのほか、雑誌や業界紙、海外紙と多様なメディアが参加していて、質問もバラエティーに富んでいる。
   
C 雰囲気はどんな感じなんだろう?
   
B 第1会見の様子は庁舎内のテレビで見ることができるが、第1と第2ではだいぶ雰囲気が違う。
  第1会見では亀井金融相はピリピリしていて喧嘩腰だが、第2会見はリラックスムードで冗談もよく出る。
  クリスマスの12月25日の会見では、ネット中継向けに「投げキッス」まで飛び出した。
   
A 第2会見は大臣室でソファーに座って話すから、場所の違いというのも影響しているのかもしれないね。
    
B 「権力側のペースで会見が進められている」という指摘もあるが、大臣の本音が出やすいというメリットもないわけではないと思う。
  第1会見と第2会見はどちらも金融庁のサイトで発言が公開されているので、どちらが優れているかは、実際に読んで比較してもらうといいだろう。
   
C 記者会見の発言録といえば、第2会見のほうは質問した記者の社名と氏名が掲載されている。
     
B これはフリージャーナリストの岩上安身さんの提案によるものだ。
  会見する大臣は顔と名前をさらして答えているのだから、質問する記者も名前を出して責任の所在をはっきりさせるべきだ、
  という考え方にもとづいている。
    
A 第2会見のほうはニコニコ動画がネット中継しているから、その時点で名前が外に出てしまうんだけどね。
    
B 一応ルールでは、もしどうしても名前を知られたくない場合には、名前を隠して質問することも認められている。
  だが金融庁の職員によると「名前を出したくない」と言った記者はいままでに一人もいないそうだ。
      
C 会見録に記者の名前を出すルールは、外務省でも取り入れたそうだね。
      
B ただ、記者クラブの中には、自分の名前が会見録で公開されたり、ネット中継でそのまま流れてしまうことに抵抗感があった記者もいたらしい。
   
C それはなぜ?
    
B 個人名が出るとネットで誹謗中傷されるのではないかという漠然とした恐怖心があったようだ。
  同様の意見は他の記者クラブでも聞いたことがある。
    
C やっぱり大手マスコミの記者はネットに不信感をもっているのかな。
    
参加できても質問できない「奇妙なルール」
    
A 外務省、金融庁とオープン化が進んだが、他の省庁の動きはどうなっているのか。
     
B あまり話題になっていないが、法務省でも大臣会見がオープン化されている。
  記者クラブの説明によれば、従来からオープン化されていたが、
  外務省や金融庁の動きを受けて、改めて外部にも開放することを確認したということだ。 
   
A そのほかでは、環境省総務省でオープン化に向けた動きが進んでいる。
    
B 環境省小沢鋭仁大臣が9月に会見オープン化を記者クラブに提案しているが、まだ実現にいたっていない。
  対照的に、総務省は紆余曲折があったものの、2010年1月から大臣会見をオープン化することになった。
     
C それまでは記者クラブ以外はオブザーバー参加ということで、会見に出席できても質問ができなかった。
  これは総務省だけでなく、他の省庁のほとんどで実施されている「奇妙なルール」だ。 
     
B 12月になって実際に会見に行ってみると「記者として参加しているのに質問できない」という不合理さが身にしみた。
  そこで会見終了の合図があった瞬間に手をあげて「問題提起」をしてみた。
   
A 「質問できないので、問題提起をさせていただきます」と言って、
  記者クラブ向け以外の「もうひとつの会見」を開いたらどうかと提案したわけだね。
    
C 周りの反応はどうだった?
     
B ピーンと緊張感が走ったが、特に制止されることはなかった。
  原口一博総務相も最初は驚いたようだったが、きちんと受け止めて
  「会見をもっとオープンなものにしたい」という自分の意見を述べてくれたよ。
   
A 「インターネット中継も大歓迎」と言ったそうだね。
  総務省は情報通信政策を司る役所なので当然ともいえるが、
  映像配信という点で競合するテレビ局の中には不満をもっている社もあるようだ。
    
B 会見が終わったあと、ある新聞社の記者から「良かったじゃないですか」と言われた。
  その記者は「自分はオープン化に賛成だが、反対している社もあるのでなかなか前へ進まない」と話していた。
    
A そんなこともあったが、結局、総務省記者クラブは2010年1月から大臣会見のオープン化を決めた。
  参加できるだけでなく、質問もできるようになった。
   
C 総務省も大臣からの提案がきっかけとなっているが、
  記者クラブが内部で協議して自ら開放することを決めたのは、外務省や金融庁と違う。
  総務省のクラブは、正会員だけで30社もある。
  幹事社に話を聞いたが、意見をまとめるのに相当苦労したらしい。
  保守的といわれる記者クラブが主体的に開放した点は評価してもいいのではないか。
   
首相官邸OKすれば他省庁も一気にオープン化?
      

外務省から始まった「大臣会見オープン化」の波は少しずつ、他の省庁にも広がっている。長年にわたって記者会見を独占してきた記者クラブは、旧政権にとってかわった閣僚やネット時代に生まれた新興メディアによって、門を開くことを強く求められている。その姿は150年前、異国からやってきたペリーに開国を迫られた江戸幕府のようだ。記者クラブは今後、どう対応していくのか。

       
記者クラブが会見を仕切る社民党は「旧態依然」
        
A 外務省、金融庁総務省と記者会見のオープン化が進んできたが、肝心の「首相会見」の見通しは?
             
B 鳩山首相は12月24 日の会見で「来年はもっとオープンにする」と明言した。
  それとは別に、官邸の政務三役が「今年度中にオープン化するから、もう少し待ってくれ」とあるジャーナリストに言ったという話もある。
   
C 首相会見を主催しているのは内閣記者会、つまり記者クラブなので、政府側の意向だけでは決められない。
  おそらく記者クラブは抵抗するだろうから、本当にオープン化が実現するか、まだ予断を許さない。
    
A だがもし首相官邸の門が開けば、他の省庁も一気にオープン化に向かう可能性が大きいね。
      
C だが、役所の中にはオープン化したくないところもあるだろう。
  特にガードが固いのが、警視庁と宮内庁だ。
  警視庁には以前、J-CASTニュースも「記者会見に参加させてほしい」と申し入れたことがあるが、木で鼻をくくったような対応だった。
            
A 宮内庁も「菊のカーテン」という別称があるほどなので、そう簡単にオープン化には応じないだろう。
         
C ただそれ以外の省庁は、首相会見がオープン化されれば、同調せざるをえなくなる。
  やはり官邸の会見が開かれるかどうかが、大きなポイントといえる。
             
B 政府以外も変わりつつある。
  自民党は野党になってから、総裁や政調会長の記者会見がクラブ以外にも開放されるようになった。
  面白いのは、入り口にいる守衛の態度まで変わったこと。以前は冷淡な感じだったが、いまは笑顔で迎えてくれる。
      
A 国民新党も広報には積極的なようだね。
  なにしろ記者クラブと喧嘩して「もうひとつの会見」を強行した亀井金融相が代表だから、記者クラブ以外のメディアにも寛容だ。
      
B その一方で、旧態依然としているのが社民党だ。
  党首や幹事長の定例会見が開かれているが、主催は「与党クラブ」と呼ばれる記者クラブだ。
  政権交代前は「野党クラブ」が仕切っていたというが、社会党以来の慣行をそのまま続けているということなのだろう。
   
新たに参加する記者の力量が試されている
   
C 記者会見をオープン化するうえで、問題となるのが参加資格をどのように設定するかだ。
  クラブ以外の者の参加を認めるといっても、セキュリティやキャパシティの観点から無制限に許可するわけにはいかないだろう。 
    
A その点、外務省と金融庁は参加基準が異なっている。
  外務省は日本雑誌協会日本インターネット報道協会などいくつかの報道団体に加盟しているメディアか、
  その媒体で記事を書いている記者であることを参加条件としている。
  一方、金融庁の基準はそこまで形式的ではない。
  個々の記者から参加申請を受けるたびに、それまでの実績をみてケースバイケースで判断している。
  結果として、金融庁のほうが広く参加を認めることになっているが、特に問題は起きていない。
    
C 1月から新たにオープン化する総務省は、外務省とほぼ同じ基準だというが、これだと参加が認められないジャーナリストも出てくる。
  ただ、どんな基準がいいか一概には決めにくいので、試行錯誤しながら基準を考えていくしかないだろう。
     
A 記者会見がオープン化されたからといっても、それだけで記者会見の質が上がるわけではない。
  新たに参加するようになった記者がどんな質問をするのか、その力量が試されているともいえる。
   
B 記者クラブ問題に長年かかわってきたビデオジャーナリストの神保哲生さんは外相会見が開放されたとき、
  「ボールは投げられた。それをどう打ち返すか。今度は我々のほうが試される番だ」と話していたが、そのとおりだと思う。
     
「個人的にはオープン化に賛成」という記者たち
     
C 今回の一連の動きを通して「記者クラブ問題」が大きくクローズアップされるようになったという側面もある。
  特にネットでは反響が非常に大きかった。
    
A ネットだけでなく新聞各紙も、記者クラブや記者会見オープン化の動きについて、特集を組んで紹介した。
  産経新聞は10月30日付けの紙面で「記者クラブ制度は必要だと思うか」というアンケートの結果を紹介したが、
  その結果は「NO(不要)」と答えた人が78%にも達していた。産経はよくこの結果を掲載したと思う。
         
B だが、ほとんどの新聞は1回特集記事を書いて終わりという感じで、個々の具体的な動きをしっかり伝えているとは言いがたい。
       
A テレビに至っては、完全に「見て見ぬふり」を決め込んでいる。
  大臣の記者会見で記者クラブに関する発言が出ても、その部分は決して放送されることはない。
     
C その意味では、会見がオープン化された結果、ネット中継やアーカイブ動画で会見内容がそのまま見られるようになったのは画期的だといえるね。
          
B 新聞やテレビにしてみれば、記者会見のオープン化は既得権益の侵食につながるので、消極的な報道になってしまうのは当然ともいえる。
  ただ、記者クラブの記者に話を聞くと、「個人的にはオープンにしたほうがいいと思っている」という人が多い。
           
A 一記者として個人的にはオープン化に賛成でも、社内事情やクラブ内の他社との関係で積極的に行動するわけにもいかない、ということだね。
  また会社の仕事で手一杯で、記者クラブの改革のために使う時間やエネルギーはほとんどない、というのが実情だろう。 
    
B ニューヨークタイムズマーティン・ファクラー東京支局長も
  「大きい新聞の記者とよく話すが、彼らも本音では今の記者クラブ制度が好きじゃないと思う。
  ただ、彼らは自分の会社に反対できないから、その本音をなかなか公の場で言えない」
  と話している。
         
A 会社によっても見解は分かれている。
  朝日新聞の9月30日付けの記事によれば、朝日新聞日経新聞共同通信は記者会見オープン化に賛成の立場だが、
  読売新聞や時事通信は消極的な姿勢をみせている。
    
C そうはいっても、時代の流れからすると記者クラブ主催の会見も「オープン化」は避けられないだろう。
  ジャーナリストの上杉隆さんなどはさらに進んで
  「民間の親睦団体にすぎない記者クラブが公的機関の会見の主催権をもつのはおかしい」
  という主張をしている。
   
役所が記者会見を主催すべきなのか?
   
A どの役所も外務省のように自ら会見を主催すべきだという意見だが、これには異論もある。
  記者クラブ側は「役所が主催すると、会見を恣意的にコントロールされる恐れがある」と反論している。
    
B だが実際に会見に参加してみると、クラブ主催だからといって権力側と緊張感のあるやり取りができているかどうか、疑問も感じる。
     
C かつて新聞記者として記者クラブに所属した経験からすると、記者会見では政治家への配慮や他社との相互牽制が働くことが多い。
  重要な質問はあえて記者会見では聞かずに夜回りのときにぶつけようという思惑もあり、質問を自己規制してしまうことがある。
     
B ある省庁の記者クラブの記者も
  「クラブの内部にいるとどうしても他社の目が気になって、空気を読んで質問するようになってしまう」
  と話している。
      
A 逆に役所や政治家が主催しているからといって、厳しい質問が出ないというわけでもない。
  たとえば民主党小沢幹事長の会見は党主催だが、記者からは天皇特例会見や政治資金問題などについて、小沢氏が嫌がる質問がよく出ているよ。
   
C 重要なのは、会見の主催が役所かクラブかということではなく、そこに参加する記者の姿勢ではないか。
   
B 実は、記者クラブの幹事をつとめる記者からも「役所に会見を主催してもらいたい」という声が出ている。
  記者の本来の仕事からすれば、会見の進行役をしたり、参加の可否を判断したりするのは不慣れな作業なので、負担感が大きいようだ。
    
A むしろ役所のほうが、記者登録などの事務作業やルール作りに慣れているし専門のスタッフもいるので、
  記者クラブが無理して「会見のオープン化」を引き受けなくてもよいのではないか、という考え方もある。
    
C いずれにせよ、「開かれた会見運営」は必然の流れだろう。
  ただ、セキュリティや誰を参加させるのかという参加基準の解決には少々時間はかかりそうだ。