日本の農村を救え!?

          
 
          

先進国でこんなに自給率が低いのは日本だけだ。
だから日本は農業を振興しなければならない。
日本以外の先進国では農業はちゃんと成り立っている。

            
というような議論をよく目にする。
漏れはこれに違和感がある。
というのは大事な事実に言及していないからだ。
つまり、競争力のある農業は大規模経営であるということ。
戦前の日本農業は小規模農の蝟集状態だった。
地主から小口の土地を借りた小作人が経営していたので効率が悪かった。
マッカーサー改革は、小作農を自作農に変えたので(NEP同様)生産性が上がった。
これが人口激増期の日本を救った功績はたたえられて良い。
しかし、経営という観点からはあと一歩、農家は経営規模を10倍すべきだった。
これから10年、高齢農業者の退場とともに大規模農業経営が開始されるだろう。
そうなれば少なくとも欧州並みの「豊かな農村」は実現する。
問題は地域コミュニティーを如何に保持するかだ。
そのための平成の大合併なのだ。

日本ではFarmerは追放されpeasantだけになってしまった。
しかしそれは敗戦後混乱した当時人口の50%を農民が占める日本国安定化させるのに役立った。
さらに農業にもあぶれた失業者は土木工事の人夫として吸収した。つくるのは「道路」。
工業部門が稼いだ富を「農家」「道路」に回してやることで日本の戦後政治システムが成り立っていた。
しかしグローバル化で内弁慶の産業は没落する。
農家の衰退は、農業の衰退ではない。
問題は、小規模農家の統廃合による効率化だ。

                 

具体的には、米国(178ha)、オーストラリア(3000ha越)、カナダ(211ha)などの新大陸型農業では、100haないしそれ以上のオーダーの経営規模である。これに対し、旧大陸型農業のうちのヨーロッパ型では、EU平均では15.8haであるが、イギリス(67.7ha)、フランス(42.0ha)、ドイツ(36.3ha)など数十ヘクタールの経営規模をもつ。さらに、同じく旧大陸型農業に属する東アジア型は、日本(1.27ha)、中国(0.6ha)、韓国(1.5ha)とおおよそ1ha前後の経営規模である。
http://www.nira.or.jp/pdf/nogyo3.pdf

しかし、伝統農業の改革に残された時間は少ないかもしれない。
自然エネルギーと無菌培養による農産物工業化のビッグウェーブはすぐに迫っている。