東京裁判

     

東京裁判 (講談社現代新書)

東京裁判 (講談社現代新書)

   
新書のくせに411頁の大著である。
でも平易で読みやすく良くまとまっている。
東京裁判について勉強するにはちょうど良い本だと思う。
いわゆる反動ウヨでもお花畑サヨでもない、価値中立的な、ということは真に学問的姿勢が気持ちよい。
     
筆者は1962年うまれ。最近この世代の学者の躍進が著しい気がする。
というか、戦前世代は独自の文明論があった。団塊世代はすっかり洗脳され、シラケ世代はゼロクリア。で、新人類世代から「敗戦ショック」にも「共産主義幻想」にも無縁な見直しが進んできた、というのが漏れの分析。そう、「戦後民主主義者」て結局独自の哲学をつくれなかった。ただただ敗戦ショックによる感情扇動しかやってこなかった。そういうのは時間が経つと蒸発しちゃうんだよ。だから団塊サヨクはダメなんだよ〜。所詮「保育器の中の政治」だったんだよなあ。
      

第1章 東京裁判をどう見るか
 1  靖国合祀をめぐって
 2  A級とBC級のあいだ
 3  「文明の裁き」論と「勝者の裁き」論と
   
第2章 東京裁判の枠組みはいかにして成立したのか
 1  「ヴェルサイユの失敗」をふまえて
 2  アメリカ主導か、連合国の協調か
 3  天皇不起訴と各国の思惑
   
第3章 連合国は何を告発したのか
 1  国際検察局の始動
 2  被告と訴因の確定
 3  検察側の論理
   
第4章 日本はどのように対応したのか
 1  協力と抵抗
 2  弁護側の論理
 3  <国家弁護>と<個人弁護>
   
第5章 判決はいかにして書かれたのか
 1  判事団の分裂
 2  判事団の再編、そして判決
 3  パル判決をどう読むか
   
第6章 なぜ第二次東京裁判は実施されなかったのか
 1  国際裁判と継続裁判と
 2  マッカーサーの執念
 3  裁判終結への転換
   
第7章 戦犯釈放はいかにして始まったのか
 1  いつ、どのようにして
 2  サンフランシスコ講和条約における戦犯条項
 3  独立回復後の「重大国内問題」
   
第8章 なぜA級戦犯は釈放されたのか
 1  赦免勧告の開始
 2  <釈放急進論>の高まり
 3  東京裁判後にあるもの
   
あとがき
引用・参考文献
関連年表