兵頭二十八ブログより)
二。
 Christina Mackenzie 記者による2012-5-7記事「Pristine Spitfires Found in Burma」。
  ビルマで戦時中(67年前)、まったく未使用のスピットファイアを英軍が終戦にともなって120機も土中に埋めておいたという。過ぐる2月、その何機かがついに発見されて、非常に状態は良かったので、ぜんぶ掘り出して英本国に送り返してレストアされる予定。キャメロン首相が許可した(英国財産だからな)。

 この発掘、ひとりの英国人農夫が私財を散じて長年探索を続け、とうとうブチ当てたのだそうだ。第一報は『デイリー・テレグラフ』紙が報じた。※そこには「日本軍から隠すため埋めた」とあってミスリーディングである。

 スピットファイアのタイプは、グリフォン・エンジンを搭載したマーク14型である。
 埋まっていた深さは40フィートだった。

 英国人農夫の David Cundall(62)は、過去15年間にわたり、ビルマに12回渡って、£130,000 以上の私費をこの発掘事業に投じてきた。

 そして、戦時中にRAFの飛行基地があった場所で、彼の地中レーダーが、スピットの機影をとらえた。

 埋めた事情だが、英本国からビルマに海送され、基地までは鉄道で運ばれたという。しかし実戦には一度も投入されなかった。そして終戦間際には、スピットの14型は時代遅れなものであった。

 終戦になって英軍上層部は悩んだ。WWII後のビルマは「反英国家」として独立する可能性があった。
 その反英勢力に、旧式とはいえ戦闘機を大量に渡すことになってはまずいだろうと、英国人は思った。
 そこで英軍の東南アジア司令部が、「スピットをすべて埋めろ」と基地司令に命じたのだ。

 かくして、当時£12,000くらいかけて製造されていた新品のスピットファイア120機が、土中に隠されることになった。

 120機は、梱包された状態で基地に集積されていた。それを未開封のまま、土に埋めたので、今も錆びていないわけである。
 梱包は木枠だけではない。機体は油紙で包まれており、その外側にはグリスやタールが塗られている。だから、ほとんど新品同然なのだ。

 発掘には資金が £500,000 ばかり要る。これは英国の「Boultbee Flight Academy」が醵出することになった。作業は、まもなく始まる。

 ※この大規模な隠匿作業が、現地ビルマ人にまったく知られることなく秘密が保たれたというところがおそろしいわ。目撃者も一所に埋まってるんじゃね?