3党合意破棄は震災復興見殺しなのか?

日経なのに増税でGDPが減少することを指摘したのは画期的!
しかし、それなら増税効果とGDP減少による税収減効果の比較をして欲しかったですね。
すると増税が殆んど無意味だという結論になるでしょう。(税収は閾値があるので▲3.7%以上凹むから)
 
でご指摘の通り肝心要の『デフレ脱却』ですが、具体性が無いですな。
結局安藤さんも「成長戦略=TPP+法人税下げ」ですか。「円安対応も含め」ったってなにやるか解らないですね。
この辺が日経ポジションの限界なのか。
普通の国なら当たり前の「米国債売却・財政出動・円安誘導」が米国に禁じられているのがポイントじゃん。
だから「親小沢」が必要だというのに、わかってないのかなあ?やっぱり。
 

時事深層
怨念の政治は終わらない 野田佳彦政権 内憂外患の船出

安藤毅 、 田村賢司
2011年9月2日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110901/222371/
(略)
 小沢氏の意向を反映して「民主党の原点回帰」を旗頭に掲げる海江田氏は、子ども手当の見直しなどを盛った自民、公明両党との3党合意について白紙で臨む考えを表明。これに両党が強い懸念を示していた。
 
 新内閣が真っ先に取り組むべき重要課題の1つが、東日本大震災からの復興に向けた今年度第3次補正予算案や来年度予算案編成だ。仮に海江田氏が代表に就き、3党合意をちゃぶ台返しにすれば、予算措置などに関する野党との協力関係維持は難しくなる。誰もがその緊急性で一致する震災復興対応がさらに停滞すれば、民主党への批判が強まるのは必至だった。
 
 「国民の生活が第一」と言いながら、被災地の復興など眼中にないかのような行動はおかしい――。復興担当相の任にある平野氏らが野田陣営に走ったのは、こうした小沢氏の姿勢への批判と、復興対策をこれ以上遅らせてはならないとの判断もあった。谷口尚子・東京工業大学准教授は「民主党は、政権与党としてギリギリの理性を働かせ、踏みとどまった」と評する。
(略)
 というのも、野田氏の代表任期は来年9月まで。検察審議会の起訴議決を受けた小沢氏の公判は10月に始まるが、政界では「来春にも小沢氏に無罪判決が出る」との見方がくすぶる。小沢氏に近い議員は「無罪判決を勝ち取れば、流れは変わる。次の勝負は来年9月だ」と力を込める。
(略)
 先進国最悪の累積債務を抱える財政状況を踏まえ、市場関係者の間では「財政再建を重視する野田氏が選出されて一安心」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)と評価の声が出ている。ただ、俎上に載せる「増税ラッシュ」は国民生活や日本経済に大きな負荷がかかるのも事実だ。
 
 第一生命経済研究所の永濱利廣・主席エコノミストの試算では、消費税率を2013年度に3%、2015年度にさらに2%引き上げ、復興財源として2013年度から所得税法人税を定率で10%引き上げると2015年度の実質GDP国内総生産)は3.7%も落ち込む
 
 このため、まずは無駄な歳出を削減し、負担増をできるだけ圧縮する作業が欠かせない。震災の影響で頓挫してしまった法人税率引き下げやTPP推進など経済全体を底上げする成長戦略の再設計も重要だ。
 
 岩澤誠一郎・野村証券チーフ・ストラテジストは「野田氏の政策には『デフレ脱却』というキーワードがなく、株式市場に対してプラスにならない懸念が残る」と指摘する。円高対応も含め財政再建と成長を両立するシナリオを追わなければ、痛みを伴う増税に対する国民の支持は得られず、野党と党内からの逆風が強まりかねない。政権が短期に行き詰まるリスクもあるのだ。
 
 ジャパナイゼーション――。米欧にも共通する政治の指導力不足は「日本化」と揶揄される。「親小沢」か「脱小沢」かという内向きの議論を優先することで、今後も短命政権の連鎖が続けば、この国はいよいよ危険水域に突入する。