電気代という名の人頭税

自然エネルギーの可能性と限界?風力・太陽光発電の実力と現実解?

自然エネルギーの可能性と限界?風力・太陽光発電の実力と現実解?

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51839042.html
 あまりにもいい本だったので、書評を書いておくことにします。僕が今までに読んだ再生可能エネルギーに関する一般向けの本としてはベストです。流行りの「自然エネルギー」の現実的な姿を理解したい人はぜひ読んだ方がいいと思います。
 
 最近、やたらと人気のソーラーですが、実は日本はソーラーの分野では世界一でした。1970年代のオイルショック以来、日本は化石燃料に変わるエネルギー源を死に物狂いで探しました。そのひとつは、いうまでもなく原子力です。もうひとつが、実はソーラーだったのです。
 
 考えても見てください。僕たちは小学生のときに全員が、日本はエネルギーのほとんどを輸入していて大変だ、大変だ、と教わります。また半導体分野は日本のもっとも得意とする分野です。当然のように、日本国政府も莫大な税金をソーラーにつぎ込んできました。
 
 サンシャイン計画、ニュー・サンシャイン計画と数兆円の国費が投入されています。原子力は発電単価の安さからすぐに実際に利益を生み出す基幹エネルギーのひとつになりましたが、ソーラーはさっぱりです。現在の日本では、ソーラーや風力や地熱などの自然エネルギーを全て足してもエネルギー供給全体のたったの0.2%にしかならないのです。もはや、これは詰んでいる、といっても差し支えないのではないでしょうか?
 
 実は、1970年代や1980年代にまじめにソーラーなんかやっていたのは、世界の中で日本だけでした。それが2000年ぐらいから、地球温暖化ブームや石油価格の急激な上昇で、ヨーロッパ諸国が、昔の日本のサンシャイン計画みたいなことをやりはじめます。そして、日本のメーカーはソーラー・パネル生産で世界シェアを独占していたのに、最近では中国やドイツのメーカーに抜かれてしまっています。
 
 それで日本のソーラー・メーカーの人たちがくやしがっているか、というと実は非常に冷ややかな目で見ているのです。ソーラーというのは完全なる補助金ビジネスで、補助金が止まった途端に滅びる運命にあります。一時のブームで生産設備を増強すると、補助金が止まったときに過剰設備を抱え、大変な経営問題になってしまうのです。実際に世界金融危機後にソーラーなどに税金を回している余裕がなくなった欧州のメーカーはかなりやばくなってきています。自然エネルギー大国のスペインなどは国ごと財政破綻してしまいました。
 
 ちょっと考えれば、ソーラーの全量買い取り制度なんて非常におかしなシステムだと気がつくでしょう。よく考えてください。「素人がつくった品質の保証されない商品を、天気次第でいつ入荷するかわからないけど、店頭に並べたときは必ず市場価格の10倍で買い取れ」などといった話があるでしょうか? 太陽光サーチャージだとか脱原発だとか、自然エネルギー推進法案だとか、ずいぶんと美しい名前がついていますが、要するにそういうことです。
 
 僕はたとえば、携帯会社が片手間で作った品質の保証されない電気を、市場価格の何倍で強制的に買い取れ、といわれたらとても嫌な気持ちがしますね。

 結局の所、自然エネルギーというのは、電気代という人頭税を徴収し、製造業の国内空洞化が進むために、雇用不安が発生するという、日本の弱い立場の人たちに一番酷なことなのです。最近では、ツイッターなどを通して、僕のもとにいろいろと切実なうったえが寄せられます。そのひとつを紹介しましょう。