国民一人ひとりの「マイナンバー」

手放しで喜べないが、いつまでも拒否できるものでもない。
民主的な運用のための枠組み作りを議論すべきだ。

国民一人ひとりの「マイナンバー」
2011/07/08
井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110707/362188/
 政府が制度化に取り組んできた、いわゆる「共通番号」が、ようやく一つの節目を迎えた。政府・与党社会保障改革検討本部は6月30日に、「社会保障・税番号大綱」を決定した。同大綱はパブリックコメントを反映して修正されるが、基本的に「番号法案(仮称)」の原案となるものだ。国民一人ひとりに割り当てた番号を用いることで、これまで実現できなかった国民にとって利便性の高い行政サービスの実現を目指すことになる。
 
 民主党が2009年9月に政権に就いてから2年弱。迷走する政策も目に付く中で、社会保障と税の一体改革は着々と議論が進められてきた。2011年1月には、国民ID制度の導入を推進する高度情報通信ネットワーク社会推進本部(IT戦略本部)と共同で作業部会を設置。専門家による事務的な検討を加速させたのも奏功した。
 
 国会での法案審議の行方次第ではあるが、政府は3年後の2014年6月に国民一人ひとりに番号を割り当て、2015年1月以降に番号を利用した行政サービスを始める意向である。この機会に、番号制度の実現に向けたこれまでの歩みを振り返り、IT基盤をフル活用した行政サービスの新しい姿を思い描いてみるのはいかがだろうか。