「東電問題」を法的に処理すべし

まったくの正論。なぜか法律論が最後に来る不思議。
されとても 法は法なり 毒人参

荒井裕樹の「破壊から始める日本再興」
「法の支配」の貫徹が日本経済を強くする 東電問題に見る日本の統治システムの欠陥
荒井裕樹
2011年7月8日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110706/221321/
 
 「東電問題」を法的に処理すべきだ。
 
 このように言うと、東京電力を法的に破綻処理すべきだと言っているように聞こえるかもしれないが、必ずしもそうではない。単に、東電問題を法律に則って粛々と処理すべきだ、と言っているだけだ。
(略)
 大多数の国民が大きな影響を被った原発事故についてすら、いまだに十分な情報が国民に共有されることなく、現行法上の法的責任問題も十分議論されず、議論自体を忌避しようとする体質。すなわち、日本では「法の支配」が資本主義経済の発展と安定にとって最も重要な要素の1つであることが十分に認識されておらず、「法の支配」が十分に貫徹されていない、ということだ。
 
 「法の支配」は、現在起きている問題を、法によって処理・解決することを意味する。「法の支配」は、経済行動を取るうえで不可欠な将来の予測可能性を高める効果、例えば私有財産権が将来にわたって保障されるという統治システムに対する信用効果を生み出す根源となっており、「法の支配」なくして活発な経済活動は全く期待できない。
 
 資本主義経済にとって、「法の支配」は最重要な統治システムの原理の1つであるにもかかわらず、その意識が希薄なせいか、東電問題という日本経済にとって極めて重要な問題に対して、「法の支配」をいかに貫徹させるか、という議論がほとんどなされていない現状は、日本経済の復興を妨げる統治システムの不全と言うべきだ。
(略)
 投資家が市場に流動性を供給することで、市場の価格発見機能が果たされ、あるいは経済取引が促進されるのであって、これら市場機能の発揮が、日本経済の再興にとって必要不可欠であることは論を待たない。
 
 そのためには、ここでも、現在の株式会社制度において企業の法的所有者とされている株主が本来持っている権能を行使することを積極的に支援するという意味で、「法の支配」の貫徹が、日本経済再興のキーとなっていると言うべきだ。すなわち、「強い投資家」が強い日本経済を創るのである。
 
 私は、一投資家の立場から、日本経済の再興のために、既存秩序を破壊し、新しいヒト、モノの創造に寄与し、新しいカネの流れを作り、新しい統治システムの確立に微力ながら貢献したいと考えている。