原発電力輸入増は市場メカニズムなので仕方ありません。




http://www.jepic.or.jp/data/gl_date.html

熊谷徹のヨーロッパ通信
「脱原子力のためなら電気代は高くなってもいい」と言うドイツ人
政府が2022年原発廃止を決定した背景
熊谷徹
2011年7月8日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110704/221267/
(略)
 この国の産業界は、福島事故が起こる前から、すでに電力料金の高さに音を上げていた。メーカーの経営者団体であるドイツ産業連盟(BDI)によると、ドイツの大口需要家向けの1KW時あたりの電力価格は、イタリアとアイルランドに次いでヨーロッパで3番目に高い。その理由の一つは、再生可能エネルギーによって作られた電力の助成金再生可能エネルギー促進税)や環境税が、電力料金に上乗せされているからだ。シュレーダー政権が本格的に始めた再生可能エネルギーの拡大政策によって、風力や太陽光などで作られた電力の買い取りに毎年つぎ込まれる資金の総額は2000年からの9年間で8.3倍に増え、2009年には100億ユーロ(1兆1000億円)に達している。
 福島の事故が発生する2カ月前、今年1月には約700社の電力販売会社が電力料金を平均6%ないし7%引き上げている。その最大の理由は、再生可能エネルギーを促進するための費用の、電力料金への上乗せ分が、前年比で約70%増えたためである。
 メルケル首相が原子炉7基の停止を発表した翌日の今年3月16日、ライプチヒにあるヨーロッパ電力取引所(EEX)では、第2・四半期に供給される電力1メガワット(MW)時当たりの価格が、52ユーロから17%上昇して61ユーロになった。ケルンのエネルギー経済研究所は、ドイツの全ての原子炉を2018年に停止した場合、電力1MW時当たりの価格は、原子力発電を廃止しない場合に比べて30%高くなると予想していた。 (略)

(にゃんこのコメント)
現在61ユーロ≒7円/kw。30%upでも9円。ヤシー!なに甘えているのwww
それもこれも石炭がたくさんとれるお陰ですね。
石炭火力は大気汚染=健康被害の要因なんだけど、なぜか原発みたいに「コワイコワイ」といわれない不思議。
しかも石炭焚いても旧東独の旧式発電所を立て替えるだけでCO2問題もクリアできるという狡賢さw

 BDIは、「電力価格の高騰が続くと、電力集約型企業の間で生産施設を国外に移転する動きが強まり、雇用に悪影響が及ぶかもしれない」と警告する。ヨーロッパではCO2削減のための排出量取引も行なわれるなど、環境保護コストは上昇する一方だ。さらにドイツは高福祉国家なので企業の社会保険料負担も高く、人件費がずっしりと経営者の肩にのしかかる。産業の空洞化を懸念する声が出るのも無理はない。
 日本でも福島事故以降、再生可能エネルギーの拡大や全量買い取り制度についての議論が盛んになっているが、そのためにどれ位のコストがかかるのかという問題には、あまり重点が置かれていない。ドイツの議論では、コストが常に視野の中に置かれている。ARDが今年6月に行なった世論調査では、「脱原子力のためには、電力料金が高くなることを受け入れる」と答えた人が回答者の65%に達している。この国では産業界を除けば、脱原発再生可能エネルギーの拡大で電気代が上昇することに目くじらを立てる人は少ないようだ。
         
 ドイツの脱原発について日本で講演をした時、聴衆から最も多く出されたのが「ドイツが自国内の原発を止めても、ほとんど原子力発電で作られているフランスやチェコの電力を輸入しているのは、偽善では?」という指摘だった。BDEWによると、2011年3月1日から16日まで、ドイツは、電力の純輸出国だった。電力の輸出量は、輸入量を毎日平均70GW時から150GW時上回っていたのである。だが原子力モラトリアムが発令された後の3月17日から、ドイツの電力輸出入バランスは逆転。輸入量が、輸出量を毎日平均50GW時上回った。特にフランスとチェコからの輸入量が2倍に増えた。フランスの電力の80%は原子力発電で作られている。
 輸入超過はドイツ政府が意図したものではなく、需要と供給、価格に左右される電力市場のメカニズムが引き起こしたものである。メルケル首相は「新しいエネルギー政策の目標は、フランスとチェコからの電力輸入量を増やすことではない」と断言。国内の原子力発電を外国からの原子力発電で代替するつもりはないという態度を、明確にした。連邦環境局のハリー・レーマン氏も「ドイツはフランスなどの電力に依存する必要はなく、完全に自給できる。モラトリアム後に輸入超過になったのは、外国からの安い電力が流れ込んだせいであり、ドイツの発電能力が足りなくなったからではない」と述べ、電力取引所を中心に市場の単一化が進むヨーロッパの電力市場ならではの、一時的な現象という見方を明らかにした。

(にゃんこのコメント)
これを偽善といわずしてなんといおうか。
割高な電力が売れなくなり、原発製の安い電気が輸入されるのは当然。
だけどそれは市場メカニズムなので環境政策と関係ありません、なんて納得できるか!
脱原発なら原発製電力の輸入を禁止しろよ。