素人ができる唯一の投資法

金融のプロに騙されない等身大の資産作り
【第1回】 2011年7月7日 水瀬ケンイチ
なぜ銀行や証券会社は低コストで楽な投資法を個人投資家に隠すのか!?
http://diamond.jp/articles/-/13009
(略)
 私がこのコラムでいちばんお伝えしたいことは、「投資が仕事でも趣味でもない普通の人が、金融のプロに騙されないで資産作りができる極めて簡単な投資法がある」ということです。
 世の中には、本当にいろいろな投資法があります。私も10年前はいろいろな投資法を行なっていました。移動平均線を見たり一目均衡表を見たりしてチャート分析をしてみたり、企業の財務諸表とにらめっこをしながらファンダメンタル分析をしてみたりしていました。うまくいったものもあれば、うまくいかなかったものもあります。
 しかし、総じて言えることは、いずれも手間がかかる投資法だったということでした。
 
 そして、私の性格がいけなかったのだと思いますが、株価やチャートやニュースなどを常にチェックしていないと不安を感じるようになってしまいました。たとえ仕事中でも、気になって仕方がありませんでした。自分が投資している銘柄に悪材料が出ると、すかさずトイレに駆け込みケータイで売却……いわゆる「トイレ・トレーダー」の誕生です。
 
 これではいけないと思い直し、もう少しゆったり構えられる投資法はないものか、できれば手間がかからない投資法はないものかと、書籍やネットを丹念に調べ上げました。そこで出会ったのが、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)という本でした。そのまえがきには、驚くべきことが書かれていました。

ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第10版>―株式投資の不滅の真理

ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第10版>―株式投資の不滅の真理

 
個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネージャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックスファンドを買ってじっと待っている方がはるかによい結果を生む」
 

 
 私は、「これだ!」と思いました。当時はまだ、この投資法のことを何と呼ぶかは知りませんでしたが、後になって「インデックス投資」と呼ばれていることを知りました。(略)
 
 ぜんぜん手間がかからないので、仕事中もケータイで株価やニュースをチェックすることもなくなりましたし、なによりも自分の自由時間を取り戻せました。(略)
 
 なにしろ、このインデックス投資は、基本的には、インデックスファンドを買ってほったらかしておくだけなのですから。
 
 しかし、インデックス投資は日本ではとてもマイナーで、ほとんど知られていません。

 正確に言うと、日本の個人にはほとんど知られていませんが、年金基金や信託銀行、生命保険会社などの機関投資家の間では、スタンダードな投資法として積極的に採用されています。(略)
 
「そんなにメジャーな投資法なら、なぜ金融機関は個人投資家に教えてくれないのか?」
 
 そう思われるかたもいらっしゃると思います。当然の疑問だと思います。私もこの投資法を知った時にはそう思いました。(略)
 
 インデックスファンドはアクティブファンドに比べて運用に手間隙がかからないと言われており、その分、運用におけるランニングコスト(信託報酬と呼ばれています)が低く設定されています。(略)
 
 金融商品のコストが低いということは、その分私たち投資家側の利益が増えるということです。しかしそれは同時に、運用している金融機関側の利益が減るということでもあります。
 
 金融機関には、そんな薄利な商品よりも利幅がたっぷり取れる商品(投資家側の利益が削られる商品)が山のようにあるのです。しかも、毎年のように手を変え品を変え増えていく傾向にあります。
 
 金融機関の広告や窓口でのおすすめ商品が、それら利幅の厚い商品が中心となるのは自然なことです。
 
 残念ながら、銀行も証券会社もあなたの資産を増やすことよりも、自社の利益を増やすことの方に熱心です。でもそれは、民間企業として当然の行動であり、嘆いていても仕方がありません。
 
 では、どうすればよいか? それは、私たち投資家側が少しだけ賢くなり、店の奥の方にしまわれている低コストな商品を、自分で取りに行くという姿勢を持つことです。
(略)