ベトナムは投資危険国?

でもさ、高インフレによる賃上ストでしょ。
ドンベースで12%賃上げされても為替が9%下がっているなら差し引きドルベース2%じゃん。
少なくとも中国よりはよっぽど有利な投資先だよね。

ベトナムストライキが急増
インフレの進行が「中国に代わる拠点」の地位を揺るがす
Bloomberg Businessweek
2011年7月5日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110704/221257/
Oanh Ha(Bloomberg News記者)
Diep Ngoc Pham(Bloomberg News記者)
米国時間2011年6月23日更新「Vietnam's Labor Unrest」
(略) 
 ベトナムはアジアで最も物価上昇が激しい。購買力低下に苦しむベトナムの労働者は賃上げを強く求めている。5月のインフレ率は19.78%で、過去29カ月で最も高かった。ベトナムホーチミン証券取引所の主要株価指標はこの1年で14%下落。過去1年を見ると、アジア各地の市場の中で最も大きく落ち込んだ。ベトナムの通貨「ドン」も対米ドルの為替相場が8.6%下がっている。
 
 ベトナム労働総連合(VGCL)の調べによると、ベトナムでは2011年1〜4月に336件のストライキが発生した。このペースが続けば、過去最多を記録した2008年の762件を上回ることになる。国際労働機関(ILO、本部:スイス・ジュネーブ)によれば、ストライキの大半は山猫ストだという。ILOベトナム労働問題専門家、ヨンモ・ユン氏は「ベトナム国内のどこかで、連日、ストが起きている」と語る。ベトナムの平均賃金は2011年に12%上昇する見通しだ。
 
 ベトナム最低賃金は月85ドル(約6800円)で、依然として中国の半分だ。ベトナムは25年前から、こうした低賃金の労働力を安定的に供給し、外資を引きつける改革開放政策「ドイモイ」を推進してきた。ドイモイは最近まで有効な政策だったが、ストの頻発はドイモイ政策の足かせになっている。2011年1〜5月、外資が実施を決めたベトナム投資額は47億ドル(約3800億円)で、前年同期比48%減少した。 (略)
 
 ベトナム政府は3月、経済拡大よりもインフレ抑制を重視する方針に転換し、最高7.5%としていた2011年の経済成長率目標を6%に引き下げた。格付け機関が2010年12月にベトナムソブリン債を格下げして以来、海外投資家の一部はベトナムへの長期投資に慎重になっている。 (略)
  
 ベトナムの労働者らは、やむにやまれずストライキを実施していると主張する。工場労働者のレ・キエンさん(24歳)はハノイの産業地区で掲示板の求人広告を確認し、より賃金が高い仕事を探している。月給約87ドル(約7000円)のレさんは、ホンダ(HMC)やヤマハ発動機のオートバイに使用されるケーブルの生産工場に勤務している。工場のシフトを終えたばかりのレさんは「食料やガソリン、電気など、あらゆる物が値上がりしている。給料が上がっても、物価の上昇に追いつかない。家族を持つこともできない。自分の赤ちゃんにミルクを買う余裕もない」と嘆く。
 
 ベトナムは物価と賃金の上昇を抑制する必要がある。さもなければ、中国に代わる信頼できる海外生産拠点としての価値を失いかねない。
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