巨大余震の恐れ?

天災ならあきらめるしかない。
だが無作為による人災だったら浮かばれない。
だから徹底的に追求すべきだ。

原発作業員「幹細胞採取」なぜ実施されない
揺らぐ安全思想、巨大余震への備えに深刻な懸念
山根一眞
2011年7月5日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20110629/221182/?rt=nocnt
(略)
 3月19日の夜、科学雑誌『nature』による「nature news」の緊急のメーリングが届いたが、その中の記事の1つを読んで目をむいた。
 
“More earthquakes expected in Japan”
[日本ではさらなる地震が予測される]
 
 この警告を書いたのは、英国のアルスター大学、環境科学研究所(Environmental Sciences Research Institute)の地球物理学者、ジョン・マクロスキー教授とそのチームだ。マクロスキー教授は、2004年12月26日のスマトラ沖地震インド洋津波について2005年3月17日の『nature』誌にコンピュータによる解析結果を寄稿。その中で巨大余震が起こる可能性を述べていたが、予測は的中。3月28日にM8.6の地震がスンダ海溝で発生、約1000人が亡くなっているのである(ニアス島沖地震)。
 
 そのマクロスキー教授のチームが、「3月11日の日本の巨大地震は、3月9日に同じ三陸沖で発生した地震(M7.2)の余震の一部だった可能性がある。つまり、本震より余震の方が大きかった。そして近い将来、さらに巨大な余震が起こる可能性がある」と、述べていたのである。
 
 この投稿を読みゾッとした。
 
 もし、3・11よりも小さな地震であっても、もし津波の高さが5mであっても、福島第一原発は手のほどこしようのない破滅を迎えることになる・・・。現場で作業をしている1日に300〜700人とされる作業員たちは、いきなり大量の放射線を浴びる危険がある。
 
 いや、再び巨大余震が見舞うことがないとしても、メルトダウンを起こした2基の原子炉の周辺でこれから長い年月にわたって作業を続けねばならない作業員たちが、何らかのアクシデントによって大量の放射線を浴びる可能性はある。
 
 それが、「万が一」であっても、「万が一」の備えをしておくことは、日本のエンジニアリングの現場が築いてきた安全思想のはずだ。
 
 福島第一原発の状況を知った虎ノ門病院の血液科部長、谷口修一さんは、「原発の内外で作業をする方たちが事前に自己幹細胞を採取しておくことで、万が一、大量の放射線を浴びた場合でも命を救える可能性が高くなる」と、その「万が一」の備えを訴えてきた。
 
 私が、東京大学医学研究所や虎ノ門病院を訪ね、この自己幹細胞の事前採取について初めて話を聞いたのは3月末〜4月上旬のことだった。紆余曲折はあるものの、その予防安全策が動き始めるだろうと思っていたのだが、いまだにその組織的な措置は行われていないのである。