東海に変わることはないだろう

日本人で左派だった漏れはずっとこう思っていた。
ニッポンサヨクですら「東海」に関しては本心ではそう思っているようだ。
しかし西欧人は東アジアの歴史なんて知らないし興味ない。
その一点だけが狂信的韓国人の付け入る隙だった。
でも、理解が深まれば、やっぱり同じ結論に達するのだった。。。
アイデンティティが崩壊する前にいい加減方向性を変えるべきだろう。
 

No sea change for East Sea
04-30-2012 17:27
http://www.koreatimes.co.kr/www/news/nation/2012/04/351_109993.html

By Andrew Salmon
 
Talk about news of earth-shaking international importance. In Monaco last week, the International Hydrographic Organization ― the body that sets official geographic place names for maps ― rejected Korea’s demand to add ``East Sea” alongside ``Sea of Japan” when denoting the body of water dividing the nations. The exclusive use of “Sea of Japan” will continue through 2017 ― when the debate re-opens.

Surprisingly, the IHO decision has not sparked editorial rants, demonstrations outside the Japanese embassy, self-appointed ``PR gurus” buying up ad space in U.S. newspapers or ex-Korean special agents shooting fire arrows into Monaco’s royal palace.

Why ``surprisingly?” Well, the naming debate is an issue that many Koreans get extraordinarily hot under the collar about.

Let’s get some international perspective. For almost a century, ``Sea of Japan” has been the most common, official designation. For nations, academic institutions and publishers worldwide to change the name in maps, atlases and other publications would require major efforts and investments. Thus, any argument for change must be rock solid.

I live in Korea, am married to a local and (generally) like Korea. I have no relationship with Japan. In short, I am readier to sympathize with Korea’s case. Yet this country’s arguments are not compelling to me, nor ― to judge from non-Korean friends’ reactions ― the wider international audience.

Korea’s primary argument seems to be that historically, the body of water was more widely dubbed ``East Sea.” This is problematic: Plenty of international maps dating back to the 17th century mark it ``Sea of Japan.” Korea says that among old maps in the US Library of Congress, 66 percent use ``East Sea.” Japan, having surveyed the same materials, insists 77 percent use ``Sea of Japan.”

And this argument is not just questionable, it is irrelevant. This is the 21st century, not the Joseon Kingdom; this is a geographic issue, not a historical one. No international principle that I know of suggests a return to pre-modern place names; there is plenty of logic against it. Should Iraq revert to Mesopotamia? Iran to Persia? Should Seoul rename itself Keijo, Hanseong, or Wiryeseong?

Speaking of history, I am tired of Koreans preaching about how non-Koreans must learn ``right” or ``correct” history. What they actually mean is ``Koreans’ interpretation of history,” for history is not science, and beyond certain basic facts, historical events and trends are open to interpretation. I have yet to read an article in the local press that acknowledges opposing arguments ― the practice seems to be, ``Ignore them, and restate the Korean side.”

This is a poor model for debate. Moreover, as a debate, the issue lacks longevity. Korea became independent of Japan in 1945, but (as far as I am aware), the sea name dispute arose only in 1997 ― i.e. 52 years after a 35-year colonial rule.

Another argument is that Koreans called it ``East Sea” for longer than non-Koreans called it ``Sea of Japan,” and some point out that “East Sea” features in South Korea’s national anthem. Fine. Koreans are welcome to call the body of water to their east anything they like on their maps, books and songs. But why should the rest of the world follow suit?

Others argue that the sea was dubbed ``Sea of Japan” as a result of Japan’s colonization, or at a time when Korea was under Japanese rule, so could not argue. This is only partly the case, as pre-modern maps prove. What is unquestionable is that Japan’s brand enjoyed higher visibility than Korea’s in the late 18th and early 19th centuries; Japan, under Meiji, opened, modernized and became a regional and world power. No name-change on maps can erase that.

And some fret that ``Sea of Japan” undermines Korea’s ownership of Dokdo. This argument is so empty of precedent or logic that it requires no refutation.

As I see it, the real reason Koreans want a name change is simple. Nationalism is a powerful emotive force in Northeast Asia in general and in Korea in particular. A cornerstone of Korean nationalism is distrust, dislike or hatred of Japan. This, I think, is the real force behind the ``East Sea” campaign.

Alas, self-righteous, introspective campaigning on grounds of wounded national pride wins few international allies or votes. On the contrary, a low-key, restrained approach may be more effective. Japan has certainly been a less aggressive advocate. Seoul sent a 16-man delegation to the IHO; Tokyo just nine. A search of Google news finds over 30 Korean reports, but just one from Japan.

While Korea’s consumer exports, pop culture products and tourism marketing win friends around the world, I am willing to bet that nationalist emoting does not. If the ``East Sea” issue can be laid to rest, and Koreans refocus on national, rather than nationalist agendas, so much the better.

However, I don’t see that happening: Too much passion is invested.
So, if you are publicity-seeking academic, grandstanding lawmaker, wannabe ``PR guru” or nationalist crackpot, I suggest a new campaign to unleash the jingoistic furies: ``EAST SEA 2017 – OR WAR!”

Andrew Salmon is a Seoul-based reporter and author. His latest work, ``Scorched Earth, Black Snow,” was published in London in June. Reach him at andrewcsalmon@yahoo.co.uk.

■オィ、鬼太郎! ……と呼んだが返事が無い。【2012-3-14作文】

二。
 Wyatt Olson 記者による2012-3-12記事「East China Sea pact does little to defuse tensions between Japan and China」。
  昨年12月に東支那海上で、6時間チェイスしてシナ人違法漁船をとっつかまえていらい、海保は頑張っている。

 2008に日本の終わっていた政権が北京との間で東支那海を「a sea of peace, cooperation and friendship」にしようなどと語り合ったものだがもちろん何の「友愛」効果もなかった。シナ人はますます増長した。

 さいきん日本政府が39の無人岩礁に正式名を付けたことは快挙だ。さっそく北京は大怒りだ。これは善い徴候だ。シナ政府による海底ガス田の盗掘をめぐる日支間の「ディスピュート(紛擾)」は燃え盛っている。

 米国政府は伝統的に、日本の島嶼領有権主張に関してはすすんでコミットしない立場をとってきた。なぜならアグレッシヴなシナ軍と米軍が交戦状態に進んでしまうのが怖いからである。

 横浜市立大学の名誉教授・Susumu Yabuki は、NHK Online にてこう語った。係争海上にぶっ建てられたシナの Chunxiao drilling rig は、単にガスを掘るためだけではなく、支配海域を増やして行くための、シナ海軍のための恒久施設なのだと。

 ランド研究所のEric Heginbotham いわく。タイとマレーシアが両国間の係争島嶼で共同開発をしようと決めた先例があるけれども、それは少しも主権争いを解決してはいない、と。

 豪州の研究者 Schofield の見方。東支那海では四ヵ国の200浬が海上で重複するため、中間線引きはけっきょく2国間の話し合いで決めるしかない。シナはその大陸棚が自国のものであるからと言い募り、沖縄本島のすぐ近くまですべてシナのEEZなのだと、日本政府に認めさせたいのである。

 1月の中共の国際宣伝紙『People’s Daily』は、尖閣チベットや台湾と同じ、シナのコア・インタレストなのだと叫んだ。

 台湾の研究者いわく。共同開発とか言ったって、シナがすでにぶっ建てている海上リグを、日本は認めるしかないじゃないですか。

■今日あたり草思社の新刊が都内書店に並ぶのではないか。ハードカバーです。【2012-3-17作文】
日本人が知らない軍事学の常識
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-03-17
一。
 ストラテジーページの2012-3-16記事「The Great Victory That Cannot Be Mentioned」。
  中共の年次軍事予算が公表され、初めて、米ドルで $100 billion/年を超過した。
 しかしこの統計には誤魔化しがあろう。
 現代軍用機用のジェットエンジンの国内生産を立ち行かせるためには billions(米ドル)の投資が継続されねばならない。それが除外されている。
 また連中の「宇宙開発」の多くは軍用なのだが、それが一括して「民間」分野だとして、カウントされていない。

 リアルのシナ軍事予算は、米国の国防費の四分の一ではないかと見られる。
 シナ一国のGDP比ではたぶん3%未満だろう。米国も国防費にはGDPの3%弱を支出しているので、そこからの類推だ。

 中共は、ソ連が無理な軍備競争で自滅したと知っているので、その轍は避けている。

 シナ警察は昨年、5,200 件の 不衛生な贋食品犯罪と、6,500 件の危険な贋医薬品犯罪を摘発したが、食い物と薬が信用できない事態は来年も続くだろう。
※この件数も「化粧された数値」であると疑うことができる。「警察は人民のための仕事をしている」と思わせるだけの意味しかない。

 3-15にベトナム政府は北京に抗議した。中共の石油開発企業がパラセル諸島海域でボーリングをすると発表したからだ。パラセル諸島では今年もすでに、しきりにシナ軍が示威や演習を反復中。

 3-13には、人口 28 million の重慶市で、腐敗共産党を内部から告発していた男、Bo Xilai が左遷された。共産党は自浄努力を拒絶した。

二。
 Travis J. Tritten 記者による2012-3-16記事「Congress: No money for Pacific troop moves until study is complete」。
  海軍長官(文民)の Ray Mabus が上院軍事委員会で、グァムへの当初の移転計画に変わる「オプションズ」を提示する作業がぜんぜん進んでいないことを白状し、委員会は、そんなら、引き続いて1銭も出さぬまで、と。

 当初計画では米国納税者はグァム島に新たに作る海兵隊用施設のために $14 billion を負担するということであったが委員会はスルドくも、この計画は最初からムダだらけであり、ぜったいにその額で収まるはずもないと指摘。代替案を提出せよ、さもなくばこんな予算は凍結すると宣言していた。代替案には、沖縄の海兵隊を、太平洋のどこかの米空軍基地〔一義的には嘉手納しかないが、この「空軍基地」を「航空基地」と読み替えれば、岩国も候補になるわけ〕内に移転させることも含まれている。

 ※この沖縄海兵隊移転問題の要点は何なのか? じつに単純な事情があるのです。知らないのは日本人だけ。バカ右翼にも分かりません。それを学びたい人は、兵頭二十八の最新刊『日本人が知らない軍事学の常識』を買いましょう。

 批判者の最右翼のマケイン上院議員は、「2ヶ月半も経つのに、まだ、見積もりや見直しや代替提案をさせる独立の会社すら決められないでいるのか。4月1日の提出期限はどんどん迫っているぞ。牛歩戦術をとろうったって、そうはさせるか」と、海軍長官をなじった。

 もっかのところ日米政府は、4700人の海兵隊員を永久に沖縄からグァムへ移すことで合意中。
 Carl Levin委員長 や McCain や Jim Webb 上院議員の見解。海兵隊の本隊は、あっちこっちの基地をローテーションしてりゃいいんだ。海兵隊のヘリ部隊は嘉手納に移すのが合理的だ。なんでそうしないんだ、という。

 この記事対する一庶民からの典型的なコメント:イラク戦争が終わり、米国内でも軍事基地の閉鎖予定が相次ぎ、不況が来ている。なんで米本土内に海兵隊を移さないんだよ? 米国指導者層は、こうやって、お友達同志で米国民の税金を着服し合っているに違いない。じつに馬鹿げた支出だ。

 これに関連する『ジャパンタイムス』の記事。米政府は1500人の海兵隊航空部隊を岩国に移せないかと、次官会談の場で持ち出していたが、それは諦めた。ソースは共同。

 ゴールデンウィーク中に野田が訪米するので、なんとか土産を用意したかったが、ダメだった。

 海兵隊の一部移転で日米が合意したのは2006だったが、このとき、厚木の機能(米空母が横須賀に停泊しているあいだ、その空母の艦上機を着陸させ、訓練もさせる)を岩国に移すことも合意されていた。それで岩国の滑走路が沖合いに増設されて完成している。

■新入生諸君、「読書余論」を申し込もう!【2012-3-18作文】
一。
 Katherine Boyle and Michael Cotterman 記者による2012-3-17記事「A brief, weird fashion history of camouflage」。
  アフガン派遣の米兵は、OCPカモフラ(Operation Enduring Freedom Camouflage Pattern)でアフガン高知の地物に溶け込んでいる。
 しかしこのたび米陸軍は、さらに進化した、地域汎用のカモフラージュに挑む。世界のどこでもこれ1パターンで済まそう、というのだ。
 すでに1月に5社と契約して、その新パターンを競作させつつある。そのうち1社はアラスカの Kryptek 社で、woodland camouflage pattern が陸軍に気に入られた様子だ。

 多色迷彩軍服は、WWI中の仏軍が、赤いニッカーは目立ちすぎてヤバイと感じ、じぶんで迷彩色を塗りつけたのが早いという。仏語で "camoufleurs" と呼ばれた。

 WWI中には、艦船に幾何学模様をペイントすることで、これを敵の潜望鏡から望遠したときに、船のサイズや航行方向や速度を誤認させるようにしむけ、魚雷が外れてくれることを期待するようになった。英国の海洋画家の Norman Wilkinson がこの技法を編み出したともいう。米国ではWWII中に、ゴチック画家の Grant Wood が一働きしている。

 ベトナム戦争中の "Tiger Stripe" は、じつは公式の軍服ではなかった。米軍が、初の公式の軍服としての迷彩服を定めるのは、1983年なのだ。

 カモフラパターンをポップカラーに変えてみせたのは、アンディ・ウォホールである。それは1960年代だった。

 1991デザートストーム作戦時のカモフラは "Chocolate Chip" camouflage と呼ばれた。バーバラ・ブッシュ大統領夫人がサウジ慰問時にこれを着用したので、民間にもブームとなり、サープラスショップは大儲けした。

 米陸軍の新迷彩が何に決まるにせよ、ひとつハッキリしていることは、それはすぐに民間ファッション業界の新趣向にも採りいれられるということだ。

二。
 MATTHEW PENNINGTON 記者による2012-3-17記事「Analysis: Sudden North Korean turn risks US ties」。
  金曜日に北鮮は長射程ロケットを発射すると予告した。これは国連の禁止を破る行為である。

 今年は11月に米国で大統領選挙がある。現職のオバマ氏は共和党候補から「ナイーヴ」と批難されている。核とミサイルの開発停止を条件に24万トンの食糧援助を申し出て宥和していた最中のこの予告発表で、それは証明されてしまった。

 現在、韓国に2万8000人の米軍が駐留中。

 北鮮は2009-4に衛星を打ち上げようとして失敗。直後に核実験。
 今回、予告されたローンチ・ウィンドウは、4-12〜4-16である。

 3-26〜3-27に韓国で開かれる核サミットでオバマは対北制裁を領導することになるだろう。

 ※今回の打ち上げ方向だが、第二段の落下地点は比島の東方海上だという。できれば「弾頭」を豪州のダーウィン市の上を通過させて南極海に落したいのだろう。またしても米支有事の際には中共軍の走狗になれることを積極アッピールし、廃屋国家にも尚価値が残っていることを中共軍に悟らせようという次第だ。じっさい、三沢上空を何度も飛び越えさせた試射によって、米空軍は三沢からF-16を撤収させてしまった。SSMで南西諸島上空を何度も飛び越えさせてやれば、嘉手納にF-22が来ることもなくなるかもしれない。中共軍も北鮮軍に「ういやつ」とのお言葉を賜らざるを得まい。「わかった。じゃあ核弾頭を開発していいよ。それで沖縄とグァムを攻撃してくれるなら」という更なるお言葉を期待しているのだろう。米海軍はパラオ諸島以南にイージス艦を配備すれば「迎撃」できる可能性もある。

三。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-17記事「The Bolivian Engineer Battalion」。
  シナ軍はボリビアの工兵大隊に、重機一式をプレゼントした。その式典は El Alto で行なわれ、Evo Morales 大統領が臨席した。
 中共はこの機材のために $20 million loan を与えた。

 中共は2009-12にもボリビア陸軍に $40 Million をローンしてやっている。
 その前の2009-10にはK-8ジェット練習機×6機をボリビアに輸出。

 ※破綻国家ボリビアに恩を売っているのはシナとイランのみ。南米に他大陸の勢力が扶植されることをワシントンは伝統的に悪むが、ボリビアには海がないので大きな脅威ではないとみなされ、放置され易い。シナの狙いは、同国内に宇宙トラッキング基地を設けることだろう。


■シナ経済のリセッションは本当みたいだ。すると石油は安くなるか。【2012-3-13作文】

二。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-12記事「Another Yuan class taking the long journey from Wuhan to Shanghai」。
  Jiangnan 造船所で、最初の Yuan 級の潜水艦が竣工した。
 シナではこのクラスの潜水艦を複数の造船所で建造できるらしい。Wuhan や上海などで。

 参考までに2011-5-16の古い記事。
 Qing 級の潜水艦が Wuhan 造船所から上海へ回漕される。就役前の領収試験がある。
 Qing級の特徴は、対地攻撃用の巡航ミサイルを、魚雷発射管からだけでなく、背中から垂直発射もできること。

 ※この巡航ミサイルは嘉手納基地を狙うもので、それに対抗して嘉手納のF-15C部隊はAESAレーダーとアムラームによって巡航ミサイルを洋上で叩き落す訓練を積んでいる。日本の空はいつのまにか米軍機によってシナから守られるようになっているのだ。

■見本が来たが、意外にぶ厚いのでオドロク。ひと晩じゃ読めんわ。【2012-3-12作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-11記事「Chinese Sailors Are Experienced」。
  2008からインド洋に派遣されている、海賊防遏用のシナ艦隊。構成は、駆逐艦またはフリゲート×1〜2隻、補給艦×1〜2隻。
 第11次派遣艦隊は、駆逐艦1、フリゲート1、補給艦1である。
 シナ海軍は、このインド洋任務をもって、貴重な「艦隊訓練」だと位置づけている。
 一回の任務はソマリア沖で4ヶ月だ。同海域まではシナの港から1万kmあり、片道が2週間がかりである。

 シナ海軍は、ぜんぶで74隻の駆逐艦フリゲート艦を擁している。あと5年もすると、すべての駆逐艦フリゲート艦が、ソマリ沖パトロールを体験済みとなるだろう。
 1回につき700人以上の水兵や特殊部隊員が、貴重な「実戦」経験を積む。彼等が任務終了後にシナ海軍全体にその経験を伝授する。

 同海域への海自の艦隊は、「第151任務部隊(TF151)」である。
 欧州諸国の合同艦隊は EUNFS (European Union Naval Force Somalia) という。TF151とEUNFSの間には、連携がとれている。

二。
 星条旗しんぶんの2012-3-11 記事「How spies used Facebook to try to steal NATO chief's details」。
  英『サンデイ・テレグラフ』紙のすっぱ抜きによると、シナ工作員のフィッシングがもののみごとに大成功。

 米軍の欧州コマンドの司令長官、且つ、NATOの先任司令官でもある米海軍のJames Stavridis提督を装った、贋物の「フェイスブック・アカウント」が立ち上げられた。それを信用した英軍の将官や英国防省の職員らが、個人のメルアド、電話番号、顔写真などを、大サービスで進呈しちまったらしい。

 現在、この贋フェイスブック・ページは閉鎖されている。

 ※高度の秘密に関与する公人は、いかなるソーシャル・ネットワークにも参加すべきではない。マクリスタル大将の隙だらけのツイッター書き込みを見てわたくしはそれを悟った。贋物でなければOKという問題ではなかろう。

三。
 APの2012-3-11 記事「Afghanistan denies alleged smuggling by air force」。
  米国はアフガン国軍に、ロシア製ヘリコプターなどの航空機をプレゼントしてやっているのだが、ド腐れ体質のアフガン人将校どもは、その「空軍」輸送機を使い、せっせと麻薬密輸出ビジネスに精を出しているという。『ウォールストリートジャーナル』紙が報じた。

 昨年4月にアフガン空軍の大佐がカブール空港で8人の米空軍将校に銃弾を浴びせた事件があった。どうやらこれも麻薬ビジネス絡みだった。

四。
 SCOTT McDONALD 記者による2012-3-10記事「China: 24K abducted women, children rescued in '11」。
  日曜日に中共の公安省が統計を発表。シナ警察は2011に同国全土で、2万4千人の女子供を、誘拐犯から取り戻した。
 シナでは婦女子誘拐は大ビジネスである。人身売買がいまだにおおっぴらにおこなわれているのだ。

 男尊女卑の儒教文化があるのに加えて長年の「一人っ子政策」は、シナ住民の性比をいびつにしている。若い女は若い男にくらべて著しく少ないので誘拐すれば高く売れる。それを買うのは、ヒキニートの未婚男子をもつ両親なのだ。そして強制結婚させた夫婦も男児だけを製造しなければならない。不用な女児は転売され、価値ある男児は業者がまたどこかからか誘拐してきてくれる。

 警察が摘発できた誘拐犯罪組織は、2011年には3200グループであった。

 人身売買はシナ国内でのみ完結してはいない。昨年には、19人の若いシナ女がアンゴラへ密輸されて売春業に従事させられているケースが摘発された。
 拉致組織が国境外、たとえばベトナムに本拠を置いている場合もある。

■蛾虫温泉は、途中 道標が無さ過ぎるが、行く価値はあった。【2012-3-11作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-10記事「China Builds Better Puppets」。
  西洋からの批判を封殺するため、北京政府は全力でロビー活動を展開しているところ。経済的影響力もフルに行使し、非難は黙らせるつもり。
 外国人の学者、ジャーナリスト、政府官僚に対して「一本釣り工作」も推進中。

 特に、ハリウッド映画で元の台本にシナに対する批判的な要素があるものは、その要素が除去されるようになったという。

 ※これは逆に米国の民間宣伝会社が「ウチに大金を支払えば、いま製作進行中のこの映画の内容を、少し変えてあげられるんですがね〜」とシナ大使館に売り込んで、うまいこと商売をしているのだろう。バックマージンは当然プロダクションにも回るのだろう。それを見込んで最初から台本には、わざわざ反支的な要素をちりばめておくのだろう。つまり「見せ台本」を作っているのだ。この商売、日本のマスコミ各社も真似できる。たとえば、「反韓」TV番組や雑誌特集を制作予告すれば、この手で韓国政府からいくらでもカネを搾り取れるのではないか。

 シナは外国の大学に「研究費」を醵出することで、取り込み工作に邁進中である。
 そうした上で、援助を受けた西側の大学や研究所が、反支的傾向のある研究者を正規に雇わぬようにという圧力を、シナ政府はかける。のみならず、大学内では「反支的」な講義も、いっさいさせないようにと、要求をするという。

■3月には『新解 函館戦争』も出るので売上の相乗効果を発揮すべく宣伝します。【2012-3-10作文】

一。
 チャイナディフェンスブログの2012-3-6記事「Maj. Gen. Luo Yuan proposes establishing national coast guard」。
  これは『PLA Daily』の2012-03-06記事のほぼ転載らしい。※PLAとは中共軍のこと也。その機関紙也。

 シナ軍の軍事科学を仕切るナンバー2である Luo Yuan 少将が3-5にインタビューに答える形でいわく。
 「maritime law enforcement」〔海監? 海警?〕と「right protection forces」〔漁政その他の機関のことか?〕は、ひとつの「国家沿岸警備隊 national coast guard」に統合されるべきである、と。

 理由は、外国がそうしているからだ、と。

 国家沿岸警備隊の活動海域は、EEZを越え、北京が主張する大陸棚の限界までとする。そこより遠くは、海軍の領域になる。

 ※この少将がいったい誰の利権を代弁しているのかで、解釈はぜんぜん違ってくる。〈海軍艦艇以外のオフィシャル船艇が遠洋に出張して派手に暴れるのは苦々しい〉のか。それとも、〈南シナ海でラミングなどで暴れている非武装の漁政にかえて、武装船である海監をもっと活躍させたい。海監にもっと予算を回してくれ〉と思っているのか。 以下を読むと、この少将が、もっと国家寄りの高所から、「第二海軍」としての「武装海監」を強化したい意向なのであると疑える。「列国並にすべし」とは、有事にはコーストガードを軍が指揮下に組み入れることを説きたいがための伏線だろう。ということは、現状の「海監」は、軍(特にシナ海軍)の命令に素直に従ってはいないということなのか?

 以下に参考資料として、2009-11-19にアップロードされている、Lyle Goldstein 記者の記事「Chinese Coast Guard Development: Challenge and Opportunity」。

 〔寧波?〕Ningbo には China Coast Guard Academy がある。
 その、シナ海監大学校の2006研究リポートがいわく。シナのコーストガードは装備が劣悪すぎる。ほとんどが500トン以下で、ヘリコプター搭載型もほとんど無い。これでは大国の面子が立たない。国家はウチにもっと予算を投入すべきである。

 米コーストガードは250機の航空機を有する。日本のコーストガードは75機だ。しかるにシナのコーストガードは36機だ。これではシナの面子まる潰れだ。

 シナのコーストガードは、 Haijing と発音され、意味は Maritime Police である。※意味不明だぜ。漢和辞書によれば「監」の発音はjian。「警」の発音はjing。まさか、ここでは「海警」の話をしているのか??? この記者は「海監」と「海警」を混同しちゃっているのか?

 Maritime Police は、小型の艇 (type 218) と大型の艇 (type 718) を有している。これらはcutters (coast guard vessels)である。
 大型の艇だが、排水量 1,500 tons で全長 100 meters 、固定武装として1門の 37mm deck gun。
 ※この記者は、ひょっとして、「海監」と「海警」が別な組織として併存していることを知らず、ここでは「海監」のことをわざわざ「海警」と呼んでいるのか?

 Maritime Police はシナ海軍の軍艦 Jianghu-class frigates を2隻、受領している。
 ※「シナ海軍」を英語表記すると面白い。People’s Liberation Army Navy (PLAN) となっちまうのだ。

 シナには、Maritime Safety Administration (MSA) というオフィシャル機関もある。これは交通運輸省の管轄である。

 また、Maritime Surveillance (CMS) というオフィシャル機関もある。これは国家海洋局 State Oceanic Administration (SOA) の所管である。

 マンパワーを見ると、MSA は最も大所帯で、2万人以上を抱えている。

 1999に黄海で真昼間に Dashun ferry disaster が起き、乗客 304 人が水死した。それで2003-2までに沿岸部の救難体制が整備され、2006にはヘリコプターによる救難も可能になった。
 MSAにさいきん加わった114m船艇は、『Haixun 11』といい、2009-9就役だ。所属部署は Weihai 。

 CMSの主務は、EEZのパトロールである。シナ沿岸での海洋汚染も取り締まる。
 2008-10-21の人民日報によると、CMS は全部で9機の航空機を有し、パトロール船艇を 200 隻以上そろえている。
 人民日報2008-10-20によると、CMS の副長官の Sun Shuxian いわく。「CMSはもっと武装を強化し、シナ海軍の予備戦力になるつもりだ。今のCMSは非力すぎるから。」

 このCMSとは別に、SOAというオフィシャル機関もある。海図をつくったり、北極海探検を担任する。

 密輸や密入国をとりしまる税関もまた、海のオフィシャル機関だ。General Administration of Customs という。公安省と協働して、麻薬の流通を防遏している。

 最後に、漁政=Fisheries Law Enforcement Command (FLEC) を挙げる。
 この機関については、参考論文がある (See→ Lyle Goldstein著「Strategic Implications of Chinese Fisheries Development」。2009-8-5『China Brief』Volume: 9 Issue: 16 所収)。

 つまりシナの武装海上オフィシャル機関は大きなものだけでも5つもあるのだ。

 シナの国防大学の専門家が2009-6-21の漢文版『グローバル・タイムズ』紙で、こう言っている。シナのコーストガードの大型船艇は、簡単に、遠洋海軍力として転用ができる。中小船艇は、有事の沿岸防衛に役立てられる。たとえば「防禦的機雷敷設」に使われるであろう。

 どうやら中共軍は、海上での非力を自覚していて、劣勢を挽回するために、コーストガードにもっとたくさんの予算を注ぎ込みたい意向のようだ(論拠は、『China Military Science』誌2008-6月号の77〜78頁)。

 米国の沿岸警備隊とシナのコーストガードは人材交流が盛んである。そのツーカー度は、米海軍とシナ海軍と同日の談ではない。

 北太平洋におけるシナ漁船の違法操業(国連が禁止している流し網漁)を取り締まるため、米国のコーストガードは、シナのFLECの職員を船艇に同乗させている。FLEC職員はシナ漁民を逮捕する権限がある。

五。
 Kentaro Nakajima 記者による2012-3-8記事「US asks Japan for additional $1.2 billion to move Marines to Guam」。
  米海兵隊のずうずうしい要求。グァムに移ってやるから、2006に合意した$2.8 billion ではなく、4ビリオン・ドルを出してくれや、と日本政府に。

 借款とか投資とかではなく、現金で渡せ、とも要求。

 ※日本政府はビタ一文支払ってはならない。その理由は、16日発売の草思社の新刊をお読み下さい。

六。
Jon Rabiroff and Yoo Kyong Chang 記者による2012-3-9記事「South Koreans fight for East Sea designation」。
  米軍は「日本海」の呼称を、韓国軍と作戦する場合であっても用い続ける。韓国軍が日本海をどう呼ぼうともそれはご勝手だが。
 米軍のポリシーとして、ひとつの公海には、ひとつの名前しか用いない。日本海は、ひきつづき、日本海である。
 このように、在韓米軍のスポークスマンのJonathan Withington大佐は語っている。

 4月後半にモナコでIHOが開催されるために、韓国は国際宣伝にドライブをかけているところだ。

 日本政府の立場。日本海はどこの国の沿岸よりもも長く日本領土と接している。それを日本海と呼ぶことにいかなる不都合があろうか。

草思社本の見本は明日、出てきます。明後日以降、書評用に贈られた人は、ゴーウェストの節でギョーエ〜♪と驚いてください。【2012-3-9作文】

五。
 Bryan Walsh 記者による2012-3-?記事「U.S. Now a Net Oil Exporter For First Time Since 1949」。
  1949を境に合衆国はずっと、石油製品(原油から精製した各種の燃料)の純輸入国となっていたのだが、2011の輸出入を集計したところ、なんと輸出が、わずかばかり輸入を上回ったことが判明。
 理由だが、まず同年の石油製品輸入が、過去11年で最低水準であった。
 そして、軽油の輸出が伸びた。軽油は、原油を分溜するときにガソリン以上に多く精製されるものだが、米国人は乗用車にあまりディーゼルを好まない。これに反して欧州市場では人々はディーゼル乗用車を今やスタンダードと考えているので、大きな需要がある。そこで、米国から欧州へ向け、軽油が輸出されているのである。
 なおちなみに米国は2011に、原油を $331.6 billion も輸入している。原油は2010よりも値上がりしており、米国はエネルギー独立からは程遠い。

■今日は缶ビン・ペットボトルを出す日だな。【2012-3-7作文】
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一。
 LARRY NEUMEISTER and RAPHAEL SATTER 記者による2012-3-6記事「Hackers busted after one becomes FBI informant」。
  悪名高いハッカー集団の札付きの頭目だった男が、数ヶ月前に政府側に屈服し、今ではFBIのために、かつての仲間と対決している。
 シカゴ在住の男1人を含む5人がNYの連邦裁判所に起訴された。そして6人目の男は自ら罪を認めていることが公表された。その男は
Hector Xavier Monsegur 。NYC在住の伝説のハッカー"Sabu" の本名である。
 ※名前からし南欧系?
 訴追された5人は、2008以降著名な国際的ハッカー集団「Anonymous」に属していた。
 Monsegur は昨年5月、元アノニマスのメンバーを誘い、「Lulz Security」というチームを作った。短縮して "LulzSec"。 "Lulz" とはイン
ターネット・スラングで、邦訳すれば(w)である。
 Monsegurの悪戯のひとつとして、「ラッパーの Tupac Shakur がニュージーランドで生きていた」という偽ニュースをPBSのサイトに勝手に
掲載したことがある。これは2011-5のこと。
 Monsegurは逮捕されたあと $50,000 の保釈金で留置場の外に出た。そしてハッキングで起訴されたあと、2011-8-15に有罪を認めた。
 起訴状によれば、彼は3つの団体のコアメンバーだった。すなわち Anonymousと Internet Feds と Lulz Security である。
 彼はそれら組織の「rooter」役だった。すなわちコンピュータ・システムの弱点を発見する役。
 過去数年、こやつらは、Visa、 MasterCard 、PayPal のシステムに不正侵入してデータを盗んだ。マスコミでは、Fox Broadcasting Co. 、
Tribune Co.、PBSに侵入し工作している。米連邦上院のシステムにも勝手に入り込んだ。
 アノニマスのリーダー格が司法取引したということは、メンバーの身元はすべて当局にバレたも同然。ハッカー界に動揺が走っている。

二。
 AFPの2012-3-6 記事「Sweden Secretly Aiding Saudis in Arms Factory Work: Report」。
  スウェーデンの公共ラジオ放送によれば、同国軍の新兵器開発局は秘密裡に、サウジアラビア国内に対戦車ミサイルの製造工場を建設する計
画を手伝っていた。
 この関与は2007からであった。

 サウジは独裁国家であり、それを支援するのは自由国家スウェーデンの名折れであるとの非難が同国内には渦巻いている。

 ※売ろうとしたのは「Bill」の製造ラインだろう。「工場を建ててくれないなら武器も買わん」とサウジから求めたのだろう。戦車の直上
を航過するだけで成形炸薬が斜め下向きにアタックしてくれるATMは、ながらくBillだけであったが、さいきんは「TOW」の新バージョンも
このオフセット弾頭をとりつけていると思しい。TOWのメーカーは、このスウェーデンの動きを知っており、横からサウジの契約を奪えってし
まえると判断したのではないか。そしてサウジも考え直したので、スウェーデンの目論見は頓挫し、責任問題となり、部内のなすりつけ合戦が発
生。マスコミへのリーカーが現われたのではないか。もちろんイスラエル諜報機関もリークとネット世論工作に暗躍していることであろう。い
ずれにせよイスラエル軍がメルカーヴァーをどれほど重装甲化しようとも真上からの攻撃に対する十全のアーマーなどあり得ない。Billのよ
うなオフセット弾頭の他にも、単純に大落角で命中する対戦車誘導弾はいくらもある。有人の重戦車の時代は終わろうとしている。


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三。
 『エコノミスト』の2012-3-3 記事「Bunker-busting  Smart concrete」。
  イランは大地震にももちこたえる強化コンクリートを開発したという。それは「バンカーバスター徹甲爆弾」にも抗堪できる可能性があろう。(略)
 ※ぜんぜん違うが「ヒューム管」のHumeとはクリミア戦争時代に遠心力を利用して鉄筋コンクリートで水密性の大径土管を製造してみせた
英国人の名前である(この豆知識は「西桔梗温泉」で得た)。思うに大砲鋳造の「自緊法」も、ここから思いつかれてるんじゃね? それとだ
な、水密大径土管を輪切りにしたものを使えば、きっと安価で快適な「家」ができるはずなのだ。なにしろ「屋根」を葺く必要がないんだから、
トータル・ランニングコストもメチャ安ですよ。建てっぱなしで、屋根のリフォームは一生要らない。もちろん直径はハンパじゃなく大きくし
て、センターでハーフ・カットするからドーム状。つまり、家がゴロゴロ転がったりはしない。どんな豪雪でも潰れることはない。老人の雪下ろ
しご無用。こういうのを量産すれば「家」の「価格破壊」が実現するはずなのだ。津波でも流されないし。核戦争が起きても安心。センターから
大型トレーラーで運搬して現場に据えつけるだけ。基礎もいらない。基礎は、ハーフカットしたもう一方の片割れを捨て石として埋め、伸縮継ぎ
手で接合して床の水平を調節する(地震が来て、もしも液状化しても、継ぎ手を調節して、あとからいくらでも傾きを直せる)。これで住宅の価
格破壊が起これば、優曇華の景気浮揚策となる。閉塞の時代を終わらせる、稀少なチャンスかもしれない。

五。
 Alicia A. Caldwell 記者による2012-3-6記事「Homeland Security finalizing plan for exit system」。
  米国本土防衛省は、移民がまた米国から出国するときには、例外なく、バイオメトリック・データを採集しておくことに決めた。そやつが国
外でもしもテロ活動にかかわったりすれば、すぐに同定できるようにだ。

 米国では、入国時にヴィザにより公式に許された以上の長期にわたって不法滞在している外国人が爆弾テロリストになる率が高い。

■今から十日後に草思社の本が出ますよ。震えて眠れ。【2012-3-6作文】

一。
 Sharon Weinberger 記者による2012-5-2記事「Mining Social Media For Intelligence」。
  昨年8月、マグニチュード5.9の地震が首府ワシントン近くの震源で発生。1分弱のうちに、それはNYCほか東海岸広域を揺らした。
 ところがこのとき注目すべき事象が観察されている。
 1秒に7500件のペースで、D.C.住民によるトウィッターへの書き込みがなされたのだ。それを見たNYC住民は、足元がじっさいに揺れる前
から、東海岸のどこかで地震が発生した事実を知ることができた。
 ひょっとしてトウィッターは、テロや他国からの突然の核攻撃が発生したときにも、人民を防護してくれるメディアとなるのかもしれない。

 また米軍を含むIC(インテリジェンス・コミュニティ)の中の連中は、外国のソーシャル・メディアを観測することで、次なる「アラブの
春」を予見できると考えている。

 じつは商業の世界では、とっくに「ツイッター監視」はビジネスと結合されている。たとえば広告会社は、顧客たる服飾業界のために、ツイッ
ターの書き込みを総ざらいすることで最新流行の「兆候」を把握できるアルゴリズムを開発し、使用している。また映画業界は、公開直後の映画
の上映期間や上演館の増減を決めるのに、ツィッターでの言及され具合を、すでに参考指標にしているのだ。

 これを、情報試掘探査(Mining information)と呼ぶ。
 とうぜん Twitter だけでなく、フィイスブックや、ウィキペディアへのエントリーも探査対象だ。(略)

二。
 ストラテジーページの2012-3-5記事「China Secretly Seeks The High Ground」。
  米軍情報局DIA(Defense Intelligence Agency)は、中共の宇宙開発がどこに向かうかを注視する。
 シナ軍は、米国の衛星資産を破壊/妨害するためのあらゆる技法を獲得せんと努力中だ。
 具体的には、衛星と地上の通信リンクを遮断する。また、レーザーによって衛星の偵察センサーを破壊する。そうした能力。
 まあ、2007-1-11の予告無しASAT実験(キラー衛星をぶつけることによって故障した気象衛星を高度850kmで粉微塵に吹っ飛ばした)いら
い、そんなの秘密じゃないけどね。
 米軍はただちに、2008-2に、艦対宇宙ミサイルで、燃料切れの低軌道衛星を撃墜して、シナ人に対して即時同質の反撃能力があることを誇示し
た。低軌道なのでこっちのデブリはすぐに大気摩擦で焼尽した。しかし、シナ衛星のデブリは現在も軌道を周回し世界中が迷惑している。
 2008-2実験により、SM-3ミサイルの有効射高はなんと220kmもあるとハッキリした。それまでは150kmがせいぜいだと言われていたのに。
ちなみに弾頭は9kgで無炸填だ。
 ※慎重な核武装国ならば、中距離弾道弾のミッドコースを少なくも220km以上に持ち上げる必要が生じた。つまり弾頭を軽くするかブースターを強化しないと、資産が無駄になっちまう。
三。
 ストラテジーページの2012-3-5記事「A Quiet Farewell For the M-2 Bradley」。
  イラクのゲリラは、アメリカ軍に対し、歴史に残るダメージを与えた。第一線の最新型の現役バリバリ装軌戦闘装甲車であった、ブラドリー
IFV (Infantry Fighting Vehicle) を、5年前に、戦場での「使用停止」に追い込んだのだ。

 M-1重戦車や、装輪で床が地面から離れていてどういうわけか側方からの爆圧もうけながしやすいらしいストライカーや、専用設計のMRAP な
らば耐えられる自家製地雷に、M-2の中途半端な装甲は、耐えられなかった。

 もちろん、改造の努力はした。四倍も明るいギンギラのスポットライト(3 million カンデラ)やRPG避けの金網とかも。無人の5.56ミリ機
関銃ターレットもつけてみた。
 車長ハッチには防弾ガラスのシールドもとりつけ、頭を出したところを狙撃される機会を減らした。
 しかし、かんじんかなめの、路肩爆弾対策だけは、どうしようもなかったのだ。

 ストライカーなら床をV断面にするとかの改造型もかんたんにできるが、M-2級になるとロードクリアランスの設計変更とか大面積の増着装
甲とかの根本改造はほとんど不可能。エンジン換装も必要となり巨費が必要だ。そんなことをするくらいなら次世代のGCV計画に資金を投じた
方がよいと、誰でも判断し、M-2はついに死亡してしまった。

■驚異的な「越冬にんじん」の耐寒力。雪の下から青々とした葉が…! しかも、耕してない荒地だぞ。【2012-3-3作文】

二。
 arXiv blog の kfc記者による2012-3-2 記事「How to Build a Speech-Jamming Gun――Japanese researchers build a gun capable of
stopping speakers in mid-sentence」。
  映画館や公共図書館のなかで、延々とくっだらない長話をし続ける馬鹿野郎っていますよね。あるいは会議で、自分に与えられた持ち時間制
限を無視して一人で話し続ける阿呆ンダラとかね。
 そやつらの口を瞬時に封じてみせますぜ。この「発話妨害銃」でね。

 筑波大の Kazutaka Kurihara と、お茶の水大の Koji Tsukada が開発。

 原理は簡単。本人が発した言葉をごく短いディレイでもってそやつの耳にまた聞かせてやれば可い。自分の言葉が大きな木霊のように自分の耳
に響くとその人は喋りつづけることはできない。
 ※これは訓練で克服できるぜ。選挙カーの上で駅頭で応援演説すりゃーわかる。自分の声が逐一ビルに反響して戻って聞こえるので最初は次の
言葉につまってしまう。しかし、やがて、慣れる。だから、プロの喋り屋の演説は、妨害はできまいよ。

 栗原と塚田が考えた銃は、マイクで拾った声を、0.2秒のディレイで本人に打ち返してやる。
 もちろんマイクもスピーカーも指向性。
 だから、周囲の人にはその「木霊」は聞こえない。本人だけが、発話を妨害される。

■函館戦争本の進行も順調のようだ。【2012-3-2作文】

一。
 ストラテジーページの2012-3-1記事「China Has A Scary Plan」。
 シナ軍は、いまや対米戦策の2本柱を、「サイバー工作」と「対衛星」に定めている。米軍の通信と宇宙ファシリティを破壊することで、米
軍のシナ本土に対する攻撃能力を半減させられると信じているからだ。
 ※なにより、米側は、即時・同質の「懲罰」を加えることができない。シナ軍は高度にネットワーク化されていないし、シナ軍の衛星は原始的
なオモチャにすぎないからだ。「対抗不能性領域」が発見されたのである。

四。
 Byron Kerman 記者による2012--記事「A Brief History of the Parachute」。
  いまから100年前、米陸軍の1人の兵隊が初めて飛行機からパラシュートで降下した。
 しかし落下傘の歴史は、レオナルドダビンチまで遡る。

 1912-3-1のことだ。Albert Berry 陸軍大尉(その父は気球乗りだったという)は、セントルイスの陸軍基地上空を飛行する複葉プッシャー型
Benoist 機からジャンプし、安着したのだ。

 初期の傘体は、十全に展開するまでにえらく時間がかかった。たっぷり500フィートも落下したところで、ようやく開傘したという。

 レオナルドは1470年代に、ピラミッド型/テント型の落下傘をスケッチしている。

 レオナルドから150年後のヴェネツィア人、Fausto Veranzio は、記録の証拠の残る者としては初めて、キャノピー(天蓋)型のパラシュート
を発案した。※今日の空挺部隊では落下傘の傘体のことを「キャノピー」と呼ぶ。

 彼の図は、今のパラフォイルに近いものだった。それが実現されたのは350年後であった。

 雨傘を拡大強化して両手に2つ持って飛び降りれば、安全に着陸できるんじゃね? …と最初に考えて実行して木の梢から飛んで成功したの
は、フランス人の Louis-Sebastien Lenormand であった。
 彼は次いで、1783年 に、木枠に14フィートの布を張った落下傘を製作し、 Montpellier の監視塔から飛び降り、みごとに安全に着地した。そ
のときの見物人の中には Joseph Montgolfier も居り、モンゴルフィエは後年、熱気球屋として有名になった。
 ルノルマンは、自分の発明品を「ル・パラシュート」と命名した。パラとはギリシャ語で「反抗する」「対抗する」の意味。シュートは、フラ
ンス語で「落ちる」の意味であり、そこから造語したのだ。
 ※ちょっと突っ込みを入れると「パラ」には「事前に備える」というギリシャ語の意味があって、そこからラテン語の言い回しのパラ・ベラム
「戦争に備えよ〔平和を欲するならば〕」ができたと思ふ。

 熱気球はフランス人が大発達させた。彼等はそのうちに、非常用のパラシュートの必要を認知した。
 そして Jean-Pierre Blanchard という熱気球屋が、木枠を用いず、絹を折り畳んだパラシュートを思いついた。ブランシャールはまず犬でそ
れを実験した。そして1793、彼の乗った気球が空中で裂けてしまい、彼はみずから絹製の折畳パラシュートで脱出して、生還した。

 キャノピーのてっぺんに小孔を開けるといろいろ都合が宜しいということを気づいたのは仏人の Jerome Lalandes である。

 1900年代初期、重要な改善がなされた。飛行機から飛び降りれば、ヒモで自動的に傘が開くという方式である。
 リップ・コードは1914に成功し、「フリー・フォール」が可能になった。

 自動車のエアブレーキとしてパラシュートを使ったのは、1912のロシア人で、セントペテルスブルグで実験された。
 これを飛行機に応用して「ドローグ」もしくは「ドラッグ・パラシュート」としたのもロシア人で1930年代のこと。北極海に浮かぶ狭い流氷の
上に飛行機で着陸するために、それが必要だったのだ。

 米国では1960年代に、ニトロメタン燃料で自動車を加速させる「ドラッグ・レーサー」用に、ドローグが必需品となった。

 空挺作戦としてWWIIで最大だったのは1944のマーケットガーデン作戦だが、これは失敗に終わった。1977に『遠すぎた橋』という映画にされ
ている。※渋い映画でしたね。女が一人しか出てこない。

 物料投下はWWII中に一般的になったものだが、ジレンマがあった。投下点を正確にしようとするならば沈降速度を高めなければならない。し
かしそうすると、着地衝撃で荷物が傷んでしまうのだ。
 今日、米軍に於いては、この問題は解決された。パラシュートにGPSと自動操縦装置をとりつけたからだ。JPADS と呼ぶ。

 凧職人のDomina Jalbertは1960年代なかば、parafoil (= ram-air parachute)を開発した。四角いパラシュートは1970年代にすっかり普及
した。

■3月の草思社本は期待してください。【2012-2-29作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-28記事「Vietnam Builds Harpoonski To Scare China Off」。
  ベトナムがロシアの対艦ミサイル Kh-35 を自国内でライセンス生産できることになった。わかりやすく説明すると、ハープンのロシア版コ
ピーだ。
 ただし、やや軽量。ハープーンが1600ポンドあるのに、こっちは610kgで、100kg以上軽い。
 そして最新のハープーンは最大射程224kmだが、こっちは130kmだ。

 ※シナ海軍にはロクな対ミサイル迎撃能力がない。ベトナムがこれを国産するだけで、「ナンチャッテ空母」ももうおしまいだ。敵艦がどこに
いるのかも判らずに発射してもミサイルは無意味なので、高度なISRを有しないベトナムとしては 130kmぐらいで十分。むしろ、軽量であるメ
リットがデカい。発射プラットフォームが多彩化し、シナ軍が対策できなくなるからだ。

 別名、 SS-N-25 とか Switchblade とか呼ぶこともある。
 こいつはヘリコプターからでも発射できる。

 ※ベトナム級の後進国の場合、ISRファシリティというものがないので、目視で発見、即、攻撃ができ、しかも、直前までこちらの「戦意」
を悟られずにすむ、ヘリコプターや軽飛行機からの運用が、近海防衛ではとてつもなく重宝するはずである。おそらくこれは、米国からの入れ知
恵なのだろう。

四。
 Bradley Perrett 記者による2012-2-28記事「Japan Upgrades Air-to-Air」。
  空自はすでにレイセオン製の AIM-120 Amraams 空対空ミサイルを 36 billion 円($468 million) も買っている。しかし、それとは別に、こ
のたびF-2用に、三菱電機が AAM-4B 空対空ミサイル〔アムラームもどき〕をアップグレードする開発を完了させた。

 この新型AAMは、世界に類例のないスペックをもっている。なんと、弾頭のレーダーが、AESA方式なのだ。

 これと併行して、発射母機であるF-2の機首レーダーも、 J/APG-2 に強化する。ちなみにF-2の機首レーダーは最初から国産のAESAだ。

 ミサイルの射程は2〜4割延びた。
 これは何を意味するかというと、F-2は、飛来するシナ軍のナンチャッテ・ステルス機のはるか遠くからAAMを発射し、さっさと方向転換
して遠ざかれるのである。シナ機の側からは撃ち返すこともできない。一方的にアウトレンジから叩かれるだけとなるのだ。

 長射程AAMは、その弾頭シーカーが敵機をとらえられない遠距離から発射する。そして母機は、その弾頭シーカーがじぶんで敵影を認知する
に至るまで、そのミサイルを誘導し続ける必要がある。そのあいだは、母機はどんどん敵機の方向へ接近して行かねばならない。
 しかしミサイル弾頭のレーダーの視程が延びれば、母機は、このムダな接近を、あまりしなくて済むわけ。

 新型ミサイルを発射するためにはF-2のFCSをアップグレードしなければならない。この工事をとりあえず16機に対して施す。
 そして機首レーダーの交換は40機に対して施す。

 防衛省によれば、この新型ミサイルはアムラームよりも大型だという。それでもF-2はこれを4発も吊下して防空戦闘できる。

 AESAレーダー搭載機がAAMを前段誘導するときは、他国であれば、レーダーを「送信機」として兼用させるのだが、F-2とAAM-4の
場合は、そうはなっていない。母機に誘導専用のデータ・リンク・トランスミッターを搭載する。というのは、AAM-4は「非AESA」であ
るF-15Jからも運用したいからだ。

 F-2機首レーダーのアップグレードだが、アンテナのハードウェアを全取替えするのではなく、新プロセッサーを載せ、アルゴリズムを高速
化し、出力を大きくするらしい。フェイズドアレイ・レーダーの出力をどこまで上げられるかは、電子部品の冷却性能にかかっているのだけれど
も、その冷却法にどんな新機軸を採用したのかは、日本人のひみつひみつ。

 三菱電機は、F/A-18E/F Super Hornetの機首に搭載されているAPG-79のスペックを目標として、J/APG-2 を開発したらしい。APG-79は、最新型
アムラームの能力を引き出すためには是非必要なものだった。ということはAAM-4Bは、最新型のアムラームに能力が迫っているのであり、それ
スパホよりずっと小さい単発のF-2で実現したのだとしたら、野心的な快挙である。もちろん、米航空業界の「専門家」たちは、「そったら
こと、できっこねーっぺや」と口を揃えているが。

 2018をめどに、F-2のミッション・コンピュータも新型を開発する。

 ※兵頭の持論。今の戦闘機の機体やエンジンは農業であり、電装品は工業である。農家は不眠不休で頑張っても1年に1回しか「実験」はでき
ない。しかも土地が有限だから失敗がゆるされない。漸進でなく躍進しようとすれば自殺だ。工場主は、不眠不休で頑張れば、月に何回でも「実
験」可能。開発拠点は随意に増やせるし、失敗の許容量を大きくして、大飛躍も招きよせられる。斯かる農業と工業の進化の速度差は、歴史的に
開く一方であると知れ。それにしても朗報だね。だからスーパーホーネットを買う必要が無かったのか……。めでたしめでたし。

■連日除雪で知らぬ間にボディビル状態に…!【2012-2-27作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-25記事「Backfires Burnished To Buy Time」。
  ロシア軍は30機の既製の Tu-22M3 バックファイア を Tu-22M3M 基準にアップグレードする。ただし完了は2020年を予定。
 バックファイアのM型は最新版であり、最近就役が始まったタイプ。空中給油装置が復活されている。

 10年前、ロシア軍は100機強のバックファイアを有していた。
 ソ連消滅の1991時点では、300機以上。
 1969から1993までの総生産数は約500機である。

 80年代のアフガン戦争では絨毯爆撃に任じている。
 2008の対グルジア戦にも投入。
 輸出先も探したが、ダメだった。※シナからは引きがあったが断った。

 Tu-22 は全重 126 ton、双発、可変後退翼。米空軍の全重45トンのFB-111を彼らなりに模倣せんとしてサイズが倍以上にデカくなったと考え
られる。正副操縦士の他、爆撃照準手と自機防禦担任の計4人乗り。初期型は尾部に23ミリ機関砲を有していた。

 短距離ミッションなら24トンの爆装可能。普通は12トン以下。
 combat radius は 2,400 kilometers。
 初期型は空中給油機能を有していたが、SALTのとりきめで80年代前半にその装置がなくされていた。

 ※ロシア公人の唐突な「対日強硬発言」がシナのメディア経由で日本に輸入されているのをみて、そもそもロシア人を挑発しているのが「なり
すまし日本人」のロシア語投稿だったのではないかと疑うようになった。シナ政府雇いの「2円部隊」が得意のロシア語を駆使して日本人になり
すまし、挑発的な書き込み工作をロシア人向けウェブページで地道に執念深く展開しているのだろう。そしてロシア人の公人がそれに反応した
り、誘導インタビューにひっかかると、こんどはシナ政府の御用新聞で大袈裟に報道して、その抜粋をご丁寧に日本語訳して日本のネット空間に
輸出する。それに馬鹿右翼が釣られて騒ぐ。マッチ&ポンプならぬ、マッチ&マッチだ。

三。
 Mark Thompson 記者による2012-2-24記事「Navy Seeking More Minority SEALs」。
  ネイヴィ・シールズには、黒人はほとんどいない。これじゃマズいだろうってんで、海軍は何とかすることにした。

 特殊部隊員は、頭が良くてアスリートでなくばならず、しかもシールズの場合は、水泳が得意でないと困る。米国社会では黒人と水泳プールと
は疎遠であることが多いので、シールズにも黒人が少なくなるのだ。

 もちろんゼロではないが、シールズの将校のうち黒人はタッタの2%である。

 シールズ隊員の募集は、男子限定、16歳から24歳までが対象だ。
 『ニューズウィーク』誌の最近の表紙にシールズ部隊が使われているのだが、写っているのは全員が白人。これが現実だ。

 シールズ新兵はまず Basic Underwater Demolition /SEAL training (BUD/S) という入門教程でシゴかれねばならないのだが、なんと、4人の
うち3人はここで脱落してしまう。

■3月16日配本の『日本人が知らない 軍事学の常識』(草思社)は、予価1890円です。【2012-2-25作文】

一。
 Joe Pappalardo 記者による2012-2-24記事「How Act of Valor's Directors Filmed With Real Special Operations Forces。
  多くの特殊部隊映画の中でも特にリアリズムにこだわった『Act of Valor』が本日米国で公開されるので監督に話を聞いてみた。

 特殊部隊が撮影されるときは顔が隠されるのに、この映画ではホンモノのシールズ隊員が、ドーランすら塗らずに画面に顔大写しですよね。

 そう。彼等は今回はルールを破ったんだ。
 特殊部隊の男というと 従来の映画では ほとんど犯罪者と見まがう、「ランボーターミネーター」÷2 といったタイプが多いよね。ステレオ
タイプだ。しかしリアルの連中はマトモで頭が良くて家族思いなのさ。そのギャップを売り物にしたかった。

 この映画ではCGIを使ってない。実弾を発射しているんだ。
 そのかわり海軍は、オレたち映画クルーの目の前で特殊潜航艇を止めてくれたりはしなかった。オレたちはドキュメンタリー風に撮影する機会
は与えられたが、すべて振り付け無しの一発撮りだ。

 彼等はいかなる contingency に遭遇してもそれを乗り越えるプランを用意している。そういうところを見せてドラマを盛り上げるために、計
画がうまくいかないストーリーにしたよ。
 観客のみんなが普通の生活を送っているあいだも、どんな男たちが人知れずにどんな犠牲を払っているのか、この作品で、知って欲しいね。

二。
 Dan Nosowitz 記者による2012-2-24記事「There Are Way More Blood Types Than You Think」。
  ヴァーモント大学の研究グループが、ヒトの赤血球の中に、あたらしい2つの蛋白質を発見した。つまり、「血液型」は、これまで知られて
いた以上にもっと複雑で、すくなくも「32タイプ」に分類しなければ、輸血事故が起き得るということが分かってきた。

 ところで、この「Junior」と「Langereis」と名付けられた新しい2つの血液型だが、それは東アジア、殊に日本人に多いというからおそろし
い。日本には5万人以上、いるはずだという。 ※血じゃ〜。

■ほかのライターの人はどうやって喰っているのか知りたくなってきた。【2012-2-23作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-22記事「No One Expects The Thought Police」。
  北鮮政府がまた新しく反政府思想取り締まり警察を設立した。反政府DVD、反政府らくがき、反政府戯れ歌も、厳しく厳しく取り締まる。

 ※『BAN』の最新号によれば北鮮にも携帯電話を所有する富裕層が80万人居り、かたや、労働者の平均賃金は日本円換算で「壹百円」也。す
なわち 100均ショップで1つ買い物すると、1ヶ月分の給料が消えてしまうのだ。それでも失業者はたくさんいるのだという。搾取するものなど
何も無い、楽園だね。
 三代目は、おじの Jang Sung Taek に操縦されている。そやつは金正日の姉妹の旦那だという。そやつは北鮮の国際集金係であり、よってリッ
チである。
 国全体が貧乏な場合、そこで小金を支配する者は、ミダス王になれる。
 そやつは国内富裕層の箪笥にある外貨をガサ入れで没収する政策の主導者だ。国民は外貨を国営銀行に預けるべきなのである。もちろん、引き
出しは自国通貨で、それも酷い換算レートでしか、出来ない。だから闇両替商は大繁盛。
 電力不足が深刻な北鮮政府は、鉄道ダイヤを昼から夜にシフトした。
 つまり工場が動かない深夜、その余りがちな電力で、電車を走らせればいんじゃね、というグッドアイディア。深夜なら通勤客も乗らない→
もっとダイヤを減らせる→省エネで地球にやさしい、という好循環。
 これで、飢えた都市人民が、食糧買出し列車に鈴なり乗車――という1990年代の大飢饉時代におなじみだった風物の再現もあり得なくなった。マンセェーッ!
 ※なんか昭和20年の日本の内地の様相を、B-29抜きでセルフで実現しているようなデジャブ感なんですけど。
 鮮満国境には、シナから監視カメラが輸入されて設置された。秘密警察は、有線(ケーブルは地中埋設)で、人民の国外逃亡や「抜け荷」活動
をリアルタイムでモニターできるのだが、逃亡や密貿易を取り締まるためにこんなカメラを設置しているわけではない。現場で、国境警備隊が国
家を裏切る徴候がないかどうかを見張っているのだ。
 多数の北鮮人が商売のためにシナ側へ一時越境している。もちろん、国境警備隊に多額の袖の下を掴ませているのだ。

 米韓演習についてまた北鮮政府が〈宣戦布告とみなす〉だとかの毎度おなじみの放送をしているが、これは実は米韓向けに放送しているのでは
なくて、北鮮国内の情弱な人民に対して放送しているのである。つまり「政府は外敵から人民を守る仕事をしているぞ」と思い込ませ続ける言論
活動が、彼らには必要なのであるニダ。

 密輸DVDのうちもっとも北鮮政府が脅威を感じているのが、韓国内で放送されているテレビニュースやドキュメンタリー番組を、そのまま録
画しただけのモノ。〈韓国経済は北鮮以下のどん底である。韓国人は米国軍のために奴隷にされている〉という宣伝が簡単に無効化されてしまう。

 2-19に北鮮で1人の日本人が起訴された。容疑は、4000台の中古パソコンを2008〜2009に密輸入したという咎。しかし北鮮ではラップトッ
プPCであってもそれを所有できるのは政府高官の家族に限られる。ちなみに中古といっても日本製の中古は1〜2年落ち。日本人は次々にPC
を新品に買い換えるビョーキを有しているので、このような新同品の中古PCがアジア・アフリカ向けに大量に放出されるのだ。市場に出回って
いるものを闇ディーラーが介在して北鮮に運び込むことは訳も無い。
 韓国は、潜水艦管制センターを設立した。また、ミニサブの設計を開始した。また、現有の潜水艦よりも少し大きな潜水艦を、更新用として発
注した。

柔術の「小手返し」の自己練習もCTSには悪そうだ。「小手捻り」ではシビレは出ない。【2012-2-21作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-20記事「The 50 Ruble Army」。
  ロシア政府はシナ政府の真似に踏み切った。政府批判がまきおこったときに、インターネット・ユーザーに小金を払い、メッセージ・ボード
に政府支持のコメントを書き込ませるという作戦だ。
 シナではこのチームは "50 Cent Party" 〔2元組?〕といわれて、フルタイム・ジョブとアルバイトとからなっている。フルタイムの職員
は、一人が一日に最高100回、投稿する。もちろん、一人が数十種類の異なったアカウントを駆使してだ。
 パートタイムの方は、じぶんのアカウントを使用して書き込む。
 報酬には差がある。正しい英語で投稿できる者が、最も稼ぐことができる。こやつらは「ネットの傭兵」として結構な小遣い稼ぎをしているのだ。
 シナでは8年前からこの「2元(2¥)部隊」が暗躍を開始した。
 シナ宣伝省が、在野でありながら政府寄りなコメントを書き込んでいた奇特な個人たちに声をかけて、まず最初のチームを編成した。
 そのチームは当初は大勢だったが、適切・効果的な投稿工作のできない者はどんどんふるいおとされた。宣伝省は、残った適格者を「上級訓練
コース」に国内留学させ、さらに能力を開発。これが今の「フルタイム投稿軍」の中核になった。別名 "Internet Apes"(ネト猿)。「ネトー
軍」だ。
 ある時点で、このような、北京政府に雇われたフルタイム/パートタイムの投稿工作隊は 100,000 人近く居たと。
 その真似を、ロシア政府も始めることにしたのだ。

 シナ大衆といえども馬鹿ではなく、低能なネト猿の投稿であればすぐに見破り、イグノアしてしまう。ところが高度なスキルを獲得しているネ
ト猿は、けっして政府の回しものだと見破られることなく、ネット輿論をリードできるという。

 合衆国では、選挙戦や、商品宣伝の業界で、この技法が採用されている。 それを "viral marketing"(ウィルス性マーケティング)と呼ぶ。
 ※「ステマ」は日本人が覚え易いように呼び変えた和製英語なのか。

 またCIAは、反米的もしくはプロ・テロリスト的な書き込みをネットにしている個人を発見すると、その人物をたくみに挑発する議論を投稿
したりして、相手や閲覧者の本心の書き込みを誘う。その過程でほんとうにあぶない人物を特定する。あるいは周縁的情報収集の一環としている。

草思社の新刊『日本人が知らない 軍事学の常識』は 3月16日配本の模様。この久々ハードカバーが日米軍事利権の構造を解説する。見本は9日予定【2012-2-19作文】

一。
 ストラテジーページの2012-2-18記事「Another Chinese LPD Shows Up」。
  中共軍の「071」級のドック内蔵型揚陸強襲艦の2番艦『Jinggang Shan』は昨年後半に南シナ海にて就役した。
 1番艦の『Kunlan Shan』〔崑崙山?〕は4年前に就役している。
 いまのところ、この2隻が、シナ海軍の最大のフネである。(ただし「ナンチャッテ空母」が就役すると、最大ではなくなる。)

 3番艦は竣工間近か。
 4番艦は、発注がなされた段階だろうと推定されている。※なんと不透明な軍隊だ!

 これらLPD艦は長さ 210 meter、排水量 20,000 ton 、上甲板からはヘリ4機を飛ばせる。艦尾からは4隻のホバークラフトを発進させられ
る。それとは別に2隻の大発をダヴィッドから泛水させることができる。

 ※日本の『しらね』を更新する「22DDH」はこいつより500トン小さいのに長さは248mあり、ブラックホーク級ヘリ×5を甲板に並べ、乗員と兵員総計970人を運び、ウェルドックはないが、サイドランプがあって、岸壁から戦車が直接自走で搭載/上陸できるという すぐれものらしい。19500トンという数値はぜったいに「宣伝」上の配慮をしてるよな。「2万トンは超えるなよ」というくだらない配慮を。

 071級は、完全武装兵員を最大800人(通常は500人)詰め込める。
 AFVは20両を積載。

 同格艦としては米軍の 25,000 ton の『San Antonio』級や、フランスの 21,500 ton の『Mistral』級がある。
 071級は艦固有の乗員がたった120名。ミストラルは180人だし、サンアントニオは396人だ。

 071級の1番艦は2年前、ソマリアに出張した。そのときZ-8大型ヘリを2機、搭載していった。これは1機でコマンドー隊員20名を運べるも
ので、しきりに、貨物船を強襲する訓練をしていた。また、ホバークラフトで海賊船をチェイスしたという。

 シナ軍艦のソマリア海域出張は、4ヶ月ローテーションとなっている。
 2番艦の就役で、最大の脅威を受けるのは、スプラトリーの一部を領有するベトナムとフィリピンである。

 ※警察官=犯罪者であるド腐れの国フィリピンなどに米軍の家族は住みたがらない。だから家族はあくまで治安良好な沖縄に置いておき、兵隊
だけが短期ローテーションでスビック湾に出張駐留するのである。尤も、フィリピンをここまでも堕落させたのは旧宗主国アメリカが押し付けた
「偽憲法」にほかならないんだけどね。かわいそうかわいそう。

■左手でメシを喰うには 先割れスプーンが重宝だ。それと皆さん、剪定鋏で篠竹原野を開墾しようとすると2年後にCTSになるよ。オレが症
例。【2012-2-17作文】

一。
 Stephanie Warren 記者による2012-2-14記事「Will Hurricanes Wipe Out Offshore Wind Farms?」。
  最近の研究によると、今後20年以内に発生し得べきハリケーンによって、米国沿岸の風力発電塔の半分近くは倒壊してしまうだろうという。

 カーネギー・メロン大のチームは過去のハリケーン記録を精査し、海上での風力はいかほどであったか検討した。その結論だ。

 恒常風が存在することと、景観破壊について住民が文句を言わないという点で、米国でもいまや風車塔の新立地は 沖合い遠くにしかないと考
えられている。しかしそのような海上では、暴風の強さも陸上の比ではない。

 「カテゴリー3」のハリケーンとは、毎秒50マイル以上の暴風を伴うものだ。これが来れば、既存の風車の46%は倒され得る。
 記録によれば、1856から2008のあいだ、太平洋岸を除くすべての米国沿岸州は、いずれも1回以上、この「カテゴリー3」のハリケーンに襲わ
れている。

 では電力ベンチャーはどうすればよいのか?
 まず、統計的にハリケーンがやって来難い場所を選ぶこと。大西洋岸の北半分は、南半分よりも安全である。

 また、風車はナセルに横から強風を受けると弱いので、回転軸をできるだけ風に正対させるべきである。
 しかしハリケーンの風向は1分おきに変化することもあり、それは至難だ。

 業者は「オレたちはハリケーンのことならよく知ってる」と言うものだが、ハリケーン常襲地帯に住んで、連年ハリケーンの猛威を体験してい
る投資家ならば、そんな甘い見通しはけっして持たないであろう。

 ※わたしゃ宮古島で根こそぎぶっ倒された巨大風力発電塔の鉄筋コンクリート基盤の上に立ち、「風車スタイルではダメだな」としみじみ思っ
た。しかし「海力発電」は有望である。高い「灯標」タワーをフローティング式に浮かべ、それが風や波で「揺らされる」エネルギーを、喫水線
下の発電機構で回収するのだ。これなら「恒常風」には依存せず、むしろ風力・風向が変化することが発電総量を増してくれるであろう。強風が
来れば、ヨリ斜めにかたむくだけで、柳に風と受け流すことができる。波やうねりが高いときも同様だ。

二。
 APの2012-2-?記事「Italian ship fires on Indian fishing boat, 2 dead」。
  イタリアの貨物船乗員が、インド洋のインド人漁民を 海賊だと勘違いして発砲。2人を即死させた。
 このイタリア船は『Enrica Lexie』である。
 場所は、インド Kerala 州沖。

 インドの沿岸警備隊とインド海軍がこのイタリア船を Kochi 港に連行して取調べ中である。

 漁船のオーナーはFreddyという名しか判っていない。
 発砲を受けたとき漁船に乗っていた他の9名の漁師は無事である。

 ※先に撃たれてもいないのに 漁船に向かって商船の方から先制的に照準銃撃するなんて あり得るか? イタリアの商船学校は、何を教えてい
るんだ?

■雪投げスコップ作業で「手根管症候群」発症。今日から飯を喰うのも左ギッチョじゃ【2012-2-15作文】
二。
 Tim Heffernan 記者による日付不明記事「The machines that made the Jet Age」。
  なぜWWII中にドイツは3機種ものジェット機を戦列化できたのか?
 理由の一つは、ドイツが「ジュラルミン(アルミとマグネシウムの軽合金)の鍛造」を いちはやく実用化できていたことだ。
 それによって、連合国の工場ならスチールをボルトで組み合せていたようなパーツを、ドイツでは絞り出し一体成形やプレス型抜きで、軽合金
から量産することができたのだ。

 この最良のプレス機を1945にソ連軍がぜんぶ持って行ってしまった。
 脅威を予測した米国では、1950年代に、ソ連保有のドイツ製プレス機を性能で上回るべく、とんでもなく巨大な型打ちプレス機(closed-die
forging press)を複数、製造した。
 Heavy Press Program というプロジェクト名がついていた。

 高さはビルの9階建て相当。重さは 16 million poundsで、プレス力は 50,000 tons というバケモノだ。厚さ1フィート、巾15フィートのチ
タン合金の延べ板をこいつの口に突っ込めば、1回のプレスによって、F-15戦闘機の最大のバルクヘッドが一体パーツとして成形されてくる。
ボーイングエアバス旅客機の構造材も、こいつのお世話になっている。

 WWIIの復員と国家総動員解除で、米国にも大量の男女失業者が発生すると懸念された。陸軍と海軍では、もはや巨大プレスなどに用は無さそ
うだった。そこで、主に空軍のための国家出資プロジェクトとして、1949に Heavy Press Program がスタートした。ソ連との冷戦は、空軍で決
着をつけるのが合理的だと考えられた。また、大量失業者は少しでもハイテクな分野(民間航空宇宙産業)で吸収すべきであった。米空軍と宇宙
航空産業は、戦後不況回避の牽引車たるべく、かつまた対ソ冷戦の主役として、米国国家指導層から期待をかけられたのだ。

 5万トンプレス機はまずアルコア社のクリーヴランド工場に据えつけられ、1955-3-5に作動開始した。ついで3万5000トン・プレス機もで
きた。
 F-105の翼付け根、B-58の主翼桁、B-52の主輪軸耳、C-130のバルクヘッドなどが、このマンモス・プレス機から続々と部材提供されたのだ。

 5万トン・プレス機は、本体の設計は1台づつ違っているのだが、「ダイ(打ち型)」が交換式になっており、その「ダイ」を別な機械に取り
付けることが可能である。これは、戦争中に、ひとつの軍需工場が爆撃されてプレス機が動かせなくなっても、その「ダイ」を別な工場にもって
いけば、そこでプレス作業を継続できることを意味した。

 1990年代に、8000トン・プレス機の一台が、スクラップとして売りに出されたのだが、その行方が、記者にはつきとめられなかった。可能性と
して、韓国か中共が、買い取って、本国に持ち去ったかもしれない。

 昨年、日本の4メーカーがジョイントで、あたらしい5万トン・プレス機を製造し、発電所の部品などを量産することに決めた。
 シナでは Erzhong社が、史上最大の8万トン・プレス機をつくって、宇宙分野に必要な部材を供給するという話だ。

■湿雪が増えている。やはり温暖化なのか…【2012-2-12作文】

一。
 Amy Butler 記者による2012-2-10記事「The Rise And Fall Of Global Hawk Block 30」。
  米空軍は2001からグロホのプロジェクトをひきうけ、今は55機運用している。
 U-2を更新することになるのは、Block 20/30 で、初期型より大きくなっている。
 しかし U-2派=有人派との 部内での戦いは 長く続いた。
 U-2は有人であるためパイロットはせいぜい10〜12時間しかコクピット内には坐っていられない。グロホは24時間以上も平気で舞っていられる。
 グロホはUAEの Al Dhafra AB からも飛ばしている。
 しかし空軍はブロック30の生産を中止させ、既製分はモスボールすると決めた。理由は、U-2に比べて運用のコストが高くなってしまったか
らだという。
 議会はこの言い分に疑問を抱いている。
 1時間あたりの運用コストをくらべてU-2の方が低いといっても、U-2は1機が24時間飛ぶことはできない。そこをごまかしているのではな
いかと。
 その面倒を加味すれば、むしろグロホの方が年間の運用コストはU-2よりも $220 million 安上がりであると。
 ※その前に「第二のゲイリー・パワーズ」をもしイランに確保されちまったらプライスレスの損害を米政府が蒙るだろうってこと。空軍は政府
の迷惑を考えないキチガイ揃いなのだ。
 空軍は卑劣にも、ブロック30を運用中止にしてU-2に代役させると年間でいくら浮くのか、公表していない。
 これまでの計画ではブロック30は31機調達するつもりであり、18機がすでにノースロップに対して契約発注済み。
 イランやシナの国境のギリギリ外側から敵国領土内を監視するのに必要な「斜め(slant)撮影」赤外線カメラ(EISS)の「視程」が期待値に
届かず、完成が遅延。これがブロック30の調達単価を押し上げている。
 ※だからSR-71のようなものが必要だとか言い出すのだろう。空軍はこの衛星時代、そして側方監視合成開口レーダー時代に敢えて不必要な要求をグロホにおしつけることでグロホを退場させようと謀っているのだ。
 また、敵国の多数の防空レーダーや無線を傍受し、その発信座標を瞬時に全部把握して味方有人機の空襲に役立てようとする野心的な装置
「ASIP」も性能が期待値に届かず、完成が遅れている。これもブロック30の単価を押し上げている。
 ※どうしても無人機を有人機空襲の露払いとして貢献させようという空軍の欲望がそもそも有害なのだ。
 グロホのセンサーに対する要求が逐年過大になっているため、初期のBlock 10 RQ-4A versionはペイロード 1,000 lb.でよかったものが、
Block 20/30 RQ-4Bでは 3,000 lb. が必要になった。
 U-2はセンサー・ペイロードが5000ポンドもあるので、ASIP とか EISSを搭載できるが、グロホにはムリである。こういう図に空軍は持って
きた。
 海軍は70機の Block 40 を買って哨戒機にする。その最終調達は2028を予定。
 空軍のグロホの基地は、米本土では、Beale AFB(加州)と、Grand Forks AFB(ノースダコタ州)にある。
 ※ノースダコタから極東に最短距離で飛ぶ場合、カナダ領空を横切る。

■さいきんは算盤塾を見ないな…【2012-2-11作文】

一。
 Dan Nosowitz 記者による2012-2-10記事「PopSci Primer: The German-Style Board Game Revolution」。
  ドイツが本舗で、ユーロスタイルとも称されている、アナログのボードゲーム。今のところ、最も有名なのは、商戦略ゲームのひとつ
「Settlers of Catan」だろう。
 このゲームには、米国の「モノポリー」人生ゲームが有していなかったあらゆる面白特長が揃っている。
 まず、簡単であるが、鬼のように〔fiendishly〕クレヴァーでもある。
 凡百のゲームにはありがちな「退屈な死時間」が無い。
 多人数パーティで全員が一挙に1ゲームに参加ができる。そして途中で誰かが不面目にも脱落させられることもない。しかも、サイコロなどの
偶然投機性を排除する。
 ドイツ人のボード・ゲーム好きは異常で、有名雑誌には、たいてい、新作映画のレビュー欄と並び、新作ボードゲームのレビュー欄が充実して
いるのだ。
 ドイツ人のゲーム開発者は、常に新機軸に挑む。これは米国のゲーム屋とは異なった態度だ。ドイツには「年間ゲーム大賞」までも設けられて
いる。
 いずれもしっかり設計されているので「デザイナー・ゲーム」とも総称される。デザイナー(ゲーム設計者)は、ドイツでは神セレブあつかい
である。
 ちょうど映画の宣伝パンフで著名な監督名を大書するように、それらゲームの商品箱には Reiner Knizia, Klaus Teuber, Wolfgang Kramer と
いったクリエーターの名前がデカデカと印刷されて人目を惹くようになっている。
 『ポピュラーサイエンス』は、この市場に詳しいシアトル在住のDaniel R. Nelonにインタビューした。
 ユーロゲームの最大の特徴は、双六でもルーレットでもないということです。とにかく偶然の要素を排除しているのです。
 それと、素材にプラスチックは使わない。木製にこだわってますね。
 盤面には、何語によっても、文章は書かれていません。だから、異なる言語を話す人々が一緒にプレイできるわけ。もちろん、ルールを予め
知っている人に限られますが。
 あと、軍事ゲームよりも経済ゲームの方に上位価値があると考えられているようです。
 そして、絶対に「途中強制退場者」は出しません。ゲームが終了するまで、全員がそのゲームに参加し続けられるのです。あまりに成功し過ぎ
たために「商取引を他の全員からネグられる」といったことは起こり得るんですがね。
 これはもうひとつの良い点でもあります。「毎回ダントツぶっちぎり独走強者」は発生しないようにバランス設計されているのです。ゲーム中
盤で後落した人にも必ず終盤までに大挽回のチャンスがあるのです。

 分類すると、セトラーズ・オブ・カタンは、業界的には「gateway games」の範疇です。
 1995に発表されたのですが、いまや米国でも「人生ゲーム」を駆逐する勢いですよ。

 米国では1980年代にユーロゲームが流行りだしました。
 しかし決定的に普及したのは、インターネットのおかげです。
 米国では「Advanced Squad Leader」のような戦争ゲームが先行しました。

喪前らモチツケ by 與那覇潤

2011年03月15日
今こそ、「国民性」の発揮はバランス感覚を持って ‐ 與那覇 潤
http://agora-web.jp/archives/1280302.html
 
東日本大震災被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。かつ現地で危機対応と復興に取り組まれている方々に感謝と尊敬の念を捧げます。
 
大学で日本史を教えているものの一人として筆を執りました。平素、比較的冷静に見える本プラットフォームでも、今回の我々の想像力を超えた天災に直面し、一方では短絡的・情緒的な日本人礼賛、もう一方では日本政府や東京電力等の関係機関の不備や、「不謹慎な一部の人々」への罵倒が散見されます。しかし、運営者の池田信夫氏も「日本人はすばらしい?」で示唆するように、両者はコインの裏表であり、一面的な議論は禁物です。
日本人が大規模災害にあたっても(おおむね)粛然と退避行動をとり、学校や公民館をはじめとする公的機関を避難所として活用できるのは、もちろん望ましいことです。歴史学的にみると、これは戦国時代の争乱状況の際、領主が城郭に領民を収容する慣行ができて以来のことで、統治機構の存在意義を「住民の生存の保障」に求める心性によって、アナーキーな「自力救済」(その典型が略奪)に歯止めをかける行動パターンが、近代以前から国民的な約束事(国民性)になってきた史実に由来します。
 
一方で見方を変えると、これは、日本社会には危機であっても(危機のときこそ)「統治機構に従順になる」性格があることと同義であり、それが近代の「非常時」には戦争動員の基盤ともなりました。さらに、危機であるにもかかわらず「統治機構に従順でない」メンバーに対しては、同じ結束力が排除の論理として機能したこともあります(関東大震災時の集団パニックは、その最大の悪例でした)。あらゆる国民性と同様、日本の国民性にも長短があるのであり、今こそその両面をしっかりと見つめた対応が必要と思います。
 
さて今回の震災、特に原発問題に顕著なように、このわが国で近世以来、統治機構の任務と目されてきた「生存の保障」=セキュリティとは、心情的にどうしても「100%」を要求してしまう領域です。もともとかような伝統があったところに、近代以降の資本主義化の要請に伴って極度にパンクチュアル(時間厳守)な就労・交通・産業の規律が持ち込まれた結果が、毎日ダイヤに「100%」忠実に運行する鉄道であり、終日「100%」開店してくれるコンビニでした。これはもちろん日本社会が誇れる特徴でしたが、その一方で「100%ではない」ものに対して極度に非寛容な風土を育みもしました。これもまた、日本人の国民性の正負両面が一体となっている事例です。
 
「100%安全」という神話の崩壊、「100%確実」とは断定しにくい情報の氾濫のなかで、「自分の想定が100%満たされないではないか」という苛立ちを人々が爆発させると、余震や放射性物質自体に起因する被害とは別個に、社会的なパニックが発生する危険性があります。もともと被災地ではない、ないしすでに生存自体に関わる危機が去ったはずの地域での過剰な買いだめ現象は、その一例ではないでしょうか。
 
いま生存の危機にさらされている被災地の方々、ないし計画停電が生命維持に直結しかねない難病者の方々が「100%の安全ではなかった」ことに憤り、「100%」の保障を求められるのは当然です。しかしそれ以外の、今すぐ生きる死ぬという問題に関わってはいない(私のような)日本人は、むしろそのような「常に100%の安心や確実性を求める」志向を、いったん解除するべきだと思います。政府の対応や東京電力の姿勢に瑕疵はあったでしょうが、その批判は危機が去り、被害の全容が明らかになった後でこそ、冷静に検討できるはずです。いま、絶叫調で「100%の正しさ」を要求し続けても、徒にフラストレーションを昂進させるだけに終わります。それは、本当に救いの手が必要な人々への対応まで、鈍らせてしまいます。
 
これだけの災害に「100%完璧」に対応できる統治機構など、世界中どこにも存在しません。逆に「計画停電」の有無に関わらず、ふだんから電車は時間通り来ず・開店時間が日によりまちまちで・サービスの質も人により一定せず・商品供給も安定していない国は、先進諸国も含めていくらでもあるのです。まして、それが被災地を支えるための電気や物資の逼迫によるものなら、(生命維持に直結する部門を除いては)むしろ定刻どおりに通勤しようという発想自体を止め、それに起因するサービスの低下に利用者側も寛容になり、「すべてを手許に買い揃えなければ安心できない」消費行動を控えることが重要と思います。いま、安全が確保された地域で求められているのは「100%」を追及し続けてきた国民性の「緩和」であり、熱狂ではないと考える次第です。
 
(與那覇愛知県立大学准教授・日本近現代史

中国化する日本

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

「西洋化」に代わる物語を 『中国化する日本』 (與那覇潤 著)
聞き手「本の話」編集部
2011.12.14 08:00
 
発売後1週間で増刷が決まるなど、『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』(11月刊)が好調である。著者の與那覇潤さんは弱冠32歳の大学准教授。本書は著者のふだんの講義内容をまるでライブ録音そのままに、会話体で書き下ろしたものだというが、タイトルにある「一千年史」のとおり、院政の開幕/源平合戦から政権交代/ポスト3.11まで、1000年超の日本史すべてを斬新な視点で論じ切る内容が話題になっている。その狙いや執筆の舞台裏を、與那覇さんに語っていただいた。
  
――與那覇さんの本来の専門は明治時代の沖縄問題(*『翻訳の政治学岩波書店 2009)で、前著で扱っているのは昭和の戦争(*『帝国の残影』 NTT出版 2011)と、これまで近現代史の分野で研究をしてこられました。それが今回はそもそも、どうして一人で1000年分も書こうと思ったんですか?
 
那覇 普通じゃないですよね(笑)。ただ、従来からよきにつけ悪しきにつけ、日本の近代化って「特殊」だ、といつも言われてきた。「よき」の方は「アジアで唯一の列強入り」や「奇跡の戦後復興」であり、「悪しき」の方は「歪んだ軍国主義」とか、「民主主義の不成熟」とか。でも、そういうこと言うならじゃあ、日本の近代化の歩みはいつどこで「歪められた」のか。その「特殊さ」の起源をつきつめて考えていくと、結局そこまで遡らないといけないことに気づいたんです。
 
――遡るといっても、普通の本なら明治かせいぜい幕末までで、日本が「欧米列強」と比べていかに「特殊」かを説明してゆくわけですよね。ところがこの本だと、なんと源平合戦まで戻っちゃうから、比較の対象も欧米ではなく中国に。
 
那覇 はい。たとえば先日の*TPP論争でも「開国」や「黒船」にたとえられて、「どうして日本人はグローバル化がヘタなのか」とか、逆に「そもそもロクなもんじゃないグローバリズムに日本が合わせる必要があるのか」とか、議論されてましたよね。でも実はこれって、今に始まった話じゃないんですよ。中世の昔から日本は「グローバル・スタンダードに合わせるのか、日本独自の道をゆくのか」で揺れてきて、源平合戦南北朝の動乱もある意味、全部それをめぐる争い。ただし、当時はヨーロッパなんて後進地域だったので、その「グローバル・スタンダード」は「中国標準」のことだった。
 
――それがタイトルの『中国化する日本』の由来なわけですね。
 
那覇 そうです。第1章(※期間限定で無料ダウンロード実施中。2012年2月5日まで)に書いたことなんですけど、実際、日本史でいうと中世の年代に当たる宋朝以降の中国の国内秩序と、現在賛否両論の「グローバリズム」の国際秩序は、すごく似ていて。よく言えば徹底的な競争社会、悪く言うと弱肉強食の格差社会で、形式的には「平等」な条件で自由競争していることになってるにもかかわらず、実態としては猛烈な権力の「一極化」や富の偏在が起きている。そういう中国=グローバル社会のあり方を受け入れるか否か、で国論が二分されたから、日本は中世のあいだはものすごい内戦状態だったんだけど、結局、「受け入れない」という結論を出したおかげで、近世にはピタリと平和になって…。
 
中華文明・日本文明、1000年の構図

――江戸時代の「徳川文明」ができたと。いわゆる「国民性」とか「日本らしさ」のようなものはこの時、「中国化」の影響力を脱することで初めてできたんだ、という点を本書は強調していますよね。そして、それがあまりにも日本人にとっては居心地がよかったので…。

那覇 心のふるさとになってしまって、疲れるといつもそこに帰りたがる(笑)。自分の本では「再江戸時代化」という言葉で表現している部分です。明治維新産業革命をやってガバッと競争社会にしたけど、「昭和維新」では農本主義で農村を救えとか、ブロック経済で雇用を守れとかで、ガチガチの国家統制に戻しちゃう。戦後も高度成長でガンガン人口が都市に出てきて根無し草になると、田中角栄の国土の均衡ある発展とか、竹下登のふるさと創生事業とかで、やっぱり『古き良き地方社会』のイメージを守ろうとする。小泉改革であれだけ規制緩和だ自由競争だと言ってたのに、彼が首相を辞めたらあれよあれよという間に昭和ブームが起きちゃって、「やっぱり、ちょっとくらい不自由でも我慢しあって生きてくのが日本人だよ」みたいな(笑)。これは結局、中世の頃に「中華文明」を取り入れかけたんだけど、結局それについていけなくて別の道を選んだ、*日本文明というものの体質の表れなんです、よくも悪くも。

――サブタイトルにある『日中「文明の衝突」一千年史』というのも、そういう含みがあるわけですね。元寇日中戦争のような、両国が直接「軍事衝突」した事例だけではなくて、中華文明と日本文明という二つの文明が、東アジアでパフォーマンスを競い合った1000年間という構図で描かれている。

那覇 その通りです。逆にいうと、今日のグローバリゼーションの核にあるとされる「西洋文明」というのは、新参者として後から日中に割り込んできたわけ。しかもコイツが曲者で、ある面では中華文明に似てるのだけど、他の面では日本文明に近い。その結果として、20世紀の半ばまでは日本文明のほうが相対的にうまく適応していたのですが、冷戦が終わる頃から、昨今かまびすしい「停滞する日本」と「台頭する中国」という構図が出てきちゃった。江戸時代って基本的には農耕文明で、そのムラ社会護送船団方式や日本的経営に改装することで、工業化にも適合させて「延長」してたのが昭和期の「再江戸時代化」だったんですけど、資本主義が金融化・情報化・サービス産業化していくと遂についていけなくなった。最初は「COOL JAPANで世界市場を席巻だ!」とか言ってたはずが、今や「韓流やK-POPに国内市場を盗られる」とかいう話になってるでしょう(笑)。西洋文明のうち中華文明に近い方の側面がグローバル化で前面に出てきたから、中国・韓国の方がうまく乗っかっちゃってるわけですね。

――そして『中国化する日本』ということは、1000年間の戦いを経て、最後の勝利者は中国に…?

那覇 いえ、そうは断定していないんです、よく誤解されてるみたいですけど(笑)。むしろこれまで長いこと、「西洋化」とか「グローバル化」とか言われると、あたかも自明に「いいもの」だとか、「欧米先進国に並ぶためにやらなくちゃいけないこと」みたいに見えちゃってたわけじゃないですか。でも、「それ、実は中国化かもよ」って言われたら、ちょっとギョッとなるというか、少なくとも、「いったいその内実が何で、どんなメリットとデメリットがあるのか、きちんと判断してから考えよう」とは思いますよね。それこそが今の日本で必要な態度だと思うし、実際、近代以降「西洋化」してきたと言われてる日本だって、実のところは「中国化」しかして来なかったんじゃないかとも言えるので…。
 
政治に失望すると授業が人気に?

――本当ですか!? たとえばどんな…?

那覇 今の政治なんか典型じゃないですか。本書が出て1週間後に、ダブル選挙で大阪維新の会が勝ちましたけど、これってもう政党どうしの争いではなくて、橋下徹さんというカリスマ個人への期待ですよね。複数の国政政党が、全国レベルで日本をどうしたいかというマニフェストを出し合って、その一環で地方の首長選挙があるわけじゃなくて、まずは橋下さんという「トップ」一人だけを地域の住民みんなで担いで、後はその人気や権勢にぶら下がりたい人たちが議員としてついてくればOKと。もちろんそれを見て「民主主義の危機だ」って騒ぐ人たちもいるけど、ある意味これって中国的な「民主主義」なんですよ。皇帝一人を推戴して、その人が既得権益者をバッサバッサとなぎ倒すのをみんなで応援しようと。だから伝統中国で「選挙」といえば、一人一票で議会の議員を選ぶ投票じゃなくて、皇帝の手足になるスタッフを試験で選抜する科挙のことなわけです。

――つまり、日本が「西洋化」してきたと思っているから混乱するけど、「中国化」してきたんだと思えば、しごく当然の帰結であるということですか。

那覇 そうそう。国政レベルだってそうですよね、盛り上がるのは「誰を次の総理に」でトップのクビをすげ替えるときだけで、替える理由もよく分からない。政策を転換するために交替させるっていうよりも、支持率が落ちてきて「人徳がないから」とかなんかそんな感じ(笑)。国会の審議や政治報道だって、与野党間で政策を競うよりもスキャンダルをつつきあう方が注目が集まるから、ゴシップ記事みたいな話ばっかりじゃないですか。要するに「政策的にとるべき選択肢は何か」の議論と、「道徳的に優れた統治者は誰か」の議論を区別できてないわけで、近代西洋型の合理主義というよりも、儒教の道徳原理に支えられた伝統中国の徳治主義のほうに近い。

――これまで自民党の長期政権が続いてきたあいだは、日本の民主主義は政権交代がないから「特殊」でダメなものだと言われてきて、だから2009年に民主党政権ができた時には一見、「これでヨーロッパに追いついた」となった。しかし、実際の日本は「西洋化」するどころか「中国化」していたので、今日の体たらくに…。

那覇 それがまさに本書の隠れモチーフですね。実は、この前も学生さんと笑いあったんだけど、自分の授業の人気って政治への期待と反比例するらしいんですよ(笑)。

――本当ですかそれ(笑)? 「授業」というのは、本書のもとになった…。

那覇 まぁ、別に学問的に分析したわけじゃないんで、本当に当たってるかは分からないですけど、現にいちばん受講者が少なかったのが、2009年の鳩山内閣発足直後の冬学期で、なんとたった2人。

――2人って、講義録が出る授業がですか(笑)?

那覇 そうです(笑)。逆に、その後半年経って民主党政権がグダグダになってきて、次の夏学期が始まる4月になると、普天間問題で誰の目にもぐちゃぐちゃになってたじゃないですか。そうしたら途端に今度は教室が満員になって、ただの選択科目なのに過半数が受講する学年まで出てきちゃった。しかも、明らかに教室の空気が一変したんですね。それまでも受講生の態度が悪かったわけじゃないけど、明らかにみんなが積極的というか、表情が真剣というか。今年も菅直人さんのおかげかどうかはわからないけど(笑)、やっぱりそういう雰囲気が続いています。
 
西洋化とは全く違う「大きな物語

――それはどうしてなんですか?

那覇 たぶん、「政権交代をすれば日本はよくなる」っていうのが、*日本に残っていた最後の「大きな物語」 だったと思うんです。私たちは「西洋化」というよりよい道を歩いてきていて、自民党という邪魔者がそれに立ち塞がっているけれども、それさえ打ち壊せばなんとかなるんだ、っていう。そういう「すでにインプットされている、一見なんでもそれで説明できそうなストーリー」――学者の用語で言うと「マスター・ナラティヴ」とか、「パラダイム」になりますが――が機能している状態だと、実は日本は西洋化じゃなくて中国化してるんだ、なんていう「マイナーなストーリー」を喋ったって、普通は耳に入っていかないわけで。

――なるほど。逆に、これまでの「大きな物語」のウソがバレたから、これはちょっと、違う物語で説明してもらわないと、もうわけがわからないぞと。

那覇 そういうことだと思うんです。実際、印象深かったのは、その受講者が一気に増えた2010年の夏休みに、まさしく日本人の中国イメージって一変するわけじゃないですか、尖閣沖漁船衝突事件。自分は最初、これで「ああ、冬学期は学生減って元の木阿弥だな」と思ってたんですよ。それまでも中国化だなんていうと、「中国は嫌いだから興味ありません」とか、「あんな遅れた国に日本がなっていくなんて意味不明」みたいな反応が絶対にあったし、北京五輪と関連してチベット問題がお茶の間のニュースになった頃から、やっぱり中国語の履修者がガクンと減ったっていう先生の話も聞いたことがあったんで。ところが、まさに尖閣問題沸騰のさなかに教室に出ていったら、ほとんど減ってない。「ムカツク中国の話なんて聞きたくない」じゃないんですよ。むしろ「どうなってるんだ、説明してくれ」という意欲の方が強かった。

――随所で従来の右翼/左翼の歴史観をバッサリやっているのもそのためですか。学者が書いたカタめの参考文献を数多く紹介する一方で、時事ネタに引きつけたべらんめえ調の政治談議が豊富なのも、本書の珍しいところですよね。

那覇 マスメディアに載る歴史のニュースや一般向けの歴史の本に、「右の歴史と左の歴史、さぁ正しいのはどっち?」的な煽り方のものが多いせいで、学生さんも含めて勘違いしてしまう人が多いんですけど、それって今や学問的な歴史の議論とは、完全な別物なんですよ。そもそもこれまでの右翼/左翼って、大雑把にいえば人類がみんな「西洋化」していくというウソの物語に乗っかった上で、「日本も『もう十分に西洋化した』と威張っていいのか?」とか、ちまちましたことを争ってきただけで。あるいは、「西洋化の結果として、われわれ日本固有の伝統を失っていいのか?」みたいな議論もあったけど、でも、現に西洋化うんぬん以前に中国化しかしてないんだったら、決定的にピントがズレてるわけですね。本当に面白い歴史はそっちじゃないよ、と伝えたいから、アカデミックな歴史の専門研究の紹介と、ベタな左右の論説の全否定とを、どっちも一冊でやっています(笑)。

――ひょっとすると本書を買っている人も、これまでの歴史観の賞味期限が切れたことにうすうす気づいて、新しい「大きな物語」を求めているんでしょうか。「西洋化」していたはずの日本のいきづまりと、逆に「近代化」の劣等生だったはずの中国の不気味な台頭を、分かりやすく説明してくれるストーリーを…。

那覇 もしそうだったら、すごく嬉しいですね。いま「大きな物語」っていうのは色んなところで評判が悪くて、たとえば歴史学者だったら「実証性がなく大雑把すぎる。細かい事例の具体的な分析に基づいていない」という批判は当然あると思うし、評論の世界でも「これだけ『個人』が分裂し多様化した時代に、いまさら『国家』や『文明』みたいな単位で物語なんか語れるのか」って言われても仕方がない。あるいは3.11の原発事故や震災復興とか、もしくはそれ以前から格差問題や反貧困とかの現場にいる人なら「まさにいま目の前にこんな問題があるのに、1000年分振り返ってみましょうだなんて悠長なことを言ってる場合なのか」という印象を持たれるかもしれない。ただ、自分は日本社会が大きな曲がり角にあるいまだからこそ、これまでのもの(西洋化)とは全く違う「大きな物語」(中国化)を立てて、いっぺん考えてみる必要があると思ってる。大げさに言うと、それを通じて日本の針路を示せるかどうかに、「歴史」というものに今もまだ意味があるのかどうかが、懸かってると思うんです。

――ありがとうございました。

新説? 珍説? 日本は「江戸化」が終わり「中国化」する――その心とは?
2012年2月12日 18時00分
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20120212/Cyzo_201202_post_9832.html
 

 昨今、巷には中国脅威論を煽る本が並んでいる。『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』(文藝春秋)というタイトルだけを見れば、この本もその類の本かと思うかもしれないが、そうではない。多くの人が「近代化は、ヨーロッパから始まったもの」と考えるが、日本近現代史を研究する著者の與那覇潤(よなは・じゅん)さんは、同書などを通じて、「初期近代(近世)まで視野を広げれば、近代化は、宋朝の中国で始まった」と語っている。そして、宋で導入された画期的な社会の仕組みを中国化と名付け、「長い江戸時代」という「独自の近世」が続いていた日本もついに「中国化」し、中国のような社会になる可能性を論じるのである。今回、愛知県立大学で教鞭をとる與那覇さんに、本書のキーワードとなる「中国化」そして「再江戸化」について聞いた。

 
――本のタイトルにもある「中国化」という言葉は、そもそもどのように生まれたのですか?
 
那覇 現在の職場に着任して、初めて1年間を通して日本近現代史を教えることになりました。せっかくですから、授業では古代史から現代研究まで、多様な学生さんのためにもできるだけ長いスパンを扱って、歴史の見方を変えることができる話をしたいと思ったのです。そこで「近代化」の定義について、再考したいと考えました。一般的に日本における近代化といえば、明治以降の西洋化を指します。しかしそうではなく、むしろ近代化とは、中国化であるという見方をしたら面白いのではないかと。実際、現在の歴史学では「近世」(日本では江戸時代、中国では宋〜清朝)をむしろ「初期近代」と解釈しているんですね。その立場に立つことで、明治時代以前・以降に、日本で起こったことを比較しながら考えることができると思いました。
 
――「中国化」とは、具体的にはどんなものなのでしょうか?
 
那覇 簡単にいうと、社会から確固たる地盤を持った貴族層や、その領地ごとに形成された村落共同体などの中間集団がなくなり、バラバラの個人だけになっていくことだと思ってもらえれば、わかりやすいと思います。
 
――それだけ聞くと、中国化と西洋化は近い内容のように思うのですが、両者の違いとは?
 
那覇 近代化する前の時代というのは、集団主義で個人が抑えつけられたり、権力者が庶民を支配していたりというイメージがありますね。いわゆる西洋化(これまでいわれてきた「近代化」)とは、貴族の荘園や身分制度が解体されて、経済が自由化すると同時に、政治的にも民主化していく。
さらに宗教社会が世俗化して、思想的には多元性が容認される状況になることです。しかし、中国で起こった近代化=中国化では、個人はバラバラで自由になる一方で、政治的な権力はものすごく集権化されたんですね。つまり、個人の経済活動や職業選択の面では自由になりますが、政治的には超強力な中央集権の権力が発動され、その下で思想も画一化される。具体的にいうと、宋朝(960〜1279年)の中国では世界で最初に皇帝以外の身分制や世襲制が撤廃され、移動の自由、営業の自由、職業選択の自由が広く行き渡りました。しかし、貴族がいなくなったことで皇帝独裁になり、しかも皇帝に仕えて政治を担うには、科挙と呼ばれる、儒教イデオロギーを徹底的に身につける試験をかいくぐらないといけなくなった。
 
――日本は、地理的にも中国と近く、あらゆる面で大きな影響を受けてきました。また、日本もいわゆる儒教文化圏という言い方をされることもあります。しかし、日本は宋の仕組み(中国化)を真似しそこねたと指摘されていますね。
 
那覇 唐の時代までは中国を意識的に真似してきたのですが、なぜか宋朝以降の中国の仕組みを受け入れなかった。そして、江戸時代という、中国とはまた別の形の「独自の近代(近世)」を迎えることになります。思想史の研究者が明らかにしてきたことは、そもそも儒教社会をきちんとつくったといえるのは、中国と朝鮮王朝くらいで、日本の江戸時代は儒教社会などではないということです。現に、科挙制度ではなく身分制で社会が運営されていたように、個別の儒学者が何人かいても、政治の仕組み自体が儒教的に正当化されたり、設計されたりしたわけではなかった。むしろ、儒教の影響が出始めるのは幕末で、それは明治維新を通じて完成されていきます。要するに、日本は儒教化の後進国だったのです。
 
――本書の中に出てくるもうひとつのキーワードが「再江戸化」という言葉ですが、まず「江戸化」とはどのような意味でしょうか?
 
那覇 一言でいうと、一般庶民が「家産」で食べていくことです。江戸時代というのは、家ごとに仕事が与えられ、自分の家の生業をやれば食べていける社会だった。それまでの時代というのは、稲作が十分に普及していなかったため、農業だけで食べていける家はそんなにありませんでした。江戸時代になると、稲作が普及し、自分の家の田んぼを守れば、なんとか食べていける状況になりました。
 
――しかし、明治維新以降、産業革命で工業が発達しますね。
 
那覇 ところがそうなっても、もともと農家ベースであった家職制度を半ば強引に工業社会に適用させます。これを本書では「再江戸化」と呼んでいます。家職制度を強引に工業社会に適用させた例としては、2つあります。ひとつは主に男性対象で、終身雇用に代表される日本的経営で、一度就職をすれば、よほど悪いことをしない限り、定年まで食べていけるという仕組みですね。これは江戸時代では田んぼだったものが、会社に置き換わったのです。もうひとつが女性を狙い撃ちした、ほとんど強引なまでの離婚率の低さです。家族道徳を異様なほど強調して、一度結婚したら絶対に離婚をするなという仕組みを普及させた。この両者の組み合わせによって、もはや農村社会ではないにもかかわらず、家ごとに(夫が)ひとつの仕事さえきちんとやれば、最低限ご飯は食べられるという江戸時代のような社会を無理やり延命させた。しかし、リストラや離婚が日常茶飯事になった今の日本は、この「再江戸化」も限界に達して、「中国化」へと移行する局面にあるというのが、本書の主張です。
 
■日本人が江戸時代に憧れを抱く理由
 
――世間一般を見ると、江戸時代、小説やテレビドラマの題材になるなど、特に人気のある時代です。中には「江戸時代に生まれたかった」ということを言う人までいたりします。江戸時代を好む人の多くは、どこに魅力を感じているのでしょうか?
 
那覇 ひとつの理由は、先ほど説明した家職制度に見られるような安定性ではないでしょうか。つまり、やれる仕事は家ごとに決まっていて、大金を稼ぐことはできないけど、最低限食べることには困らない。もうひとつ、一方的な勝ち組と負け組に分かれるのが日本人は嫌いなんでしょうね。誰もがお互いに我慢しながらやっていくというのは、日本人がジーンとくるモラルなんです。その究極系が江戸時代なのですが、でも、それはある意味で、100パーセント満足している人が誰もいない社会です。たとえば、武士は政治的には威張っているけど貧乏で、商人は裕福だけど武士より身分が低いから、大名行列が通ると頭をさげなければならない。
 
――それに関連してですが、江戸時代の身分制度が、士農工商ではなかったというのは本当ですか?
 
那覇 学問的な近世史では昔から常識なのですが、江戸時代の身分制度が、士農工商の4分割だったというのは正確ではありません。
制度的には4分割というより、むしろ3大身分制でした。武士は当然一番上なのですが、残りは百姓と町人にわかれて、どちらが上の身分というのはなかった。しかも今の戸籍にあたる宗門人別帳のうち、村の台帳に載っている人が百姓で、町の台帳に載っている人が町人なので、百姓だからといって「農民」とは限らない。そもそも士農工商は漢文のフレーズです。士農工商の「士」を日本人は武士だと思っていますが、それは日本が儒教の導入が遅かった特殊な社会だからです。儒教社会である朝鮮や中国では、士は武士のことではなく士大夫の士です。つまり、科挙に受かって儒教思想をよりよく修め、国家に認められ、天下国家を担う人が士なんです。
 
――他にもプロの歴史学者と一般の歴史ファンでは、とらえ方が違うなというものはありますか?
 
那覇 本書でも書きましたが、それはもう戦国時代ですね(笑)。今も昔も戦国時代ファンは多いですが、多くの人が思っているような時代ではありません。どうしてあれだけ戦争をしていたか。それは食べ物がないから、食糧の奪い合いだったわけです。先ほども述べたように江戸時代初期の新田開発までは、稲作が完全には普及していないので、毎年、慢性的な大飢饉状態が続いていたのが戦国時代です。
 
――まさに生存競争を繰り広げていたと。
 
那覇 そうです。ドラマなどでは武将たちが高邁なビジョンを掲げ、それを競い合うカッコいい合戦の様子が描かれていますが、実情は、飢える寸前で、血みどろで食べ物の取り合いをしているのが戦国時代です。大河ドラマなんかよりも、たとえばアフリカの内戦のドキュメンタリーとかを見た方が、「本当の戦国時代」に近づけると思いますよ。逆にいうと、それを克服して生まれた秩序だったから、日本人はいつまでも「江戸化」を諦めきれない。
 
――本書は話題を呼んでいますが、一方で困った反響などはありますか?
 
那覇 タイトルだけを見て悪口を言うのはやめてほしいですね(笑)。もうひとつ、「中国化が優れていると著者は主張している」という誤読が多いです。中国のほうが歴史的には「進んだ」社会で、これからは日本も「再江戸化」が維持不可能になって、中国のような社会になるとは言っていますが、それが「良いものだ」とは一言も書いていません。そういう誤読をする方は、無意識のうちに「進んでいるというのは良いことだ」という価値観を前提にしている。それは要するに、人類は進歩しているという幻想を信じているということです。

 

帝国の残影 ―兵士・小津安二郎の昭和史

帝国の残影 ―兵士・小津安二郎の昭和史

紀元節@2672


   
追記)
皇紀に因縁つける人は西暦にも因縁つけるべきだよなあ
どっちも「神話」だし 9(^Д^)プギャーーーッ
しかし2000年代になって皇紀の計算が簡単になった。
昔は1940年の皇紀2600年から何年かで数えたもんだw