私はあんたの子犬じゃないんだ

時事深層
オリンパス社長解任劇、すべての真相を話そう
渦中のひと、ウッドフォード前社長の告白(1)
石黒千賀子
2011年10月26日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111025/223410/?mlt&rt=nocnt
(略)
 この会議の後、どうしても納得がいかず、再び森副社長をつかまえて聞いた。だが、曖昧な返答を繰り返す。私は業を煮やして、「あなたの上司は誰か」と問い詰めた。すると、思わぬ返答が戻ってきた。「菊川会長だ」と。
(略)
 しかし、それを聞いた菊川会長は、「無理だ。そんなことは日本の株主が許さない」と譲らない。そうするうち菊川会長が怒鳴り出した。あまりに失礼な物言いだったので、私も席から立ち上がり、「怒鳴るんじゃない。私はあんたの子犬じゃないんだ」と怒鳴り返した(ちなみに菊川会長のパソコンのスクリーンセーバーは2匹の子犬の画像だ)。そして、「CEOから降りないのなら、私が社長を退任させてもらう」と言った。

 これは彼らにとって好ましくない展開だった。私が辞任すれば、オリンパスの経営がいかにガバナンスに問題があるかが白日の下にさらされることになるからだ。この期に及んで、菊川会長はついに私の要求を承認した。

 (この時に涙を流してCEO退任を懇願したとの報道が日本で流れているが)それは、事実ではない。誰かに足でも折られたら涙を流すかもしれないが、こんなことで私は泣かない。

 2001年の社長就任から10年間にわたってオリンパスを率いてきた菊川会長が、ついにその権力をウッドフォード氏に明け渡した瞬間かと思われた。ところが、菊川会長に、そんな気はなかったようだ。

 そのことにウッドフォード氏が気付くのは、わずか1日後の9月30日のことだった。

追記)
コメント欄から

確かオリンパス取締役には、日経新聞専務と日経BP副社長を務めた方がいらっしゃるんでしたね。さすがはオリンパス、メディア対策がしっかりしています。日経新聞がどのような新聞であるのか、明らかになっていくことを楽しみにしています。

監査法人について言及していらっしゃる人へ。実は、オリンパスの以前の監査法人は、不明朗な買収について問題だと指摘しました。でも、オリンパスは単に、粉飾決算を容認する、もっとものわかりのよい別の監査法人と契約しなおしただけです。その監査法人とは、「人類史上まれにみる大規模な原子力災害を起こした東京電力は、それでも資産超過状態である」というデタラメな決算に無限定適正意見のお墨付きを与えた、新日本有限責任監査法人です。