アラン・ワイズマンは移民反対

未来都市フクシマ
今の経済システムは「エネルギー中毒者」だ 『人類が消えた世界』アラン・ワイズマン氏に聞く
上木貴博
2011年9月13日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110909/222545/
(略)
ワイズマン:実は現在、人口減少をテーマに取材を進めている。日本は人口減少を問題視して、アジアからの移民まで視野に入れている。だが、そんなことをすれば低賃金で働くから彼らに職を脅かされる人も出てくるだろう。先日ノルウェーで起きた悲劇にもこうした背景があった。

 人口減少を無理やり回避するより、ポジティブな現象としてとらえた方が良い。子供の数だって少ない方が手厚く育てられる。人口をダウンサイズしていく先駆者として日本は世界の先頭に立てばいい。

 フクシマの事故から教訓を得られるとすれば、自然は制御できないということ、そして自然と共生するには人口の上限があるということだ。そもそもの問題は、なぜあんな危険極まりない場所に原発を建てたか、だ。それは、あまりにも多くの人があまりにも多くのエネルギーを求めたからだろう。
 
9.11より3.11の方が重要な日付になる
 
―― 事故は20世紀型産業モデルの終焉を意味する。3.11をどう位置付けるか。
ワイズマン:米国では常に9.11が話題に上がるが、3.11の方が世界にとって重要な日付になるはずだ。自然を破壊すれば、我々は生きていけない。それなのに便利な生活を求めて、大地、海、空気を汚染してしまった。生活様式を江戸時代まで戻そうとは言わない。ただ、いずれ食料や水は人口増加に追いつけず不足する。畑を増やすために森林をこれ以上伐採するのは無理だし、そもそも人類は(酸素供給減として)森林にも頼っている。人口増加は人類にとって自殺行為になる。フクシマの原発事故はこうした現状に対する警告だ。