TPPは日本経済にイノベーションをもたらす

むかし「移民は日本にイノベーションをもたらす」とかいう議論があった。
激しい競争に投げ入れたら必死に生き残りを努力するだろうという『獅子我子谷底論』。
それを言っているのが農業はおろか企業で働いたことも無い元官僚。
昔は農業の専門家の意見として聞いていたが、今の親分は経産省
なにをかいわんや。
しかし、経産省の反論をまとめてくれたのはありがたいけど(^^;)

山下一仁
1955年岡山県笠岡市生まれ。
1977年東京大学法学部卒業、同年農水省入省。
1982年ミシガン大学にて応用経済学修士行政学修士
2005年東京大学農学博士、農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、食糧庁総務課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長等を歴任。
2008年農林水産省退職。経済産業研究所上席研究員

名称:独立行政法人経済産業研究所
住所:東京都千代田区霞が関1-3-1 経済産業省別館11階
理事:森川 正之 1959年7月生まれ神奈川県出身、元経済産業省大臣官房審議官
 
RIETI(独立行政法人経済産業研究所、英語名称:The Research Institute of Economy, Trade and Industry)は、2001年に設立された政策シンクタンクです。理論的・実証的な研究とともに政策現場とのシナジー効果を発揮して、エビデンスに基づく政策提言を行うことをミッションとしており、これまで10年間の活動を通じて内外から高い評価を得ています。

山下一仁の農業政策研究所
TPPは日本経済にイノベーションをもたらす 米中の“横暴”をけん制する機能も
山下一仁
2011年9月13日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110906/222485/?rt=nocnt
(略)
高齢化と人口減少で国内の農産物市場が縮小する中、貿易相手国に日本製農産物に課している輸入関税を撤廃してもらい輸出を振興しなければ、日本農業は衰退するしかない。農業にとっても、貿易自由化交渉は必要なのだ。
(略)
 これを回避するためには、アメリカ、豪州などと共に我が国がTPP交渉に参加し、アジア太平洋地域における貿易・投資に関する先進的なルールづくりを主導的に行い、中国を含めたその他の国にこれを広げていくことが効果的である。
(略)
 日本の利益をTPPに反映させ、その成果をWTOに持ち込むことができれば、日本の利益を世界のルールに反映することができる。
 
 そのためには、早急な交渉参加が必要である。もしTPP反対論者が主張するように、TPPが日本経済を破壊するのであれば、それこそ、TPPの交渉に積極的に参加し、日本経済にとって問題となるルールを排除することに努めるべきである。TPPが採用するルールは、アジア太平洋地域、さらには世界貿易・投資のルールとなることが予想される。
(略)
TPP反対論が犯している六つの誤り
 
 TPP反対論の骨子は、およそ以下の六つに整理できる。ほとんどが、想像で書いているだけの根拠のない主張である。

第1は、輸出を振興して経済を回復させたいアメリカが、TPPに日本を参加させ、日本市場を食い散らかそうとしているという主張だ。
 
 しかし、実際には日本がTPPに参加したいと言い出しただけで、アメリカが日本に参加を求めたわけではない。
 オバマ大統領がTPPに踏み込んだのは、米民主党最大の支持団体である労働組合が容認したためだ。労組が認めたのは、現在交渉中の9カ国に、日本や韓国のように工業分野で競争力のある国がないからである。オバマ大統領が日本を入れたTPP構想を打ち出していたら、労働組合連邦議会の議員が反対したに違いない。

(にゃんこのコメント)

 第2は、日本が一方的に不利な協定を押しつけられる、というものだ。
 
 こうした主張をする人は、国際法の基本――国際社会には世界政府は存在しない、世界は主権国家の集まりである――を知らないようだ。どの国も、他の国に対して国益に反することを無理強いすることはできない。
 もし交渉した結果、協定が国益に合わないと判断すれば、日本は参加しなければよい。協定に参加するのも自由だし、参加した後で協定の修正交渉を行なうこともできる。どうしてもということであれば、最終的には通知をするだけで脱退もできる。

(にゃんこのコメント)

 第3は、TPPに加わり関税が撤廃されると、農産物の価格が下がり、デフレが起きるという主張である。
 
 耐久消費財ならば、デフレになると買い控えが生じて総需要の減少が起きる。だが、毎日消費しなければならない食料品の場合、買い控えは起きない。あなたは来年食料品の値段が下がるまで、食べないで生きていけますか?
 これに関連して、農家が失業するという主張がある。まず、最も影響を受けると言われているコメ農家の9割は、本業が会社員の兼業農家年金生活者だ。どちらも失業はしない。また、アメリカやEUのように補助金を交付すれば、生産者は不利益を受けない。「戸別所得補償などの補助金非関税障壁として廃止されてしまう」と主張しているTPP批判本がある。これをアメリカの農業団体が聞いたら仰天するだろう。アメリカは、補助金による農業保護に最も力を入れている国だ。アメリカもEUも多数の自由貿易協定を結んでいるが、補助金は変更することなく交付している。TPPで農業補助金が廃止されることはあり得ない。

(にゃんこのコメント)

 第4は、地方自治体の公共事業が解放され、中小の土木会社が影響を受けるという主張だ。
 
 既に我が国は、WTOの政府調達協定(GPA)によってTPP参加国以上に開放している。TPPのような複数国間の協定では、参加国が共通の義務を負うことが基本である。日本だけがGPA以上の義務を負い、アメリカが義務を免れることはあり得ない。アメリカが日本に要求することは、必ずアメリカに返っていくのである。

(にゃんこのコメント)

 第5は「アメリカは、日本の厳しい労働基準を途上国並みに緩和させることを狙っている」という主張だ。
 
 アメリカは、労働や環境の基準が低い途上国が、それゆえに安い価格の産品をアメリカ向けに輸出することを、ソーシャル・ダンピングあるいはエコ・ダンピングと言って非難する。NAFTA北米自由貿易協定)に続き、アメリカはTPPに「貿易と労働」に関する協定を盛り込もうとしている。アメリカが意図しているのは、途上国の労働基準の引き上げである。
 日本に労働基準を下げさせて、日本からの輸入を増やそうとアメリカが考えるだろうか? また、もしアメリカが日本に労働基準を引き下げる要求した場合、その要求はアメリカにも返っていく。これをオバマ政権の最大の支持団体であるアメリカの労働組合が受け入れるだろうか。受け入れるわけがない。単純労働者の受け入れもあり得ない。

(にゃんこのコメント)

 第6は「アメリカが年次改革要望書の中で日本に要求していた規制緩和を認めさせられる」という議論だ。
 
 これが、混合診療の全面解禁による公的医療保険の給付範囲の縮小や株式会社の医療機関経営への参入などをもたらすとして、医療関係者の不安を煽っている。
 しかし、サービス交渉で自由化という場合、各国の国内規制を前提として、内外無差別の原則――国内の事業者と外国の事業者を同一に扱う――をどこまで認めるかが交渉の対象となる。TPPへの参加は、日本の医療制度、すなわち国内規制を変更するものではない。
 例外的に、各国の規制自体に踏み込み、その緩和を交渉対象にすることもある。また加盟国間における規制の統一を議論することもあり得る。しかし、アメリカの関心は、途上国の金融市場である。TPP反対論者が問題視している日本の医療規制――混合診療保険外診療を認めるかどうか――は、TPP参加国の関心事項となっていない。日本の医療規制にまで交渉が及ぶことは想定できない。

(にゃんこのコメント)

TPP反対論の構図と意図
 
 「影響を受ける」と主張する医療、地方の土木業界、労働組合などは、いずれも医療保険制度という規制、公共事業という補助金労働基準法などによって、守られてきた産業や関係者である。反対論者は「TPPが彼らの既得権益を奪うことになる」と不安をあおっているのである。しかし、TPPでそのような事態が生じる可能性は限りなくゼロに近い

(にゃんこのコメント)
以上のようにTPPによって国益を損ねる可能性がないとする根拠は無い。(正確には「ゼロに近い」だけど)どうして大丈夫だ〜と言い切れるのか非常に不思議である。

 しかし、農協は違う。関税が撤廃されれば、農産物価格は低下する。価格に応じて販売手数料収入が決まる農協は確実に影響を受ける。つまり、TPPで既得権益を侵される農協が、同じく既得権益を守られてきた医師会や建設業界など他の業界を巻き込もうとしているのが、TPP反対論の基本構図なのである

(にゃんこのコメント)
農協陰謀論ですね。アメリ陰謀論を否定しているくせにψ(`∇´)ψ

追記)
日経ビジネス読者リテラシーたけ〜!
これ実数で内容みてみたいなあ。組織票とかあんのかなあ。。。