海外メディアの野田評

『JAPANなニュース』はとても面白い。
海外記事の流し読みに便利というだけではなく、さりげなく考えさせるフックが気が利いている。
面白い記事はたいていフリーの人か、女性か、その両方が書いているw

JAPANなニュース 英語メディアが伝える日本
【第60回】 2011年8月31日 加藤祐子
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/politics/newsengw-20110830-01.html?pageIndex=1
(略)
 早いものでは(予定稿を用意してあったのか)決選投票の結果発表から約1時間の午後3時半ごろには長行記事が出ていました。たとえばAP通信のマルコム・フォスター記者は、野田氏について「財政保守として知られ」、「日米同盟を強力に支持してきた」ことや、「中国の経済成長を称えながらも、軍事力の拡大に懸念を表明してきた」ことも説明しています。
 米紙『ワシントン・ポスト』は社説で、「日本の政治家たち、新首相を決める またしても」と見出しからして皮肉たっぷりです。しかも出だしからいきなり「日本の有権者の意見が通るなら、新首相は前原誠司前外相だった」と。
(余談ですが、『ワシントン・ポスト』など一部の英米メディアによる前原氏プッシュはちょっと驚くほどです。前にもご紹介したように、同紙は今年1月に訪米した当時外相の前原氏を非常に好意的に取り上げていました。献金問題で外相を辞任した時には英紙『ガーディアン』も辞任は「損失だ」と惜しみ、英紙『フィナンシャル・タイムズ』も先月の時点で前原氏を次期総理と見込んでいるかのようなインタビュー記事を掲載していました。何はともあれ前原氏は、英語メディアへのアピールには大成功しているようです)

(にゃんこのコメント)
前原ってなんの実績も無いよね。
単に「タカ派的言動」「欧米に都合の良い政策案」が受けているだけでしょう。
欧米マスコミといっても所詮ポジションがあるわけでw

(略)
 同紙社説いわく、野田氏はその指導力で選ばれたのではなく、民主党内の内輪もめで選ばれたに過ぎないと。そして「ややナショナリスト」なため韓国や中国は「警戒している」と。「fiscal hawk(財政タカ派=財政保守、緊縮財政派)」でもあるため、野田氏が震災復興財源として消費税増税を掲げるのを評価するエコノミストもいるが、「ただでさえ輸出依存で内需を嫌う日本経済の矛盾をさらに悪化させるかもしれない」と。しかも野田氏の増税論がたとえ評価に値するとしても、「明確な政策目標のもとで党内の一致団結を図るのは無理かもしれないし、ましてや自民党が支配する参議院をも通過させるのは困難だろう」と。

(にゃんこのコメント)
WPすら増税が経済を破壊するのを懸念しているというのに、ニッケーとか完全に増税マンセーだけだからなあ

 その上で同紙社説は「日本は今でも世界第三位の経済大国だし、アメリカにとって今でもアジアで最も重要な同盟国だ。日本の政治膠着は、人口1億2600万人の島国のはるか彼方にも影響を与える。ゆえに、悲観論者たちの誤りを野田氏が証明し、総理大臣メリーゴーラウンドの回転速度を下げてくれるよう、私たちは期待している。ドジョウよ、おめでとう(Congratulations to the loach)。あるいは、長期政権となりますように」と結んでいます。
 皮肉にまみれてはいますが、日本の政治膠着が日本以外にも影響を与えるというのは、本当にその通りだと思います。そして「もうどうでもいいから。日本がどうでも、もう世界に影響ないから」と無視されないだけ、私たちは幸せなのだし、そう言われないうちに何とかとかしなくてはならないのだ、とも思うのです。

(にゃんこのコメント)
というか、現在の政治膠着が結果的に「台風やり過ごし戦略」になっていることは僥倖だ。欧米がいらだつくらい何もしない、のが日本の国益に適っていることに加藤さんは思いをいたすべきだな。膠着するってのは両論あるってことで、そんなときに独断で政策実行できてしまったら民主主義の否定だ。大統領制やら参院弱体化やらいう輩は議会が機能するのは気に喰わないといっているに等しい。

 さらに同紙は、前任の鳩山由紀夫氏や菅直人氏と比べて「まだ強大すぎる」官僚寄りで、特に財政についての考え方が財務省に近すぎると懸念するものの、「絶望は時期尚早すぎる。人気者でカリスマ性のある前原誠司前外相と手を結ぶことによって権力を握った野田氏のやり方は、期待できる」と書きます(またしてもここでも、WSJも「日米関係の強化を掲げ」てきた前原氏をプッシュ! 消費税増税に反対する前原氏が、野田首相の考えを変えさせるかもしれないとまで)。
(略)
上述した『ワシントン・ポスト』は野田氏の「ドジョウ」について皮肉たらたらでしたが、英誌『エコノミスト』は、「いたと思ったら明日にはもういない」一人に過ぎないと野田氏を一蹴する前に、ちょっと待ってと。新首相には「少なくとも二つ、これはと思える点がある」と評価しています。二つとは「健全な危機意識と、いい感じに自嘲的なユーモア感覚」だと。
この「自嘲的なユーモア感覚(self-deprecating sense of humour)」、つまり「自分で自分を笑える能力」というのは(少なくともイギリス人にとっては)、「いい奴」かどうかを計る上で、実にものすごく大事なポイントなのです。それだけに、それを『エコノミスト』が好意的に拾い上げているのは、日本人としては「はあ、やれやれ」です。

(にゃんこのコメント)
エコノミスト』に評価されると逆に心配なんだがw

フィナンシャル・タイムズ』が社説で次のように書いていた、その耳痛い仰せの通りなのですから。
「国民にも一定の責任はある。首相が新しくなるたびに、世論調査は同じように動く。出だしの人気はとても高いのだが、数カ月もたつと国民は飽きてしまい、党は、選挙の足かせと思うようになったリーダーをお払い箱にしなくてはと考える。もっとしっかりした政治指導者を求めるなら、国民の側ももっと我慢強くならなくてはならない。政党の側はあいまいな世論調査結果など無視するべきだし(日本ではその調査手法からして疑わしい)、何かまとまった仕事ができるだけの時間を自分たちのトップに与えるべきだ」

(にゃんこのコメント)
おお、さすが『フィナンシャル・タイムズ』。日本の世論調査って信用できないよねw