がんばれトロンたん!

JAXA、名大と開発したトロン準拠OSをH2Bロケットに搭載
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201107150019.html
 宇宙航空研究開発機構JAXA)は名古屋大学大学院と共同開発したOS(基本ソフト)を国産大型ロケット「H2B」に載せ、来春に打ち上げる。日本生まれの組み込みOS「トロン」に準拠したもので、制御コンピューターなどに使われる。トロンに準拠しJAXAが開発した宇宙機OSがロケットに採用されるのは初めて。JAXAでは地上試験で海外製OSよりも信頼性が高いことを確認ずみとしている。


 開発されたOSは、制御系コンピューターの組み込み用リアルタイムOSとして使われる「μITRON(マイクロアイトロン)4・0」に準拠、宇宙用マイクロプロセッサー「HR5000」上でも動く。このOSはデジタルカメラや携帯電話、ファクスといった情報端末などに広く使われているトロンOSで、用途に応じて種類があり、マイクロアイトロンはその代表格。


 トロンなどリアルタイムOSは消費電力がパソコンOSの10分の1程度と小さく、搭載機器を小型化できたり、寿命も長くできるなど特徴がある。


 宇宙機には「VxWorks」や「pS0S」といった海外製の有償の汎用リアルタイムOSが普及している。しかし、無償のトロンはその特徴とオープンアーキテクチャーにすぐれ、ここ数年、宇宙機への採用が増えつつある。


 今回開発されたOSはH2Bに搭載される新型の誘導制御計算機と慣性センサーユニットに採用された。同OSは2005年に開発に着手し、08年に完成。そのコア(中核)部分は名古屋大院情報科学研究科組み込みシステム研究室と共同で開発した。完成後、この3年間、地上試験を行い、安全性や信頼性の確認をしたという。


 JAXAによると、海外製汎用リアルタイムOSはVxWorksの場合、検証試験に時間とコストがかかる。JAXAが来春に打ち上げるH2Bは、国際宇宙ステーション(ISS)に補給物資を運ぶ「HTVこうのとり)」3号機を搭載する。


 今後、新型OSの採用を他の宇宙機にも広げていく考えだ。