労働者大競争


 
日本の場合は中国人貧民と仕事の取り合いをしなきゃならないということだ。
 

2011年2月8日(火)
働き方が変わる! クラウドソーシングがもたらす衝撃
米国の労働者は、途上国の低賃金労働者との競争へ
Rachael King(Bloomberg Businessweek記者、サンフランシスコ)
米国時間2011年2月1日更新「 Meet the Microworkers 」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110207/218327/
http://www.businessweek.com/technology/content/jan2011/tc20110131_021287.htm
 
(略)
 業務を細分化し、インターネットを使って仕事の担い手を探す。こうしたビジネスモデルは、約10年前に米クラウドソーシング会社ライブオップスが初めて事業化した。ライブオップスはコールセンターの働き手と契約を結び、コールセンターに入った電話をインターネットで彼らに転送する。働き手には、30分単位で報酬を支払う。
 
 米アマゾン・ドット・コム(AMZN)は2005年、クラウドソーシングサービス「メカニカルターク」を開始した。メカニカルタークは依頼した仕事に応じて報酬(多くの場合、50セント以下の少額報酬)を支払う。依頼する業務は、ウェブページの記載内容に誤りがないかの確認や、録音データの文字起こしなどの簡単な作業だ。
 
 こうしたビジネスは「クラウドソーシング」や「ヒューマンクラウド」、「マイクロワーク」など、さまざまな名称で呼ばれている。世界中の働き手を対象に、インターネットを使って短期のプロジェクトを依頼し、時給数ドル〜数百ドル(数百〜数万円)を支払う。仕事に要する時間は、数分で終わるものもあれば、数日かかるものもある。仕事を葉中する企業側には、さまざまなメリット――多くの働き手を集めてプロジェクトを早期に完了できる、ニッチな専門性を持つ人材を確保できる、無駄な出費を抑えられる、社内の資源を有効活用できるなど――がある。
 
 生活コストが高い欧米の労働者はクラウドソーシングによって、発展途上国の労働者と直接仕事を奪い合う事態に直面する。とはいえ、フリーランスで働く多くの人々は、場所や時間に制約されることなく、これまで以上に柔軟に働く機会を得られる。
(略)
米国なら2万ドルかかるアプリ開発新興国なら650ドルで済む
 
 トンガルの働き手の大半は米国の労働者だ。いっぽう、豪フリーランサー・ドット・コムや米イーランスなどの事業仲介サイトには、世界中の労働者が参加している。昨年、イーランスは約1億ドル(約82億円)分のクラウドソーシング業務を取り扱った。2010年第3四半期、イーランスが取り扱った計2450万ドル(約20億円)の業務のうち、イーランスから最も多く受注したのはインドの事業者だった。以下、米国、ウクライナパキスタン、ロシアの事業者が続いた。
 
 フリーランサー・ドット・コムのマット・バリーCEO(最高経営責任者)は「当社は主として、欧米先進国の中小企業と途上国の労働者との業務契約を仲介している」と語る。企業はiPhoneアプリ開発業務を、新興国の開発者に650ドル(5万3000円)で発注できる。米国の開発者に業務を依頼すると、2万ドル(約160万円)以上はかかる。
 
 企業が途上国の労働者に業務を容易に外注できるようになると、先進国の労働者は厳しい競争に直面することになる。国連機関の国際電気通信連合(ITU)によれば、世界のインターネット人口は2010年に20億人を超え、そのうち12億人は途上国の利用者が占めた。いっぽう2008年の世界銀行の報告によれば、途上国の人口の約95%は1日10ドル(約820円)以下で生活している。
 
 フリーランサー・ドット・コムのバリーCEOは「バングラデシュで30ドル(約2500円)と言ったら、10時間分の報酬に相当する。クラウドソーシングの業界はまだ誕生したばかりで、これから主流となっていくだろう。当社は米ネット競売大手イーベイ(EBAY)のような規模の業務を、オンデマンドで受けられる余裕がある」と語る。同社のサイトには、現在210万人の労働者が登録している。
 
クラウドソーシングの影響などで2014年までに130万人の雇用が失われる
 
 バリーCEOは「当社の事業は、今回の景気後退の中で急速に拡大した」と語る。IT(情報技術)業務アウトソーシングの利用が最初に急増したのは1990年代末のこと。「2000年問題」への対策が必要になった。ITアウトソーシングが本格的に普及したのは、その数年後、ITバブルが崩壊してからだ。クラウドソーシングが米国の労働市場にどの程度の影響を与えるかを示す統計データはない。とはいえ、インドなどの途上国へ仕事が異動していることが、米国の失業問題に影響を及ぼしている証が表れてきている。
  
 米戦略・技術コンサルティング会社ハケット・グループ(HCKT)は2010年12月に発表したリポートで、「海外への業務外注や生産性向上、景気低迷によって、2008年以降、ITや金融などの分野で約110万人の雇用が失われた。さらに、2014年までに130万人の雇用喪失が予想される。その最大の要因は海外への業務外注だ」と指摘している。
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