産業スパイ


 
社員の管理、なら強制できる。
しかし元社員の行動をどういう理屈で制約できるのか、監視できるのか。
これは公務員や裁判員守秘義務が参考になるのではないか。
業務上知りえた秘密は退職後も守秘義務があると念書を取る。破ったら民事で訴えるぞ。
それでもやるやつは確信犯なのでマークしやすいだろう。
問題は忠誠心のない外国人社員だ。
そもそもなぜ自衛隊警察庁は外国人を採用しないのか。
ダブルロイヤルティの問題があるからだ。
しかしいまや民間企業でも本質的にはおなじ問題を抱えているのだ。
グローバリズムによって国家の解体ではなく企業の国家化が進んでいる。
政治・民族・歴史と経済活動は別、なんて冷戦時代下昭和元禄団塊感性ではやっていけないのだ。

2011年1月26日(水)
ルノー情報流出、日本の備えは?
細田孝宏(日経ビジネス記者)、吉野次郎(日経ビジネス記者)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110121/218085/
(略)
ただし限界はある。仮に海外拠点で情報漏洩が起きれば、日本の司法機関がその捜査を担うのは難しい。提携相手が海外企業だった場合、営業秘密がどちらに属するのか判断するのは簡単ではない。グローバル化によって産業スパイ対応は複雑化している。
(略) 日本が抱える問題はこれだけではない。ノウハウを持った「従業員の引き抜き」という法律には触れない事態への対処も迫られている。
 大手自動車メーカーの技術者Aさんの自宅には、ここ数年、スーツ姿の見知らぬ男がたびたび訪れている。いずれも韓国もしくは中国企業の意を受けたヘッドハンターだ。「自分の会社に愛着がある。移るつもりはない」と断っているが、来訪は続いている。
 こうした話は電機業界でも聞かれる。「リストラされた技術者が、こぞって韓国メーカーに移った」「年俸3億円で技術者が引き抜かれた。過去最高額ではないか」「月曜日の朝に当社の社員が帰国するのを空港で見かけた。週末、海外企業で技術指導をして小遣い稼ぎをしているようだ」。そんな噂がまことしやかにささやかれている。
 特に企業が頭を悩ませているのが、退職者の扱いだ。経産省の実施した調査によると、国内拠点から人を介して技術が流出したケースのうち、最も多かったのが日本人退職者によるもので全体の49.1%に達する。企業の秘密情報に絡んだ民事訴訟件数も年々増加傾向にあり、その過半数に退職者が関わるなど、対策が急務となっている。
 経産省では、定年などで退職した人材の海外流出を抑えることを1つの目的として、今年3月から技術伝承の支援に乗り出す。後進を指導するセミナーを開催する企業や自治体に資金を提供し、工場長や開発現場のリーダーなどの経験者を講師として招く。退職後の活躍の場を広げるのが狙いだ。
 ただ総予算はわずか1億円。講師に支払える人件費は1日当たり数万〜十数万円にとどまる。韓国企業などが数千万〜1億円といった年俸を提示し日本人退職者を招くことを考えると、金銭面で太刀打ちするのは難しいと見られている。海外メーカーが提示する好待遇の誘いを断るかどうかは、あくまで本人の意思によるのが実情だ。
 従業員の高い帰属意識が日本企業の特徴とされてきたが、情報管理においてはそんな“甘え”は許されなくなっている。