反日デモの背景には何があったのか(前編)

 
漏れは遠藤誉さんのチャイナウォッチは極めて信頼している。なにしろヲタクだしw
で「反日デモはやらせではない」なんて提灯記事じゃないか、と訝しく思い読み始めた。
しかし要するに「10月16日デモはやらせではない」という話だった。
それならば納得できる。
 
日本の一部に「反日デモはすべてやらせ」と論ずる人がいる。
反日意識はない」と言うわけではなく「デモはすべて中国政府がコントロールできる」と言っているわけだ。
しかし漏れは100%はないだろう、と思っていた。
よって遠藤さんの指摘は腑に落ちた。
 
漏れは3つの点でこの日中デモ合戦は画期的だったと思う。

1つ目は、このデモが日本のデモによって引き起こされたことだ。
ある意味で日本はチャイナの内政を撹乱できることを学習したわけだ。
 
2つ目は、日本の主張がリーズナブルでもチャイナは認めないことが明確になったことだ。
日本のデモは「日本国施政下の島を侵略から守れ」というものだった。
それ自体は文句のつけようもない。
(主催がウヨクだとか参加者は反中主義者だという指摘は反論にならない)
それでもチャイナ大衆は反中的だとして激昂するのである。
 
3つ目は、日本の左翼運動とチャイナの民族主義の予定調和が幻想であることが再確認されたことだ。
そんなことは半世紀前から明白だったと言う人もいるかもしれない。
しかしソ連崩壊後のニッポンサヨクは幻想の特定アジア(笑)連帯、つまり外国の民族主義に依存してきたのだ。
そんな弥縫策はもう通用しない。

反日デモの背景には何があったのか(前編)
中国政府のヤラセはあり得ない
遠藤誉
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20101124/217242/

(略)
 中国民間保釣聯合会は2003年に誕生したとき、「中国918愛国網」や「愛国者同盟網」などの応援を受けている。これらは海外の華人華僑とも大きなつながりを持つ。海外団体の中には必ずしも中国共産党の側に立たず、中には反共的な動きへとシフトしていったものさえある。例えば台湾の「反共愛国聯盟」などはその典型で、Ignatius DINGに代表されるサンフランシスコに居る華人華僑たちも、その傾向を持つ。

従って、愛国行動は、時として反中的ニュアンスを帯びるのである。これは天安門事件以来の愛国主義教育を受けた若者たちとは一線を画す群像だ。だから、政府は別の意味で警戒心を持っている。

(略)

 しかも面白い現象が起きている。

 デモ隊の中に、私服警官が混じっていたというのである。私服を着ていても、公安畑で仕事をしてきた者の目つきは異なる。ひと目でそれと分かる。おまけにその私服警官は、なんと私の知人の友人であった。

 彼らは何をしているかというと、デモ隊の中で「政府腐敗」などの内政関係のスローガンを叫んだ者をいち早く逮捕できるように協力することと、デモ行進の経路を、日本大使館前からできるだけそらせる役割をする。そして驚いたことに彼は突然、「アメリカ人はアジアから去れ!」、「アメリカは自分の国に帰れ!」と、非難の対象を「日本」から「アメリカ」に向けるスローガンを叫び出したというのである。

 日経ビジネスオンラインの連載記事「ネットは“中国式民主主義”を生むか」の中で筆者は「五毛党」に関して紹介したことがある。政府のために政府の都合のいいことをネットに書き込み政府寄りの世論を形成することに励むサクラだ。その意味で、この反日デモの私服警官は、まさにネットにおける五毛党に相当する。言うならば、デモ隊のサクラだ。

(略)

10月16日デモ:日本における反中デモへの対抗

 ところが予期せぬ事態が発生した。

 日本の一部の民間人が、日本で反中デモを始めたのである。特に10月16日に行なうと予告された反中デモは、中国のネット界で次から次へと伝播していった。中国でも反中デモの日時に合わせて、それに対抗した反日デモを行なおうという動きが水面下で動き始めた。

この画像の上から2行目の黒文字に「日本爆発大規模反華活動」という言葉があるのに注意していただきたい。

 そして10月16日、まさに日本で展開された反中デモと同じ時刻に、反日デモが勃発したのである。日本の反中デモに対する対抗デモ以外のなにものでもない。事実中国のネットには「対抗デモ」という言葉が躍った。

(略)

 また、このとき中国政府は、デモを阻止する手段を持ち合せていなかった。尖閣沖衝突事件で逮捕されていた中国漁船の船長は既に釈放されており(9月25日)、中国政府は対日姿勢を軟化させていたので、九一八のときのように「デモをあらかじめ防いでおいて、その代わりに対日強硬姿勢を示すことによって若者の不満を鎮める」という手法はもう取れなかった。政府が切り札を持っていないことも、学生たちは十分に心得ていた。だから日本の反中デモに合わせて10月16日にデモを決行することができたのだ。

10月16日デモ:中国政府のヤラセではない

 これに対して日本の一部の中国研究者は「10月16日のデモは中国政府のヤラセだ」という分析をした。大手のテレビ局あるいは新聞社までがそれに乗っかったのは誠に残念なことだ。

(略)