『火垂るの墓』@中国国営放送


   
何度も書くのだけれど、漏れはチャイナになにも後ろめたい気持ちは持っていない。
・「日中戦争」は中国側が仕掛けた
・人数は議論の余地はあるが日本軍が匪賊狩りで結果的に住民虐殺を行ったのは事実
・「反日」「反中」はそれで飯を食っている奴らの仕事。
と思っている。
漏れにとってチャイナはただの外国のひとつに過ぎない。
フツーに平和共栄してゆけば良いと思っている。
今回の尖閣諸島問題では普段は割とシンパシーを持っている保守系文化人までがはしゃいで”中国の脅威”なぞ語っているのを見てガッカリした。
まずは指桑罵塊を疑ってあんな分かりやすい挑発に軽々に乗ってはダメなのに。
というわけで、国慶節という時期に、当然休日で視聴率が高い時期に、尖閣問題の直後に、予定通りこの映画を放映したのは重要なメッセージだと思う。
チャイナの公定史観「日本軍国主義が悪い、日中人民はともに被害者」を再確認させて沈静化を図るチャイナ指導部としてはギリギリの妥協だと思う。
因みにこの整理から漏れはチャイナがヤスクニ問題に拘ることも理解できる。
漏れはヤスクニ参拝派だけどね。
 
ところで下記の中国人のコメントの「兄はどうして我慢しなかったんだ!」というのに禿同。
屈辱に耐えられなかったとか言うけど、そんなの死んじゃうことに比べて何だっていうんだ!
家族のために売春婦になって生き抜いた日本乙女をみならえ!!!
この話は野坂昭如の経験に基づくセミ・ノンフィクションらしいけど、実際には節子は死んではいないらしい。いくらなんでも政府が継続して社会崩壊しなかった日本で孤児にまったく救援がないというのは変だ。ヒモジカッタ!と話題になる終戦直後でも実際餓死した裁判官が珍しさで新聞ネタになるくらいなんだから、今日の北朝鮮やらルワンダやらとは訳が違う。わりとディテールがリアルな話なんだが、根本的に違和感がぬぐえず、漏れは泣けないのだった。(そしたら捻くれものとか冷たいとか言われた。。。)
  

火垂るの墓」が中国国営放送で国慶節の連休中に放映される
http://blog.livedoor.jp/kashikou/
泣ける、鬱になるアニメとしてもよく名前が挙がる作品の一つである「火垂るの墓」が中国国営放送CCTVの6チャンネルで放映されたと言う情報を教えていただきました。ありがたやありがたや。

今の御時世、中国で「火垂るの墓」が放映されるのはかなり意外ですが、それ以上に意外だったのが中国の建国記念日である国慶節の連休2日目である10月2日に放映されたということですね。

国慶節の連休期間中に中国で放映されるのは建国関係などの愛国系(というのもヘンな括りかもしれませんが)の作品が多いので、日本の映画で第二次世界大戦モノ、しかも中国国産重視による規制が入り放映の少なくなっている日本のアニメが放映されるのはかなり珍しいように思えます。

中国で放映されるテレビ番組は上の方の意向がかなり反映されるのですが、このタイミングと昨今の情勢の中、国営放送であえて日本のアニメ映画、しかも「火垂るの墓」が放映されるということは、中の人もイロイロと大変なのかなーと考えてしまいますね。

まぁそれはさておき、「火垂るの墓」はテレビ放映でしたから見た人間も多いようで、中国オタクの間でもかなり話題になっているようです。
やはり「火垂るの墓」の悲しいストーリーを見て泣いたり鬱になったりしたのが多いようで、中国のソッチ系の掲示板ではそういった感じの感想が飛び交っていました。

今回は長文感想も多く見かけたのですが、とりあえずその中で紹介しやすい長さのものを幾つか、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
  

火垂るの墓を見たが、涙が止まらん。
こんなに泣いたのは久しぶりだ。
無辜の兄妹がどうしてあんな目に遭わなければならなかったのか。
 
私は昔学校で見たから、昨日見たのは2回目だ。
しかしそれでも泣けた。やはり名作は何度見ても同じだと思ったよ。
 
こんなに泣ける映画って初めてだ。
そして思いっきり泣いて見終わったあとでも、なんというかモヤモヤした感じがずっと消えない。
いまだに節子の笑顔が脳裏から消えない。清太は節子のためにあんなに頑張ったのに、節子はあんなに清太のことを思っていたのに……
 
良い作品だ。思わず泣いてしまった。
ただ、全ての日本人が悪人ではないし、戦争で日本の無辜の人間の命がたくさん失われたのも理解しているけど、その戦争で日本が軍国主義のもと、多くの中国の人間を殺したり家庭を壊したりしたのを思うと複雑な気分になってしまうね。
 
ドロップがつまったカンはまさに彼等の生活の象徴だったように思える。
ドロップが一つ少なくなるたびに、彼等の生活は追い詰められていく。
ドロップが無くなった時が彼等の進める道が無くなった時だった。
ドロップが無くなったあとのカンで作ったドロップくずの砂糖水、
それを飲んだ節子は幸せそうな笑顔を浮かべていた。
でも、それを見たとき私は本当にやるせない気持ちになった。
 
涙が零れ落ちてしょうがない作品だった。
でも一つだけ納得いかないのが清太がおばさんの家を出たことだ。
清太が苦労していたのは分かるが、節子が死んでしまう原因を作ったのは兄である清太だよ。
 
なんで妹の為に耐えられなかったのか、貯金をもっと早く下ろさなかったのかとか思ってしまうよね。
少しでも節子に食べ物をあげられれば、死ぬ前におはじきをドロップだと思って口に入れることはなかったかもしれないのに。
 
清太もやはり男としての尊厳があったんじゃないかな。彼は目先の安逸をむさぽることに耐えられなかったのかもしれない。
 
確かに男としての意地や尊厳ということも少し理解できるが、それでも兄としては考えが無さ過ぎるよ。
なぜ戦争中の厳しい環境で、おばさんの家を出て、まだ小さい妹と一緒に生きていけると思ったんだ。
 
節子がおはじきをドロップだと思って口に入れているシーンは本当に見るのがつらかったよ。
そしてそんなときでも、清太にご飯だと思い込んだ石をあげようとするんだから……
 
高畑監督が描写するあの兄妹の短い、そして悲惨な一生は戦争中の多くの子供、戦争中の多くの家庭の受けた苦痛がいかに大きかったかを直接的、間接的に映し出している。
平和の尊さを痛切に感じるし、それが難しいと分かってはいても、世界に戦争が起こらないことを祈らずにはいられない。
火垂るの墓」は名作だと思う。自分は様々なことを考えさせられた。
ただ、もう一度見たいとは思えない。もう一度見るには悲しすぎる話だ……

 
とまぁ、こんな感じで。
また例のドロップについてはやはり気になっている人も多かったようで
 

「あのドロップ缶ってどこかで売っているの?記念に手元に欲しい」
 
「輸入食品を取り扱っている所なら手に入るよ。15〜20元(約210〜280円)くらいだったかな」
 
「ドロップ缶なら、中国の優質良品でも取り扱っているね」
 
「作中に出たのはサクマ式ドロップスの商品だね。戦争中に砂糖が入手できず発売できなくなったらしいけど、戦後に復活してそれから今までずっと続いている商品らしい。以前ネット通販で火垂るの墓パッケージ版のも見たことがある」

 

 
といったやり取りも見かけました。
 
今回の「火垂るの墓」の放映は中国のネットでかなりすごい勢いで話題になったそうで、放映の次の日に中国の最大手掲示板である百度貼ba(「ba」は口+巴、以下「ba」は全てその字です)では、各話題の勢いが分かる「本日の最速上昇baランキング」(「ba」というのは中国の掲示板の区切りで、感覚としては2ちゃんねるの「板」よりも小規模な区切りでしょうか)でもトップに躍り出たそうです。