キンドル「印税70%」の衝撃

 

   
アマゾンは出版社ではない。著作者がひとり出版社になるわけだ。
これならレガシー出版社も文句を言えない。
有料ブログと同じだからね。
それにしても漏れのような素人ですら思いつく戦略を日本の家電企業はなぜ実現できないのだろう?
まえから言っているように、ネットブックストアなんて作らなくてよいのだ。
出版社なんか相手にする前に、著作権切れデータと同人をとりこんで先にプラットホームをつくっちゃえばよかったのだ。
やっぱり大人の事情ですか?それともほんとうにバカなの?死ぬの?
 
漏れは損正義という企業家が嫌いだ。トロンの恨み晴らさでおくべきか〜!
でもその戦略的な挙動はドコモのサラリーマン社長に比べて清清しいくらいだ。(USENはだめになっちゃったけど)
結局これも構図は同じなんだよね。
ソフトバンクボーダフォンの外圧参入だった。
出版団体もなさけない。
漏れは紀伊国屋ブックショップを利用していたけどもうアマゾンに乗り換えた。
送料や品揃えやレスポンスでこれだけサービスに差がついてしまってはいくら”民族派ウヨク”の漏れでも我慢はできない。
スタート時点では変わらなかったのに、負けたのは、最初は赤字でもどんどん金をかけたかどうかなんだろう。
紀伊国屋に金を貸さない銀行も悪いが、ビジネスモデルを本屋の副業にしか捕らえられなかった日本の会社の限界だろう。
ここでも既存スタイルにぶらさがっているサラリーマンの悪弊だ。
出版社がやるべきだったのは、アマゾンとソニーの選択ではなくて、独自のフォーマットでデファクトスタンダードを確立することだったのだ。
そして自前の資本で単機能でいいから安価な端末会社を立ち上げることだったのだ。
正直ハードなんかどこでもよかったのだ。
ほんとバカだなあ。
音楽・出版・マスゴミ・・・み〜んなおんなじパターンで負け続ける。
大東亜戦争末期の日本軍みたいだ。
   

キンドル「印税70%」の衝撃 不況の出版界には大脅威
2010/1/22 20:46
http://www.j-cast.com/2010/01/22058564.html
 

キンドル」の電子書籍について米アマゾンが発表したのは、印税を35%から70%に条件付きで引き上げるという衝撃的なものだった。著作者を囲い込む作戦とみられており、既存の出版社には脅威となりそうだ。
   
「コンテンツをより豊富にすることですね。品揃えを充実させたいと考えています」
印税7割の狙いについて、アマゾン・ジャパンの広報担当者は、こう明かす。
   
著作者を囲い込んで紙の書籍を駆逐
      
 米アマゾンが2010年1月20日発表した印税の追加オプションは、価格破壊で一気にシェアを拡大しようとするものだった。印税を2倍にも引き上げる代わりに、書籍の販売価格を安く設定できるようにしたのだ。
  
 印税7割の条件として、販売価格を2.99〜9.99ドルに据え置き、紙の書籍の最安値より2割引以上にすること、ほかの電子出版サービスより安くできるようにすることなどが挙げられている。
 
 つまり、著作者を囲い込んで紙の書籍を駆逐し、電子書籍でも覇者になろうという意図が見え隠れしている。これまでの印税35%の枠組みは残して利益を確保しながら、バーゲンセール品で売り上げを伸ばそうという作戦らしい。
 
メディアジャーナリストの津田大介さんは、こう分析する。
  
「印税が高くなりますので、書籍を安くすることができます。それで、類似業者の価格競争に勝とうと、出版業界で最安値にしたわけです。高い印税を払う代わりに、アマゾンは、音声ブック化など書籍を自由に利用できるように縛りもかけています。著者を囲い込み、市場も押さえようとする、一石二鳥のうまいやり方だなと思います」
 キンドルは、アメリカでは6割のシェアがあり、2位のソニーなどをさらに引き離そうというわけだ。
 
「著作者が出版社より強くなる」
 
 この時期にアマゾンが印税を上げた理由として、米アップル社が電子書籍も扱うタブレット型端末を発売するとみられていることがある。同社では、記者を招いて2010年1月27日に特別イベントを予定しており、その前に先手を打とうとしているのではないかということだ。
 
 津田大介さんは、「ネット上のアップルストアでは、アプリの開発者に販売価格の7割を支払っています。新しいタブレット型端末では、著作者についても同じルールを適用しそうなので、アップルを牽制しようとしたのでしょう」と解説する。
 
 日本向けには、キンドルが09年10月から米アマゾン社サイトで売られているが、日本語版はまだ出ていない。また、10年6月30日から導入される印税7割は、今のところアメリカ国内だけだ。
 
 今後、日本の出版界にどのような影響があるのか。
 
 大手出版社では、キンドルなどに対抗して、日本電子書籍出版社協会を2月にも設立することを明らかにしている。そこでは、出版社の不利にならないように、書籍をデジタル化で2次利用できるよう模索しているようだ。
 
 津田さんは、日本の出版社が海外の動きを様子見しているとみる。
 
「アマゾンやアップルなど、どこが勝つのかを見て、強いところと結びつこうと考えているようです。しかし、今からでは手遅れの面があり、アマゾンなどと組めるとは限りませんね。著作者は、確実にアマゾンなどを選ぶ選択肢ができますし、出版社に比べて相対的に強くなります。今年は、著作者の動きが顕著に見られる年になるでしょうね」

 

池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第99回
 
日本は電子ブック戦争になぜ敗れたのか
2010年01月06日 10時00分更新
http://ascii.jp/elem/000/000/487/487838/index-2.html
文● 池田信夫/経済学者
 
.今年は「電子ブック元年」
 
 アップルが1月下旬に「タブレット型デバイス」を発表する、とウォールストリート・ジャーナルが報じている。アップルがこのような端末を開発しているという噂は以前からあったので、これはそれほど意外なニュースではない。アップルが正式にコメントしていないので正確なことはわからないが、10インチ程度のタッチパネルを備えた端末になるという。今のiPhoneの面積を4倍ぐらいにしたような感じだろうか。
 
日本でも入手可能になったが、日本語のコンテンツは現時点でほぼゼロの「Kindle
 
 他方アマゾンのKindleは好調で、昨年のアメリカ国内の電子書籍の売り上げが普通の書籍を上回ったとアマゾンは発表した。電子書店2位のバーンズ・アンド・ノーブルも昨年、独自端末「nook」を発表するなど、書籍の紙から電子への移行は急速に進んでおり、今年は「電子ブック元年」になりそうだ。業界第2位の「Sony Reader」も欧米では好調で、Google Booksと提携して100万アイテム以上の本が読める。
 
 ただ懸念されるのは、Kindleが独自フォーマットで、そのファイルは他の端末では読めないことだ。Sony ReaderもnookもPDFであれば読めるが、Kindleのファイルは読めない。アマゾンはKindleを事実上の標準にして「電子ブックのマイクロソフト」をめざしているのかもしれないが、これは消費者にとっては迷惑な話だ。音楽配信ではアップルのiTunesが事実上の標準だが、日本で多いDRM付きのファイルはWindows Media Playerなどでは読めず、価格も1曲150円程度に高止まりしている。
 
 このように先行するメーカーが垂直統合型の規格を独自規格にするのは当然で、そうしないと投資の収益が見込めない。PCも最初は各社バラバラの規格だったし、通信プロトコルも1980年代までは各社バラバラだった。しかしPCの場合には、IBM PCによって(期せずして)オープン・アーキテクチャができ、通信の場合にはインターネットでオープン・スタンダードができたことによって爆発的に普及した。電子ブックが今のように「バルカン化」した状態では、市場の大きな発展は望めない。
 
電子ブックで鎖国する日本
  
 さらに問題なのは日本だ。かつてソニーは日本でも電子ブックリーダーを発売していたが、アイテムが増えなかったため撤退した。今回もGoogle Booksをめぐる和解で、事実上英米圏の本以外は除外されることになったため、日本での発売はきわめて困難になった。Kindleも日本では端末は売っているが、日本語の本は購入できない。その原因は権利者団体が異常にうるさいことと、流通機構が古いことだ。

 日本の本は再販制度という価格カルテルが例外的に認められているため価格の設定権が小売店にない。このためKindleのように、アマゾンが電子版を紙の半分以下の価格で売ることはできないのだ。こうした古い流通機構は、本という在庫リスクの大きな商品を小さな小売店が扱うためには、それなりに役立った面もある。小売店に代わって取次が商品を選んで返品自由の委託販売とし、取次がリスクを負担する代わり大きな利益を取ったのだ。

 しかし電子ブックには在庫リスクなんてないのだから、こんな不合理なシステムを守る必要はない。それなのに彼らはアマゾンの参入を求めようとしない。ここで販売力の大きいアマゾンの参入を認めると、それをきっかけにして日本の書籍流通機構が崩壊することを恐れているのだ。そうこうしているうちに、世界の本の主流は電子ブックになるだろう。2009年は全世界で520万台だった端末は、2013年には2200万台になると予想されている。

 このままでは、日本は置き去りだ。要素技術はすぐれたものを持ちながら企業に戦略がなく、既得権を守ろうとしているうちにプラットフォームを海外のメーカーに取られてしまう失敗は、音楽配信のときも経験したが、彼らは懲りていないようだ。そのときついた差が、今度の電子ブックでさらに大きくなるだろう。このままでは日本の家電メーカーは、アマゾンやアップルの下請けとして生き延びるしかない。
 

 

出版大手21社が新法人 電子書籍化取り組み強める
2010/1/14 18:34
http://www.j-cast.com/2010/01/14057866.html
 
 電子書籍の普及が広がる中で、大手出版社21社が社団法人「日本電子書籍出版社協会」を立ち上げ、デジタル著作物の規格や著作権の在り方について協力して取り組みを強めていくことになった。
  
 調査会社インプレスR&Dによると、2008年度の国内電子書籍市場は464億円で、前の年に比べて31%も拡大した。アマゾンの電子書籍端末「キンドル」が日本でも2009年10月に売られはじめ、日本語版発売も噂されている。ソニー製「リーダー」も米国電子ブック市場で人気を博している。2010年は「電子書籍元年」という見方も広がってきた。
 
講談社や光文社、角川書店など21社が参加予定
  
 そんな中で、日本の出版社が2010年2月、一般社団法人「日本電子書籍出版協会」を立ち上げる。参加を予定しているのは、講談社や光文社、角川書店集英社文藝春秋など21社だ。参加出版社が書籍のシェアの9割に及ぶとも言われている。
 
 「日本電子書籍出版協会」の母体は、2000年に立ち上げられた任意団体「電子文庫出版社会」だ。同会が運営してきた電子書籍の販売サイト「電子文庫パブリ」を引き継ぐとともに、活動を拡大する。電子出版物の規格を整え、著作物の取り扱い窓口となることを想定している。場合によっては行政に働きかけていくことも考えられるという。
 
 参加する出版社のあるデジタル部門担当者は「電子書籍がどうあるべきか考えていく狙いがある。(電子書籍著作権の問題などで)出版社が知らないところで、一人歩きしてしまった部分もある。各社ごとの対応では及ばないこともあるが、こうした形なら発言力を強めることができるだろう」と話す。
 
雑誌デジタル化の推進組織も発足
 
 一方、日本雑誌協会は2009年7月、雑誌デジタル化の推進組織「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」を立ち上げた。日本雑誌協会に参加する出版社だけでなく、IT企業や携帯電話会社、広告代理店なども名を連ねた。コンソーシアムでは、雑誌専門のポータルサイトを構築したり、少額決済の仕組みを検討したりするとともに、デジタル化にともなう著作権処理のルール化も検討している。雑誌売上の伸び悩みがある中において新ビジネスモデルを模索し、2011年度の事業化を目指している。
 
 また、2009年4月には朝日新聞社が主体となった無料インターネット百科事典「コトバンク」が開設された。サイト内には出版社の枠を超えて、朝日新聞社「知恵蔵2009」、講談社「デジタル版日本人名大辞典+Plus」、小学館デジタル大辞泉」などが並んだ。発足時は44辞書・事典、合計43万項目を網羅。辞書休刊が相次ぐ中で、信頼性が高い大型用語サイトとして、フリー百科事典Wikipedia超えの期待が寄せられていた。
 

2010年02月13日
コンテンツ産業の「25%ルール」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/
 
私もいろいろな「コンテンツ産業」にかかわったが、この分野のいろいろな業界に共通している暗黙のルールがある。それはクリエイターには売り上げの25%しか還元されないというルールだ。出版の場合には、

小売:20%
取次:10%
印刷・製本:35%
出版社:25%
著者:10%

出版社の取る「仕切り」は会社によって違い、これは大手の場合だ。新しい会社が参入するのは事実上禁止だが、幽霊会社を買収して参入しても、小売と取次に半分近く取られるので、印税や印刷代を払うと出版社には10%ぐらいしか残らない。しかも返品リスクも版元が負うので、出版社はハイリスク・ローリターンのビジネスだ。映画の場合は、

映画館:50%
配給元:25%
プロダクション:25%

だからほとんどの映画は赤字で、DVDやタイアップなどで辛うじてトントンにしている。プロダクションで働いているのは映画の好きなボランティアの若者で、彼らのタダ働きが映像産業を支えている。この配分は、最近のシネコンなどでは変わったようだが、何も創造していない興行側の取り分が最大という構造は変わらない。
  
最悪なのはテレビで、「あるある大事典」の調査で明らかになったように、

番組単価1億円のうち電通:1500万円(15%)
地方局(電波料):4800万円(48%)
キー局:500万円(5%)
下請け:2340万円(24%)
孫請け:860万円(8%)

と実際に制作した孫請けプロダクションには、単価の1/12しか還元されない。これは何も仕事をしないで「電波料」を受け取っている地方局が、全体のほぼ半分を取っているからだ。これが典型的な日本的搾取の構造である。
  
その原因は、岸博幸氏などが取り違えているように「著作権の保護が弱い」からではない。問題は、流通のインフラが少数の業者に独占されているボトルネックである。だからシネコンのように流通が多様化すれば、制作側の取り分が増え、供給が増えて業界全体が大きくなる。
   
テレビの場合も、本来はIP放送によって制作側の取り分が増えるはずだったが、放送局が著作権を理由にしてIP放送を妨害しているため、搾取の構造は変わらない。ラジオはようやくIP放送をすることになったが、その受信はIPアドレスで判別して放送エリアに限定するという(そんなことできるのかどうかあやしいが)。
   
つまり著作権は技術的には存在しないボトルネックを法的に作り出して新規参入を妨害し、本源的なクリエイターを抑圧する装置になっているのである。このように権利者の名前をかたって既得権を強化しようとする文芸家協会のような自称権利者団体は、クリエイターの敵だ。彼らはネット上に数千万人いる著作者の0.1%にも満たない。
   
だから政府が補助金をばらまく「コンテンツ政策」にも意味がない。必要なのは、ボトルネック独占を排除してインフラの競争を作り出すことだ。流通が多様化すれば、インフラはコモディタイズしてクリエイターの力が相対的に強くなり、彼らがリスクもリターンも取ることができるようになる。電子出版でクリエイターにコントロール権を与えることは、既得権で囲い込まれているコンテンツ産業に風穴をあける可能性がある。