- 作者: 菊地章太
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 単行本
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菊地章太シリーズ。
老子と道教の関係についてモヤモヤしていたのがだいぶハッキリした。
こういうのって学説史を辿ると舞台裏から理解しやすくなるのかもね。
さて菊池さんのテーマ一貫して救世主なんだな。
悪魔、弥勒菩薩、老子。
研究対象はすべてこの世の苦しみからの救済を願う庶民の偶像だ。
だからここで説かれる老子も革命家、転生の救済者である。
住井すゑの『橋のない川』を並置するのもむべなるかな。
・『老子』の作者を老子と断定したのは司馬遷(BC145-86)『史記』が最古
・老子は南中国的?(楚)、道は名付けられないもの
・荊門市郭店遺跡の竹簡(BC3-4)、長沙市馬王堆の帛書(BC2-3)
・後漢の桓帝(AD146-167)が黄老思想にはまり辺韶に『老子銘』をつくらせる。老子神になる。
・敦煌で発見された『老子変化経』「わたしは強いものと弱いものをはかりにかけ、価値と負けを入れ替えよう」
・老子→太上老君→元始天尊。救世主としての「李弘」。変生思想・老子九変
・張角(?-184)の太平道、張陵(?-177)の五斗米道は黄老思想らしい
・太平道→黄巾の乱(184)→滅亡、五斗米道→同年の反乱後帰順→正一教として現代に続く
追記)
おもしろかったのは儒家が老子を権威付けに利用していたという指摘。
『儒教ルサンチマンの宗教』の浅野祐一先生が参照されている。わかるわぁ。
追記)
それにしても、組織化された宗教としての道教はやっぱり3C頃興隆したみたいだな。
ということは卑弥呼がかぶれていたとしても、やっぱり神道そのものとはいえないな。
神道は、道教や仏教で理論武装したけど、本体はもともとあったわけだから。