もう一つの三国志

  

もう一つの『三國志』  ―「演義が語らない異民族との戦い―

もう一つの『三國志』 ―「演義が語らない異民族との戦い―

  
国史が苦手だ。
あまりに散文的で面倒くさいというのもあるが、中華圏では歴史=思想=中華思想だから、”中国人”の自己宣伝という側面を排除しにくく目測が効きにくいのだ。まぁ欧州人がギリシアマンセーするのも似たようなものではあるが。
それにしても映画化された三国志なぞ見ると、整然としたユニフォームに身を包んだプロ集団の軍隊どうしの決戦ばかり描かれており、激しい違和感に襲われる。まず、大量生産のユニフォームなんかないでしょ。高級な甲冑着られるのは一部のひとだけでしょ。そもそも軍隊の大部分は強制連行(^_^)された農民でしょ。その家族取り巻きキャンプフォロワーがごちゃごちゃいたはずでしょ。当時の三国は文化・民族・言語が違っているはずでしょ。民衆がぜんぜん出てこないけどおかしいでしょ。風俗習慣は漢民族とぜんぜん違ったはずでしょ。などなど。
というわけで、異民族の海に佇立する自称漢民族=文明人というヤクザ集団の歴史、という身も蓋もない視点でこの時代を勉強したかったんだが、その一助となった本。