- 作者: 上山安敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/01/09
- メディア: 文庫
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漏れは日本の仏教は仏教じゃないと感じていた。もっと原始的な自然崇拝が本体で、それが経典宗教に覆われているだけではないかと。
同じようにキリスト教というのも、経典の厳密さに関わらず、実際にはずいぶん習合的なものだと感じてきた。
旅をしていて違和感を感じたのはマリア信仰であり、悪魔やら精霊やらであり、エジプト趣味などであった。
つねづねそれをメソポタミアの大地母神信仰やケルト・ゲルマンの原始宗教との関連から整理したいと思っていたが、本書は「魔女」をキーにきれいに纏めてくれる。
ところでこの本はまじめな一般向け啓蒙書なので野卑な言い方はしていないが、女神信仰に「性的オルギア」がつきものって書いてある。オルギアのオルギってオルガムスのオルギだしポルノでオルギー/オージー(orgy)といえばずばり乱交だよね。(*^_^*)
ところで、古代ユダヤ民族はもともとオリエントの神「モロク・アスタルテ崇拝」をしていたが、改革派のヤハウェ信仰が闘争をしかけたというのが真相らしい。
もっともモロク(王)というのは神名ではなくて、どうもバール神への供犠のことを指しているらしいし、アスタルテ(恥)はアナト女神を指す蔑称のようだから、ようするに単純にメソポタミアの「バール・アナト」信仰だったということだ。バールとアナトは兄妹で夫婦なのだ。イザナギ・イザナミと同じですね。
で、その画像。バールもアナトも普通に人間型。後に装飾がつくけど。モロク焼却炉が牛型なのは、神のもう一つの属性である牛型を示しているのかもしれない。牛は肉食じゃないのにね。アナトリアの最古の宗教遺跡では牛がモチーフになっていた。メソポタミアの神々は牛の角ヘルメットを被っていて角が多いほど偉い。インド同様、牛は神の化身という観念があったのだろう。神は牛にして人なのだ。やがて牛は没落して人間と分離したりミノタウロスになったり悪魔になったりするが。
バール神(主) アナト女神
モロク(=生け贄焼却炉?)
その後のバール神、ミノタウロス 悪魔(山羊は牛ですよ)