稲作渡来民

   

稲作渡来民 「日本人」成立の謎に迫る (講談社選書メチエ)

稲作渡来民 「日本人」成立の謎に迫る (講談社選書メチエ)

    
著者は1936年生まれの農学者。したがって歴史は専門ではないことになるが、素人ながら最新の学説に目配りし、極めてバランスの良い書となっている。特に漏れのように、古代中国史春秋戦国時代の大陸と日本の関係を中心に考える人間からすると、従来の日本古代史は「朝鮮」に拘りすぎる反面、いきなり雲南やら南洋に飛びすぎていて些か不満だった。その点、池橋氏は自戒され、「弥生人」=稲作民の来歴にポイントを絞って描くことで、話が拡散したりリアリティを喪失するのを防いでいる。そのため逆に日本古代から大陸・半島史が身近に感じられるという嬉しい副産物もついてくる。
 
さて、