女系天皇は天皇制打倒のための手段

nyankosensee2007-10-01

      
世の中には「女系天皇」などと語義矛盾した言葉を口にして
なんとも思わないアホがたくさんいる。
歴史マニアとしてはヒジョーに気持ち悪い。
なのでここで整理する。
    
因みに僕の立場だが、
僕は皇室制度を支持しているが、
国民が廃止したいというならそれはそれでよいと思う。
ただし「女系天皇」などというイカサマは絶対に許せない。
イスラム教徒のローマ法王とかいうデタラメが許せますか?!

だから選択肢は 父系維持or天皇制廃止 なのです。

そもそも歴史的に天皇とは何者なのか、そこから。

【1】天皇=国王じゃありません。

天皇というのは「国王または皇帝の日本的な呼び方」ではありません。
天皇というのは日本にしかない地位です。

天皇=国王+祭司長 です。

国王=俗人、祭司長=聖職者 です。

つまり聖職者が元首を兼ねているのです。

もし天皇が単なる国王なら「女系継承」を否定しません。
しかし天皇を名乗る以上、その人は神道の祭司長でなければなりません。

【2】神道の祭司長の資格はその神様の子孫ということです。

この祭司長の資格が「アマテラスの子孫であること」です。

そして神道での子孫は父系を意味します。

だから天皇を名乗る以上父系継承を守らなければならないのです。

【3】天皇はある種の超能力者です。

何故天皇は「アマテラスの父系の子孫」でなければならないのか?

これを考えるには天皇はただの人間ではない(ことになっている)ことを
知らなければなりません。

誤解を恐れずに言えば、天皇とは一種の超能力者なのです。

「お祈りすることで祖先神と交信して国土を安寧にする超能力」
を持っていると考えられているのです。

この超能力が父系で継承される、というのが神道上のドグマです。
譬えて言えば特異体質が父系で遺伝するようなものです。

宗教のことなのでなぜ考えるのか文句を言っても仕方ありません。
キリストが死後復活したというドグマを信じなければキリスト教とは言えないの
と同じです。

この継承原理は天皇に限りません。
神道では神のスピリチュアルパワーは父から子へ子孫に伝わる。
だからそのパワーを持っている子孫が先祖を祀るのが原則です。
これが天皇万世一系である(なければいけない)理由です。

【4】天皇の資格には直系傍系人格優劣は関係ありません。

天皇の資格(必要条件)が一種の特異体質のようなものだとすれば、
どんなに優れた近縁者でもこの体質をもっていなければ資格はなく、
どんなに劣った遠縁者でもこの体質をもっているならば資格はある、
ということになります。

くどいようですが、近縁の皇族が死に絶えて、
どこからか何の教育も受けていない父系の子孫が発見されたとしたら、
その人には十分天皇になる資格があるわけです。

実際古代の歴史では何回かそうやって殆ど無関係なくらい遠縁の子孫が招聘され
天皇になっています。
ここが財産相続で殺し合ってきた他国の王族とまるで事情が違う点です。

【5】

世間では民間に降下した人を天皇にするのは違和感があるとか、
帝王学を学んでいない人は資格が怪しいとかいう、
分かったような口をきく半可通がいますが、問題ありません。
どんなにアホでバカで下賤であっても天皇になれるのです。
だいたい臣籍降下とか皇籍離脱とかは増えすぎた皇族のリストラであって
天皇になる資格そのものとは関係ありません。



繰り返しになりますが天皇は家業ではないのです。

狭いファミリーの相続の話とまるで別の原理なのです。
本家の子どもでなくてもパワーを受け継いだ遠縁の子でもいい。
天皇を西欧の君主と比べて思考する人はここがわかっていない。
むしろダライ・ラマと比較すべきです。
ダライラマを選挙で選ぶ。

伊勢神宮を鉄筋コンクリートで建てる。
というより伊勢神宮にコンビニを建てる。


現在「女系」を主張している人は、
「ナルヒト家」で天皇を独占しようという偏狭な主張をしているのです。
これは歴史的に日本人が絶対に避けてきた天皇位の私物化そのものです。


現実的な問題として、
女の子を通じても伝わるというのであれば、
2666年間が約90世代に相当するとして、
各世代2人づつ成人したとしても子孫の数は2の90乗で
1兆の1兆倍を遙か超えるわけですから、
ねずみ算的に日本人の殆ど全員に資格があることになります。
だから女系など認めるくらいなら
選挙で「日本国王」(大統領?)を決めれば良いというのです。

また、更に厄介な問題として、
世界には父親の宗教が子どもの宗教を決める宗教はいくらでもあります。
女性天皇イスラム教徒と結婚して子どもが生まれた場合、
次代の天皇イスラム教徒になります?!
イスラム教徒のローマ法王というのがあり得るかという問題です。
これと同じような問題がダイアナ妃事件のときに語られました。

それにそこまで極端ではなくても
女性天皇には天皇位を奪いたい有象無象が接近するでしょう。
古代から権力者は天皇位を私物化しようと策略を巡らせましたが
母系は認められないため天皇自身は辛うじて独立を保ちました。
だからこそ権威も保てたのです。
一度この原理を外せば日本王家は激しい権力闘争の中に投げ込まれます。
父系継承にはそういった現実的な側面もあります。