ドレスデン−運命の日−

ドレスデン -運命の日- [DVD]

ドレスデン -運命の日- [DVD]

                      
即打ち切り決定され話題にならなかった映画。
前売りを買っていたので慌てて見に行った。
休日午後のシャンテシネなのに客の入りは10%。見に来なかった人が正解でした。。
    
なんで見に行ったかと言えば、「ドレスデン」というのはドイツのヒロシマみたいな一大テーマだからドイツ人がどう総括するのか興味があったのだ。
結論は物語の最後に『ヒトラー−最後の12日間−』のときと同じくナレーションでわかりやすく解説される。
  
 戦争犠牲者に罪はない。敵も味方もない。黙祷。Ω\ζ°)チーン
  
はっきり言って浅い。浅すぎる。こんな中2病的結論を描くなんてドイツ人も焼きがまわったか?
 
そもそも映画としてくだらなすぎる。
墜落した英軍兵士がドイツ兵に化けて病院に潜り込み、逃げるでも破壊活動するでもなく看護婦とエッチしまくり、挙げ句の果てに結婚式に押し掛けて駆け落ちを迫る。どこの小学生が脚本書いているんだよ、これ。(w
てか、この看護婦、敵兵を愛してしまう悲劇のヒロインって扱いらしいんだが、独りよがりな正義感でワガママ放題の困ったちゃん。だいたいなんで恋愛に発展するのかまるで理解できない。イケメンだからエッチしちゃった(´∀`*)ポッ 婚約者の真面目メガネ君がかわいそう過ぎる!
なんで無理矢理イギリス人兵士がストーリーに絡むのかってのはこの爆撃の主体となったイギリスとの和解運動の一環で作られているかららしい。最近記念式典もやってたしね。しかし、欧米人ってのは恋愛やセックルが絡まないとストーリーを追えないDQNなのか?『スターリングラード』『パールハーバー』と同じ。まじめにやれっ!5万とも10万とも言われる被害者を冒涜していないか?ドイツのテレビ局に巣くう馬鹿サヨマスゴミはこんな低レベルの歴史感覚しかないのだろうか?
あとなんだか言い訳するみたいにしつこくしつこくナチの蛮行が描かれるけど、どうも捏造っぽい。ナチが簡単に人を殺したと言っても、戦闘中でもない道ばたで自国民を即射殺なんかしないぜ。類型化したナチイメージにウンザリ。ただ引用記事のひとも書いているけど意外な発見はあって、こんな戦争の最後の最後までドイツ人の配偶者のユダヤ人は市民生活が送れたんだということを知った。
あとは空襲の描写がそれなりに気合い入ってたのは認める。実際はこんな程度じゃ無かったと思うけど。
細かく見れば描写されているんだけど、この空襲でも最初に屋根に穴を開ける爆弾を落としてから次に焼夷弾を落として焼き払う。もちろん市街地を丸く囲んで逃げられないように爆撃してからだ。で、その後は描写すらされていないんだが、空襲をわざと何回にもわけて、終わったと思って市民が防空壕から出てきたところを狙う。つまり最初から市民の虐殺を意図しているわけ。当然戦争犯罪である。これは原爆でもそうだった。空襲が終わったかと思わせて防空壕から出てきたところに原爆を落とした。人体実験のためである。2月13日のドレスデン大空襲と3月10日の東京大空襲はまったく同じプロセスで行われている。
よく戦略爆撃は日本が重慶で始めたから同罪とかいう馬鹿がいるけど、たしかに日本軍は市街地も狙ったという意味ではそうだが、こんな悪質な爆撃はしていない。重慶爆撃は100回爆撃して1〜2万名が死亡。しかも過半数防空壕の不備による窒息死だった。
それについてヒーローのイギリス兵が言う。「戦争を始めたのはドイツだ」「ドイツがなかなか降伏しないからだ」・・・なんだか日本でもよく聞く議論ですね。しかし開戦責任があるから市民虐殺をして良いなんて理屈は成り立たないし、都市爆撃は戦争終結を早めなかったというのが最近の歴史研究で明らかになっている
またドレスデンを攻撃する理由も「エルベ以東で燃えやすい都市を攻撃して偉容を示す」とか言っていたが、もっとも大きな理由であるドレスデン文化遺産がドイツ人の誇りだから破壊する」という復讐感情に触れていない。英独共同製作の限界だな。同じ理由で京都も爆撃される予定だった。
     
戦後ずっとよい子ブリッコしてきたドイツが、へっぴり腰で連合国の暗部にも言及しましたっていう位置づけだけの映画でした。
    

ドレスデン、運命の日 DRESDEN
ポイント ★*
DATE 07/5/8
THEATER シャンテ
監督 ローランド・ズソ・リヒター
出演 フェリシタス・ヴォール/ジョン・ライト/ベンヤミン・サドラー/
   
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
    
彩度を落とした映像は戦争の記憶が色あせていくことへの抵抗なのか。第二次大戦で敗戦国となったドイツもまた、当然ながら被害者としての一面を持つ。空襲で多くの市民の命が奪われた古都で、国を裏切ろうとするドイツ人や敗戦間近なのに意外と物資が豊富だったことなど、ハリウッド映画では描かれなかった「ドイツ人の目で見た戦争」を描いている点は新鮮だ。しかし、そこで展開されるドラマはあまりにも幼稚な上、細かいカットの積み重ねというテレビの安っぽい手法を多用していると思ったら、案の定TVドラマだった。こんなもの映画館でカネを取って公開するな、と言いたい。
      
ドレスデンの病院で働く看護婦・アンナは同僚医師と恋人同士。ある日、撃墜された爆撃機に乗っていた英兵・ロバートが身分を隠して病院にしのび込む。アンナはけがをしているロバートを介護するうちに敵であることを忘れてしまう。
   
いくら母親がドイツ人でドイツ語が話せるといっても、これほど簡単に英兵がドイツ人の中に紛れ込むことができるだろうか。アンナにしても、自分たちの街を空襲に来た敵兵を匿うことこそ祖国への背信行為なのに、医療品を横流ししてスイスに脱出を図る父や婚約者を責められないだろう。しかも英兵と寝て、彼の子供まで腹に宿すのだ。いかにも戦時下で健気にかつまっすぐに生きる女性の生き方を描いているようなタッチなのに、その内容は「愛」に名を借りたバカ女の気まぐれに過ぎない。
  
やがてドレスデンは大空襲に見舞われ、街は炎に包まれる。その過程で英兵とアンナの婚約者が協力するなど物語は混沌を極め、もはや正視に堪えない。ただ、大戦中のドイツ国内のユダヤ人はすべて収容所送りになるのかと思っていたのだが、アーリア系の配偶者はその難を逃れることができるというのは初めて知った。
  
TITLE:こんな映画は見ちゃいけない! - ドレスデン、運命の日
URL:http://d.hatena.ne.jp/otello/20070509

        
漏れの中での3大ダメ戦争映画にランクインした。(ジェリー・ブラッカイマーの『パールハーバー』ジャン・ジャック・アノーの『スターリングラード』そして『ドレスデン』。。。リチャード・フライシャーの『パールハーバー』ヨゼフ・フィルスマイアーの『スターリングラード』からの劣化著しい。戦争を知らない子供達はこんな低劣な映画を作ってしまうのか。嘆息。)
あとこの映画にコメントを寄せた人のうち以下のものは死刑。
  
秋川雅史テノール歌手)「女性の心の美しさが溢れる名作です」
加藤登紀子「何より強く心に残るのは、主人公アンナの「愛」と「生」へのまっすぐな若いエネルギーだ」
桐島洋子「激しい愛の輝きから目が離せない」
池上彰「燃える空の下には、愛と憎悪と赦しがあった」
加藤タキ「戦火の中でも貫く愛は、なによりも強く、美しい」