アラビアンナイト

     
近代的金融業、金融資本の起源についてずっと考えている。
巷間言われるのはユダヤ起源であるが、どうもそれは嘘くさい。彼らは拝金思想を発展純化させたかもしれないが、金融技術自体の発展は中世イタリア人によるものが多いらしい。そして中世イタリア都市は東ローマ帝国の衰退によって隆盛したのであり、その金蔓はイスラムとの交易であった。つまり地中海貿易を誰が握っていたかが問題だ。ミノア文明からレバント諸国、ローマ帝国とどう移動してきたのか。その中でイスラムの果たしてきた役割が気になる。
イスラムは商人の宗教だ。広範な信用ネットワークによる商業的利益こそイスラム電波の原動力だった。そもそもムハンマドの奥さんは後家さんでありながら女手一つで7Cに商社を経営していた。それほどイスラム世界は先進的な商人文明であったということだ。イスラムこそ4千年に渉るメソポタミア文明の正嫡なのだろう。
よって11Cに始まる十字軍を契機としたイスラム世界との接触が西欧発展の契機になった。ここにテンプル騎士団がかかわってくる。
だが、問題は商業と金融のミッシングリングである。
周知のようにイスラム教もキリスト教も利子収益を禁じている。だからユダヤ教が金融でのし上がったと言われてきた。上記で述べたのは地中海貿易であり、イスラム商業であり、金融との関係がはっきりしない。11C以前のイスラム世界における、あるいはメソポタミアにおける金融業とはどういったものだったのだろうか?ここがわからない。
僕的な想像では、地中海貿易に於ける伝統的な王権依存的な商業決済システムがイスラム共同体原理によって更新されたときに大経済発展が起こったのであり、それが近代金融業の端緒であったのではないか?テンプル騎士団はそれを模してキリスト教による決済システムを作り上げたのではないか?そしてその後継者がイタリア諸都市なのではないか?ルネッサンスはこうした経済主義を契機とした世俗化であり、カソリックに対する反体制運動である。
で、やっぱりよく分からないのが初期イスラムに於ける商業・金融業の実態である。なかなか参考になる本がない。
ところが、ひとつとてもイメージしやすいネタがあるのだが、それはアラビアン・ナイトだ。
これこそイスラム絶頂期の商業社会を活写した物語なのだが・・・