サヨクの再建

 
ここんとこずっとご無沙汰だった朝日新聞論座』をひさびさに読んだ。
お目当ては鶴見俊介・吉本隆明柄谷行人のインタビュー。ええ、学生時代お世話になったですから。(^_^;)
昨今のサヨク総崩れ状況をどう総括しているのか、気になったので。
で、案の定期待はずれというか、ピンぼけですた。(´・ω・`)
なんていうか、若い世代のアクチュアリティと理念を結ぶ回路がつくれていなくて、お説教やご高説に終わってしまっている。
まぁ実践家じゃないから仕方ないのかもしれないけど、具体的戦略ではなくて、なんだか引退した人が回顧しているような物言いが「老い」を感じさせて悲しい。
嗚呼、敗戦民主主義の神々の黄昏。。
 
で、その一方でちょっと面白いことになっていたのが「『丸山真男』をひっぱたきたい」論争。
1月号で赤木智弘というフリーターが書いた「俺ら不遇なフリーター世代をなんとかしろ。サヨク反戦平和なんて勝ち組のオナニーじゃねえかよ。このままじゃ一発逆転の戦争に期待しちゃうぜ(意訳)」という「暴論」に対する現役サヨクの方々の反論なのだが・・・これがまたサンサンたる有様。代表的なのが佐高信の「どうするかなんかわからない。自分で考えろ。甘えるな。」という”反論”。それ、反論になってませんから。サヨクは”幸せ”への展望を示してくれたから価値があったはず。赤木氏は「反戦平和護憲人権」なんていうマントラじゃなくて、その辺の具体論を示せって言っているのに、示せませんじゃ価値無しじゃん。てか、お前が苦しいのは自己責任じゃ、というに等しいぞ。それじゃ社会構造的矛盾をつくことで連帯を呼びかける(はずの)サヨクとしてはいかがなものか。斉藤貴男なんか「戦争に期待するなんて許しません!」とか真正面から説教しちゃって・・・赤木氏はそんなこと重々承知で挑発しているのに・・・痛すぎるよ。(ノД`)
漏れはサヨクはやっぱり馬鹿ばっかりざまあみろ!みたいな右翼じゃありません。
サヨクにそれなりに反体制派としての期待をしていたんだけど、本当にこんなレベルなんですね。日本の行く末がマジに心配だよ。
 

<メモ>
鶴見俊介:負け組はもっとうまく立ち回れば道徳的に批判できる立場に立てたはず。俺は1万冊の本を読んだ。おかげで傲慢になれた。安倍や麻生の家柄からくる傲慢じゃなくて知識からくる傲慢。高学歴という意味じゃない。日本の左翼は「ソ連に占領されるよりましだった」という総括ができない。国家は廃絶される。イスラム教徒や中国人は国家を越えている。
吉本隆明:若い頃勘違いしていた。いろいろ考え続ける。
柄谷行人:小泉は反官だからある意味リベラル。だから支持したサヨクは多かったけどおかげで格差社会。国家を越えるべし。(1)資本主義を越える経済システムを。(2)世界同時国家廃止を。(一国国家廃止だと単に他国に占領されるだけだから)

特集 グッとくる左翼
 
「貧乏」を逆手に反撃が始まった
右翼を経て、すっかり左傾化した私
雨宮処凛 作家
 
ルポ
 
地位でもなく、おカネでもなく、とりあえず、こたつ。
素人の乱×高円寺
●小丸朋恵 編集部
 
U-45 under forty-five
ストリートが左翼を取り返す
毛利嘉孝 東京芸術大学助教
 
左翼には、愛がたりない いうほど、愛してない
入江公康 大学非常勤講師
 
大言壮語より微細な分析を
芹沢一也 京都造形芸術大学非常勤講師
 
社会的連帯の条件
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貧者を招き入れよ
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左翼と議会制民主主義
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Interview
 
〈大転向〉時代の日本人に言っておきたいこと
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吉本隆明、まだ考え中
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左翼的なるものへ――人は「理念」から逃れることはできない
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「『丸山眞男』をひっぱたきたい 希望は、戦争。」への応答
 
●佐高 信 経済評論家/●奥原紀晴 赤旗編集局長/●若松孝二 映画監督/●福島みずほ 社会民主党党首/●森 達也 映画監督、作家/●鎌田 慧 ルポライター/●斎藤貴男 ジャーナリスト
 
URL:http://opendoors.asahi.com/data/detail/7935.shtml