肥後の守

 
日経でいちばん面白いのは最終面の文化欄。
1月26日(金)のトピックは最後の肥後の守職人であった。
1904年に誕生。1960年の浅沼稲次郎刺殺事件で刃物追放運動が起きて衰退。
1933年生まれの永尾元佑さんが最後の一人。
 
しかし・・・刺殺事件が起きたから刃物追放ですか?包丁だったらどうなったの?馬鹿な運動だな。
 
ところで、同日の経済教室『日中韓FTA互恵世界に』は酷い論文だ。
阿部一知(東京電機大教授)・片岡光彦(総合研究開発機構主任研究員)の共著。
日中韓で関税0を実現すれば域内生産ネットワークが形成され日本のGDPを0.4%引き上げ、世界経済も恩恵を被るそうである。しかしそのためには構造調整コストがかかるので政府が強力に進めろ。だそうだ。
ここで問題なのはGDP0.4%増の中身である。
いまでも日本のGDPは好調であるが、国民生活は疲弊している。
三国FTAによって実現されるのは企業の儲けが増えることだけであり、それが日本国民の幸福度に寄与するかどうかは不明である。というよりここでいう生産ネットワークの活用とは要するに労働集約型産業の中国移転を進めつつ安価労働力のメリットを享受することが要点であり、現在以上の中国傾斜を進めろと言うに等しい。また農業・軽工業へは壊滅的影響を及ぼし日本の地方経済の衰退を加速する。それでもいいから早くこの儲け話に乗りたい!という浅ましい金の亡者の妄言だ。
中国国内市場が未成熟で投資リスクが独裁政権によってコントロールされている現時点でこれ以上中国傾斜を進めるべきであはない。中国国民経済が成熟し、中国政府が民主化され、為替が変動相場制に完全移行した頃、日中の経済格差は縮まり民衆レベルでのFTAによる互恵性が見えてくるだろう。それまで日本は条約を急ぐべきではない。